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2011年08月25日(木) 

非常勤講師をさせて頂いている関西学院大学の高等教育推進センターから「親展」の封書が届いた。すわ「解雇通知」か!..とおもいきや、6月末、授業中履修生に実施した「授業に関する調査」の結果通知だった。科目は「サイバー社会論」。教室内だけのクローズな授業形態ではなく、地域SNSのコミュニティを活用して講義内容を動画で公開、学生は討論の内容や振り返りを投稿、授業には多くの社会人や専門家が登録し、リアルにバーチャルに参加・助言を頂くという、まさにサイバー社会の公開授業の形式で実施した。調査は出席学生全員にマークシートによる(集計対象とならない筆記設問も2問あり)もので、これに各授業担当者(教員)からのコメント」を加えて年内に公表されることになるという。

 

設問は全10問で、①「授業への出席状況について」、②「私はこの授業に積極的に取り組んだ」、③「この授業の学習目的ははっきりと示されていた」、④「毎回の授業はおおむねシラバスにそって進行していた」、⑤「担当者の話し方は聞き取りやすかった」、⑥「授業で要求される作業量(レポート、宿題、自習など)は適切であった」、⑦「内容がよく理解できるように授業方法の工夫がなされていた」、⑧「授業担当者の授業に対する熱意を感じた」、⑨「この授業を受講して、自分にとって新しい知識(技能)や物事の見方が得られた」、⑩「私は全体としてこの授業に満足している」、というもの。これを集計して「当講義平均」「標準偏差」「全学平均」「学部等平均」「5段階回答率」などを割り出し、その比較を分かりやすいレーダーチャートにして報告されていた。

 

さて、肝心の授業評価の結果は、設問(当講義平均/標準偏差/全学平均/学部等平均/全学差/学部差)

①出席状況(3.7/0.67/4.3/4.3/-0.6/-0.6)

②取組姿勢(4.6/0.5/4.0/4.1/+0.5/+0.4)

③学習目的(4.7/0.64/4.1/4.3/+0.6/+0.4)

④シラバス(4.5/0.71/4.2/4.3/+0.3/+0.2)

⑤聞取状況(5.0/0.00/4.1/4.3/+0.9/+0.7)

⑥外作業量(4.9/0.31/4.1/4.2/+0.8/+0.7)

⑦授業方法(4.5/0.92/4.0/4.2/+0.5/+0.3)

⑧教員熱意(5.0/0.00/4.2/4.4/+0.8/+0.6)

⑨知識習得(4.9/0.30/4.1/4.3/+0.8/+0.6)

⑩満足度 (4.8/0.40/4.1/4.3/+0.7/+0.5)

 

全学と比較して総合政策学部のポイントが高いのは、「今、身近な問題から世界の扉を開く」という学部のビジョンが授業に反映している成果なのだろう。この環境に磨きをかけて、総合力と専門力を兼ね備えた国際社会に貢献できる人材育成を教員・学生ともに努力して推進していくことが大切である。「サイバー社会論」の授業評価については、出席状況に関する学生の自己評価以外は、全学・学部ともに上回っていた。

 

就活(就職活動)の早期化やアルバイトの常態化によって、最近の学生は大変忙しい。そこでサイバー社会論では、事情がある場合は授業開始前までに報告し、ネット配布した資料や講義の動画を参照しながらリフレクション(振り返り)を書き込むことで授業への出席を認めた。逆に、授業当日に教室にいてもリフレクションの提出がない場合には出席ポイントを与えないこととした。この方法によって講座内容に対する履修生の理解は促進されたと考えられるが、出席に関するモチベーションは低くなったのだと思われる。

 

学生自身の授業との関わりを示す項目である、②取組姿勢(+0.5)、⑥ 外作業量(+0.8)、⑨知識習得(+0.8)、⑩ 満足度(+0.7)は、すべて全学平均を+0.5ポイント以上上回っており、教員に関する授業の評価である、③学習目的(+0.6)、④ シラバス(+0.3)、⑤聞取状況(+0.9)、⑦授業方法(+0.5)、⑧ 教員熱意(+0.8)と、すべて大幅に平均を上回っていた。シラバスについては、初めて「サイバー社会論」を担当したことにより、「東日本大震災」に関する講義を加えたり、公開授業の形態を変更したり、事前に想定していなかった内容を履修生とも相談しながら組み込んだことによるものである。

 

半期14回の授業を振り返り、予習や課題をこなしながら勉強してくれた履修生諸君に感謝するとともに、よく最後までついてきてくれたと感心している。電子望遠鏡の権威だった故森本雅樹先生が鹿児島大学で教鞭を取られた経験から「先生が一所懸命に誠心誠意授業をやると、若者達はしっかり応えてくれるものだよ」という言葉が思い出される。他の大学では、工夫もなく退屈な授業を毎年繰り返している教員も少なくないが、このような学生による授業評価が実施・公開されることによって、すべての授業が真剣勝負で提供されることを期待する。


閲覧数1,714 カテゴリ日記 コメント4 投稿日時2011/08/25 07:15
公開範囲外部公開
コメント(4)
時系列表示返信表示日付順
  • 2011/08/25 08:37
    夢工房さん
    熱意が伝わって良かったですね。
    こたつさんの話は、おもしろいもん!(^。^)

    しかし、教授を評価する制度はええですねぇ~

    評価が低いと、教授もクビになるのかな?
    この数値を公表するようになったら、大学も変わって行くのかな?

    今の学生が悪いと良く聞きますが、私は先生にも責任があるような気がします。
    厳しいけど、おもしろい制度ですね。
    次項有
  • 2011/08/25 08:55
    > 夢工房さん
    > しかし、教授を評価する制度はええですねぇ~

    でしょう♪
    教員は学生に前向きに学べる環境を提供して、新たな知識や技能、社会人基礎力を養うためのサポートを行うわけです。顧客としての学生の評価がこれまできちんとなされてこなったことの方が大いに問題であったように思います。

    > 評価が低いと、教授もクビになるのかな?
    > この数値を公表するようになったら、大学も変わって行くのかな?

    先生をクビにするための評価ではなく、授業の改善を促すための資料として「公開」されます。でも、極端に評価が低い先生は、改善成果が出せなければ居心地は悪くなるかも知れませんね。

    > 今の学生が悪いと良く聞きますが、私は先生にも責任があるような気がします。

    仰せの通りだと思います。先生たちがもっと本気で創意工夫をしながら授業運営しないと、できる学生まで腐ってしまう。この制度が本来の「大学」を取り戻すきっかけになること願います。

    > 厳しいけど、おもしろい制度ですね。
    このような評価を先生たちが拒むところもあって、導入できない学校もあるらしいです。そんなところは、今後の大学間競争についていけないでしょうね。
    次項有
  • 2011/08/25 10:29
    オメメさん
    最近は同じ科に二人の教授を立てて、競争させる所もあるようです。
    学生もどちらか好きな方を選べるので熱の入れ方が違うと聞きます。
    次項有
  • 2011/08/25 10:45
    > オメメさん
    TT(チームティーチング)で複数の教員が協力して授業運営するのはよくありますが、競争させるのですか..。そこまではやらなくても、教員の資質を活かし有効な授業を実現することはできそうに思いますが。
    次項有
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