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2016年08月29日(月) 
なが~い夏休みをいただいておりましたが、久々に連載をします。大学生たちが運営するアイデアソンに、地域のさまざまな人たちが加わり、果たしてどのような企画が生まれ育っていくのか。引き続き、よろしくお願いします。

第八話「多様な立場の人たちが場を共にするからこそ生まれる新鮮なアイデア」

和崎は、地域SNS仲間の木多見哲夫(54)に、アイデアソン実施の概要とその後の大学生たちとの交流会について、いの一番に相談することにした。木多見は地方自治体の外郭団体に勤務しながら、さまざまな地域活動に積極的に参加している人材。特に、地域おこしを目的に設立された地元の劇団で、主役級で舞台にあがる役者であり、地域づくりを推進するために行政が設置した「地域ビジョン委員会」で委員長も務めている。和崎がいつもなにかと頼りにしているキーパーソンのひとりであり、誰もから慕われる人格者である。毎年GWに実施する公開授業のご贔屓筋で、今回の若者たちとも授業などを通して旧知の仲であり、指導にもさまざまな協力をしてくれていたので最初に巻き込んだ。

木多見が、ビジョン委員会や姫路城清掃ボランティアなど一緒に活動している仲間たちに声をかけ、和崎の呼びかけに応えた他の人たちを合わせると、瞬く間に予定していた数のメンバーが揃った。ショットバーのマスター、弁護士、主婦、大学教員、飲食店経営者、元和食板前、高校教師、英語塾経営者、ホテル経営者、自治体職員、ご当地グルメ団体会長、新聞記者、SNS管理者、高校生、シニア活動家、元商店街理事長、防災士、NPO理事、専門学校校長..よくもこんなにバラバラな立場の人が集まったものだ。共通点は、いつものことだが「何をやるのか詳しいことは解らなくても、あんたがやるなら面白いに違いないから喜んで協力するよ」という人ばかりで、全員がソーシャルメディアの使い手ということだった。

アイデアソン当日は、抜けるような青空の行楽日和になったが、定刻の30分くらい前にはケーキやクッキー、自慢の紅茶などを手にした人たちが集まり始めた。学生はフリーだが、大人は持ち込み1品で参加費無料とした。後半のポトラック(持ち寄り)形式で行う交流会への差し入れだ。「ひょこむカフェ」の寄り合いでは、準備から片付けまで参加者が協力して行うことにしていて、持ち込みの手作り料理や秘蔵のお酒などがずらりと揃うオフ会は壮観だ。持ち込まれた「一品」の蘊蓄を聞くのも語るのも、参加者同士の楽しみになっている。この日はティーパーティなので少し大人しいが、一部の飲み助はビールやワインを用意していた。

アイデアソンの準備は、古家たちがやってくれた。といっても、4テーブルに学生2名と社会人5名ずつを割り振ったチームを事前に決めておき、あとはブレストやアイデアまとめに使うペン、マジック、付箋、スケッチブック、模造紙をテーブルの上に配布しただけ。ごく簡単質素で、普段のワークショップとほとんど変わらない。今回はアイデアソンが初めての人が多いこともあり、アジェンダは、概要説明(5分)、テーマ説明(10分)、少人数ブレスト(10分)、アイデア記入(5分)、チーム内ブラッシュアップ(20分)、発表準備(10分)、発表(15分)、投票(5分)で、少し長い計80分(通常は60分程度)を割り当てた。

午後1時に全員が集合して、「(仮称)地元レストラン活性化プロジェクト」のアイデアソンがスタートした。まずは、モデレーターの古家が、アイデアソンの概要や今回の流れを説明した。参加者の中には、新しい手法をマスターしようとメモを走らせたり、プレゼンの画面をスマホに収めたり、開始早々やる気満々だ。井上が、宮里さんのレストランの課題をより一般化して、飲食店のシーズと利用者のニーズをミッシングリンク(つながっていても不思議ではない紐帯が何かの理由でリンクしていない状態のこと)を中心に、アイデアソンの狙いを解説する。その後、「お店、お客さん、情報提供者、地域社会の四方一両得になる素晴らしいアイデアを期待しています!」と発破をかけて少人数によるブレストが始まった。

最初から全体で話しを進めるのではなく、テーブル毎に3人ずつ2組でブレストを行う。こうすると、意見を出さない人がなくなり、自然に全員が参加できる。グループが少人数だと、自分から積極的に話さないとブレストの場がもたないからだ。不慣れな人のことを考えて、ファシリテーターは議論の太鼓持ちとしてブレストには加えなかったが、ひとりが口火を切ると、あとは止めどなく課題提示やアイデアが出てきた。それもそのはず、テーマが大変身近な問題であったし、形式は違ってもこのような議論には慣れた人たちが多かったからである。

津川のテーブルでは、ホテルを経営しながら居酒屋「いろり夢茶屋」を開業している小寺一成(57)が 、学生を挟んで木多見と生々しい話しで盛り上がっていた。「いろりさんところは何でも美味しいし、奥さんも娘さんも美人だから、こんな課題なんかないでしょう」と振ると、小寺が「まちなかから離れている上、川を越えないといけないので、固定客がなかなか広がらない。ランチは猛烈に忙しいけど、平日の夜は寂しい。ホテルの宿泊客があるから、原価にこだわらず地元の優れた食材を使って美味しいものが出せるけど、もっと知名度をあげて固定客を増やす方法を考えなくちゃ!」と返す。順風満帆と思われていた「いろり夢茶屋」にも、アイデアソンのテーマに通じる課題があった。こんな大人たちの会話を聴きながら、間に挟まれていた大学生の中西壱徳(19)が口を開いた。

閲覧数697 カテゴリ日記 コメント0 投稿日時2016/08/29 10:40
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