1,467万kW/2,039万kW (03/29 20:00)
71%
【緊急防災】災害関連情報コミュニティ - トピック返信
【熊本地震】口内ケアは命を守るケア マッサージも効果的
【返信元】 【熊本地震】避難所・避難住宅・避難に関する情報
2016年05月07日 06:37
【災害時にやれること・まとめ】ポリ袋でご飯炊き、簡易トイレ、準備すべきことも…
2016年05月04日 06時00分 更新
http://qbiz.jp/article/86010/4

■口内ケアは命を守るケア マッサージも効果的

 長引く避難所生活でおろそかになりがちなのが口内ケア。水不足や洗面台の数が限られるなどの事情で歯磨きがしにくく、口の衛生状況が悪化しやすい。細菌を多く含んだ唾液や食べ物が気管に入って起こる「誤嚥性(ごえんせい)肺炎」はもともと高齢者に多いが、震災時は抵抗力が落ちる上に口のケアが不十分なため、患者が増えたり、より深刻になって震災関連死につながったりする。専門家は「口のケアは命を守るケア」と口内衛生の重要性を訴えている。

 「震災後一度も歯を磨いていないという高齢者もいた」。23〜24日に、熊本地震の被災地を訪れた東京医科歯科大の中久木康一助教(口腔(こうくう)外科)は語る。

 歯ブラシなどのケア用品は、支援物資として十分に届いていた。ただ、体が不自由な高齢者は移動がままならず、十分な手入れができない人もいたという。高齢者施設では、水が貴重なことや人手不足から、1日3回だった口のケアが1回になった施設もあった。

 2007年の新潟県中越沖地震以降、災害時の口内ケア対策に取り組む中久木さんは「口のケアは後回しになりがちだが、おろそかにすることは命の危険につながる」と指摘する。

    §   §   

 阪神大震災では、震災関連死922人のうち、24%にあたる223人が肺炎で死亡した。当時診療にあたった歯科医師で、神戸常盤大短期大学部の足立了平教授は、肺炎の多くが誤嚥性肺炎だったと分析する。震災後2週間で口内の感染症が増えたという。

 足立さんは「高齢者は、そもそものみ込む力が低下して誤嚥しやすい」と指摘する。寝ている間に唾液が気管に少しずつ入ってしまい、気付かない例も目立つという。「避難所生活のストレスや栄養不足、運動不足が、体力や病気への抵抗力の低下を招き、誤嚥性肺炎を起こしやすい」とみる。

 足立さんによると、口の中を清潔にすることで、誤嚥性肺炎の4割は防げるという。しかし、水が貴重なときには、歯磨きやうがいを控える人は多いだろう。「阪神大震災のときは人前で入れ歯を外すことをためらい、装着したままという人も少なくなかった」。義歯は、より細菌が付きやすい。就寝前には必ず外し、歯ブラシで磨くことが大切だ。洗浄剤が手に入らない場合は、流水でもいいという。

 一方、中久木さんは「誤嚥防止のため、口の周りの筋肉を鍛える方法もある」と提案する。福岡市の内科医、今井一彰さんが考案した「あいうべ体操」。「あー、いー、うー」と大きく口を動かし、最後に「べー」と舌を出す動作を繰り返すことで、口や舌の筋肉が鍛えられる。

    §   §   

 サンスター(大阪府高槻市)は、阪神大震災で多くの社員が被災した経験から、災害時の口のケアに関する啓発活動に力を注ぎ、「災害時のオーラル(口の)ケア方法」として具体的なやり方をホームページで公開している=図。

 歯ブラシなどのケア用品がない場合は、ぬれたティッシュやハンカチを指に巻いて歯の表面の汚れを取る。食後に15秒ほどうがいするのも効果的だ。水を節約した歯磨きのこつは、歯ブラシを小刻みに動かすこと。水を1〜2滴でも付けて磨けば、刺激されて唾液が出る。最後に少量の水を口に含んで吐き出すだけで、歯垢(しこう)は随分取れるという。ぬれたティッシュで歯ブラシについた汚れを拭き取りながら歯磨きを行うといい。

 口の中が乾燥すると、細菌に感染しやすい。唾液には加湿に加え、自浄作用がある。唾液を出すために効果的なのがマッサージ。耳の下から顎の下まで、骨の内側の柔らかい部分を指で数秒ずつ押すだけで口の中に唾液が出てくる。

 足立さんは「少しの工夫で口のケアはできる。体調を保ちながら被災を乗り越えてほしい」と話している。

=2016/04/28付 西日本新聞朝刊=

書き込みツリー表示