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2016年06月28日(火) 
 ハラが減ってハラが減って、忠(ただし)は死にそうだった。~中略~。ハラさえ減っていなければ、学校はそれほどいやなところではなかった。東京の本郷中学から千葉県の北条中学へ疎開入学したとき、ママは北条中学はレベルが高いので普通ならとても入学出来ないのだけれど、疎開者だからというので特別にれてもらえたのよ、といい、「パパの息子だし」とつけ加えた。

 佐藤愛子「血脈 中」第二章 衰退 三(267頁)の書き出し部分だ。「パパ」はサトウ・ハチロー、「ママ」は2番目の妻るり子で、忠はその長男だ。

 岩井は何もない寂しい町だ。ここは以前、夏になると避暑に来た家だ。その頃は田舎はいい所だと思っていたが、暮らすとなると何もなくてつまらない。田圃とビワ畑の景色は退屈なだけだ。~中略~。土堤の向こうに海。何もない、ただゴロゴロ石や荒い砂が波に呑まれたり吐き出されたりしている。海辺なのに漁師はいない。道端や農家の庭に煮干しが乾してある。(270頁)

 ずっしりと重い銃を担いでの駈足や匍匐前進…中学生の忠は、空きっ腹を抱えて軍事教練に明け暮れた。敗色濃い戦時下、「欲しがりません勝つまでは」の窮乏生活に嫌気がさしていた忠は「旨い話」に飛びついた。
 北条中学から予科練に入った先輩が、紺に七つ釦(ぼたん)の第二種軍装で学校に来て、「後輩よ我に続け」と檄を飛ばした。忠は、「恰好」や「檄」には心が動かなかったが、「食い放題だ」の一言につられて予科練志願を決めた。ぼた餅や饅頭、米の飯が腹いっぱい食えるんだ!
 忠の祖父の佐藤紅緑のもとに三重航空隊奈良分遣隊から葉書が届いた。

 おじい様
 ぼくは予科練に入隊しました。
 一日も早く立派な軍人になってお国のお役に立ちたい
と思っています。
 尽忠報国。佐藤家の名を辱めぬよう真面目に励んでいますからどうかご安心ください。以上。ではさようなら。(365頁)

 一年足らずで敗戦となり、忠は梅毒を土産に復員した。16歳の青春の一コマだった。

 「岩井」は千葉県平郡(のちに安房郡)にかつて存在した町である。現在の南房総市の北西部(旧富山町)に位置している。サトウハチローの次男四郎氏は疎開先の千葉県岩井町国民学校に入学した、と述べている。ところが、長男忠が在籍していたという「北条中学」については全く手掛かりがない。どなたかご存知の方がいたら教えて。

・写真2枚:放置車両。草生していた。きのう、千葉県館山市北条海岸で撮影。Mytweet
https://twitter.com/nansounotora/status/747641984538546176

◇MEMO 
・▼唸声中国写真/高校生と教師が軍事教練中に教官と衝突、42名負傷!
http://ameblo.jp/unarigoe/entry-11915099646.html

・Play Misty For Me Trailer 1971 Movie with Clint Eastwood youtube
https://www.youtube.com/watch?v=HVSw5H0MkpY
・Misty :Sarah Vaughan youtube
https://www.youtube.com/watch?v=sMJZZJqXRiM
・Misery (1990) - Movie Trailer youtube
https://www.youtube.com/watch?v=IbP4YLsdBBE
・Cape Fear (1991) - Trailer
https://www.youtube.com/watch?v=jsXIpnMRu88
・The Fan Movie Trailer 1996 - Robert De Niro, Wesley Snipes
https://www.youtube.com/watch?v=OJhwzOqqdqU

閲覧数998 カテゴリ日記 コメント5 投稿日時2016/06/28 12:28
公開範囲外部公開
コメント(5)
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  • 2016/06/28 17:20
    zosanさん
    戦争を肯定する気は全くありません。

    戦争にはある意味2種類に分けられると思います、
    もしかしたら一般的には違うかもしれませんが、
    その一つは侵略のため、
    もう一つはそれを防衛するための戦争です。

    侵略されたら自分の国を守らなければなりません。
    それは、防衛のためですから戦わなければなりません。

    私はこの戦争は肯定します。
    同盟国が攻められ、それが我が国に大きな損害を与える可能性が高ければ、その同盟国を助けるべきだとも思っています。
    次項有
  • 2016/06/28 17:51
    > zosanさん
    > 私はこの戦争は肯定します。

     確認ですが、zosanさんが言われる「この戦争」は「防衛するための戦争」ですね。言葉通りなら、私も異論はありません。ただ、「防衛するための」という言葉は曲者です。私はいまだかって「攻撃するための」軍備という言葉を聞いたことがありません。どの国でも、産軍複合体が侵略される危機を煽り、「防衛するため」に軍拡競争を繰り広げているのです。堂々巡りです。それには、それぞれの国民が自国で暗躍する産軍複合体を抑え込んで、敵意の増幅の流れを断ち切らなければなりません。
     ところで、zosanさんが言われる「防衛するための戦争」って、歴史上、どの戦争を指すのでしょうか。
    次項有
  • 2016/06/30 15:35
    zosanさん
    > 南総の寅次郎さん
    はい、もちろん防衛のための戦争です。
    過去においてそういう戦争が有ったのかどうか分かりませんが、
    私の言っている意味は、我が国にどこかの国が攻めてきて、我が国にとって不都合な行為をしたらそれを阻止しなければならないと言うことです。場合によっては向かって来た敵を追い返すだけでは終わらず、敵の基地を責めることだってありうると思います。あくまでも相手が我が国に危害を加えることが出来ないようにするための行為で、これは防衛の範疇に入ると思います。
    次項有
  • 2016/06/30 17:13
     「防衛するための戦争」。みんなそう言って戦争を始めるんです。
     どこかの国(例えばA国)が「我が国にどこかの国が攻めてきて、我が国にとって不都合な行為をしたらそれを阻止しなければならない」と軍備を拡張します。それをみて、別の国(B国)は不安になり「(A国が)我が国にとって不都合な行為をしたらそれを阻止しなければならない」と軍備を拡張します。それをみてA国は不安になり、さらに軍備を拡張…際限のない軍拡競争の堂々巡りです。それぞれの国の産軍複合体(軍拡で利益を得る死の商人や軍人)は人々の不安を煽り、軍拡への地ならしをします。註1
     限られた資源が軍需に向けられれば、医療・福祉など民生予算は削られ、弱者は切り捨てられます。
     行き着く先は「欲しがりません 勝つまでは」の世界です。

     もしかして、zosanさんの不安の種は中国ではありませんか。共産党一党独裁政権のトップ習近平は尖閣や南沙諸島で危険な火遊びをしているように見えます。しかし、国内は決して一枚岩ではありません。習近平は、国内の不満を抑えるために危機感を煽っているのです。でも、政府があらゆる手を尽くして反日を押し付けてくるのに、国民は大挙して日本に押しかけて来る。そして、「おもてなし」に満足して帰国し、家族や親類縁者に「政府のウソ」を暴露しているのです。註2、3
     つまり「日本国憲法」下で培われた日本のソフトが中国の抑圧的な体制を圧倒しているのです。その強力な「武器」を、安倍首相は廃棄し、際限のない軍拡競争の片棒を担ごうとしているのです。それこそ、習近平と日中の産軍複合体の思うつぼです。
     
     念のためですが、私は、「日本国憲法に誇りを抱いている『改憲論者』」です。

    ・註1:戦争を呼ぶ「軍産学複合体」/アイク退任演説の今日的意義を考える/終戦記念日に寄せて 2011-08-07 14:39:58
    http://ameblo.jp/tatenaosou2010/entry-10978465447.html
    ・中国月刊誌「知日」 好奇心そそる文化・習俗をクローズアップ 「これは日本を知る社会運動だ!」 2015.9.1 07:00 産経ニュース
    http://www.sankei.com/premium/news/150901/prm150901…01-n1.html
    ・註2:知日 なぜ中国人は、日本が好きなのか! (毛丹青 蘇静 馬仕睿 潮出版社)
    https://www.amazon.co.jp/%E7%9F%A5%E6%97%A5-%E3%81%…4267020027
    ・註3:本当は日本が大好きな中国人 (福島香織 朝日新書)
    https://www.amazon.co.jp/%E6%9C%AC%E5%BD%93%E3%81%A…f_=asap_bc
    次項有
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