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2017年02月07日(火) 
この間の月曜日に、ひょこむブログの最多出場を誇るzosanが「路傍の花」シリーズで台湾の茶の花を取り上げておられた。

それで、ああ、台湾もお茶の国だったなあ、と再認識したのだが、そのときお茶が栽培される国ではブドウは実らないという、これは私の全く独自の説についても再度考えた。

もしかしたらzosanは台湾でも葡萄棚からぶら下がるたわわな黒葡萄なんか御覧になったことがあるかもしれないけれど、葡萄畑はこの南国の島には多分ないだろう。

コメントに書いた通りお茶は椿の仲間で、椿はヨーロッパでは「椿姫」という物語の題に見るようにかなりロマンチックかつドラマチックな花で、英・仏・独でも人気がある。

だけど自然に生えている椿の木というのは見たことがなく、いずれも大きな鉢やプランターに植えられているか、お屋敷や宮殿の場合は付属の温室に植わっている。

なぜ自然の中で育たないかというと、欧州は土壌がアルカリ性でツバキ科の植物には向いていないからだ。

椿も山茶花も茶も、酸性の土を必要とする。

日本に11月に来たヨーロッパ人は、あちこちに山茶花が咲き誇っているのを見て、この時期にこんなにたくさんの色鮮やかな花が、と驚嘆するが、彼らが欧州に苗を持ち帰っても山茶花の生け垣は再現できない。

それでツバキ科の茶も欧州にはない。植物がないだけでなく、普通の家で普通に入れた茶はひどくまずい。

なぜならば、茶という植物が酸性土壌を好むだけでなく、入れるお茶にも弱酸性の水が望ましいからだ。

ヨーロッパの土壌はアルカリ性で、従って水もアルカリ性、いわゆる硬水である。

英国人の知り合いが「ドイツではコーヒーはおいしいけど、お茶はテリブル」と言うが、英国の地質はドーバー海峡の白亜の崖に見るようにアルカリ性ではあるものの、一般には大陸ほど石灰分は多くない。

気温の低さもあって茶は育たないが、茶を入れるのに適さない水ではないらしい。英国の水源について調べたことがないので科学的根拠はないが。

インドやセイロンを植民地にしていた過去から、高級紅茶はまず英国に集まることになっていた(大きな紅茶の取引市場が今も残っているかもしれない)のも、英国のお茶がおいしい理由であろう。

その英国は別として、茶畑のない国には葡萄畑がある。ただ、葡萄には(茶も同様だが)温暖な気候が必要なので、ワイン生産国ドイツでもケルン当たりが栽培の北限である。

これも知り合いのアメリカ人建築家がイタリアに大理石を仕入れに行ったときのことを話してくれたが、ミケランジェロが彫刻に使ったというので有名な大理石の産地に行くと、石切り場の回りは一面葡萄畑だったそうだ。

そしてワインのとれる土地では水の硬度がときに恐ろしいほど高い。だから水道水を飲まず、ミネラルウォーターがどの家庭にも用意されている。

洗濯には脱石灰剤を用いる。それでもパリッと真っ白な仕上がりにはなりにくく、シーツやタオルなどは漂白剤だの軟化剤だのを使わないと何だか垢じみた仕上がりになる。

私の住んでいる森林地帯は寒いのでブドウ栽培には向かないが、気温ばかりでなく地質も関係しているようで水の硬度はドイツの平均より低く、お茶もさほどまずくはない。

ただ、日本の柔らかい水とは全然違うので、私が一番困るのは日本からせっかく買ってきた乾物が戻せないことである。

干ししいたけも干し大根も、どんなに長く水につけても完全には柔らかくならない。これは豆の場合も同じで、戻せないばかりかコトコト長く煮続けても芯が残り、私は煮豆をあきらめた。

あるとき、日本から持参した料理本の中に古い新聞の切り抜きをを見つけた。

結婚前はほとんど料理といえるものはしなかったが、これは時間がなかったためで料理は嫌いではなく、疲れるとTVの料理番組を見たり、また新聞記事などに面白い料理が紹介されていると切り抜いたりしていた。

そういう記事の一つだったのだが、それが日本人と結婚したドイツ人女性によるドイツ料理の紹介だった。結婚する10年ほど前でまったくの偶然だ。

そこでのメインはドイツ風シチューのようなもので、誰にでもできるが今のドイツの主婦は面倒くさがってほとんど作らない種類の料理である。

そのドイツ人女性が言っていたのが、日本のジャガイモはとても煮崩れしやすいので苦労する、ということだった。

それを読んで一見同じに見えるが種類が違うのかなあ、と思い、それでもドイツのジャガイモを使う場合もちょっと気を付けねばと、誰かから聞いた「水からゆでると煮崩れしにくい」というヒントに従ったりした。

しかし沸騰した湯に入れてゆでても煮崩れしない。初めはふーん、やっぱりドイツのジャガイモは違うんだ、と思ったが、あるときハタと気が付いた。

違うのはジャガイモではなく水なのだ。豆が柔らかく煮えないだけあって、ジャガイモもかなり長くゆでても形がしっかりしている。

硬水の長所は茹でジャガイモの場合だけではない。水に石灰分が含まれているのでその微粒子のせいか、油の付いた鍋や食器を洗う時洗剤をさほど使わなくとも容易に油分がとれる。

一方その短所は特に女性にはちょっと由々しき事態で、肌や皮膚・頭髪に優しくないため、美容の大敵という点である。

私の場合は、日本に帰ってお肌自慢の人に「ドイツの水ではすべすべの肌は無理なの」と弁解できるのが、むしろ長所なんだけど。


写真は早春のブドウ畑、昨年三月に撮ったものです。

閲覧数718 カテゴリ日記 コメント8 投稿日時2017/02/07 23:21
公開範囲外部公開
コメント(8)
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  • 2017/02/08 00:03
    zosanさん
    いわれて見れば、台湾で葡萄畑は見たことありません、果物畑は結構有るんですが。
    果物屋でもブドウは見たこと無いです。

    でも日本はお茶もブドウも育ちますよ。
    静岡県ではお茶が、その隣の山梨県ではブドウがたくさん栽培されていますよ。


    硬水とお茶、ヨーロッパに行き始めたころ、持って行ったティーバッグのお茶がどうも良く出ませんでした。
    スイスの川の水が白く濁っていたので、なるほど硬水ではお茶が出難いんだなと分かったのですが、何故かこの頃日本で出すのと同じようにお茶がよく出るんです。何故か分かりません。たまたまでなく、いつもバッチリとお茶が出るんです。不思議です。

    ジャガイモと言えば、ハイデルベルクで食べたマシュポテト、非常に軟らかくスムーズな食感で美味しかったことを思いだしました。
    次項有
  • 2017/02/08 00:43
    鉛筆ベッガさん
    > zosanさん
    昔から日本には十勝ワインなどもあるので、欧州に似て乾燥した地域ならばブドウ栽培は可能ですが、これは研究好き・新しもの好きの日本人が品種改良など重ねて、日本の風土でも育つブドウを開発してきた結果じゃないでしょうか。

    一方で欧州人は、高温多湿を好むお茶は諦めるとして、アルカリ性の土でも育つ椿を生みだそうという気はないような。

    でも紫陽花なんかは全く欧州風のを作り上げていますから、園芸家がいずれ取り組む可能性もありますね。夜の厚化粧の女みたいな椿が大好きだから。

    ジャガイモは、煮ても形は崩れませんが、つぶすのはわりと簡単。私はもっぱら日本からもってきたすり鉢を使ってマッシュポテトを作ります。でも、レストランでは間違いなくフードプロセッサーを使っていると思います。これ、寅次郎さんのお宅でもスムージーに使ってスムースな食感にしておられるのでしょう。
    次項有
  • 2017/02/08 09:20
    台湾、お茶美味いっすよねえ。
    個人的には、台北>香港>上海>北京というイメージ。
    意外やハノイがあなどれない(サイゴンはダメ)。
    と、ここまで書いて、わたしのお茶って『ポーレィ』だわと気づく。

    『ホンチャー』はそのままでは飲まないです。
    スパイスどっぷり入れて、牛乳で煮出しちゃうんで
    とにかく一番安いのを買ってきて、それで満足。

    お茶の技術って文革で流出したという話を聞いたことがあるんだけど
    どうなんですかね?
    次項有
  • 2017/02/08 17:58
    鉛筆ベッガさん
    > かーりーさん
    台湾のお茶は台湾でも飲みましたけど(台湾大学の近くに若い人に受けている「おしゃれな」喫茶店があって連れて行かれた)、むしろシンガポールで飲むことの方が多かったですね。

    ホンチャーって紅茶のことなのね。私も紅茶はミルク入り。カーリーさんのはインド風に思えるけど。

    えーっと、真偽のほどは分からないのですが、紅茶には心臓の病気(ったって千差万別だからえらく大まかな言い方)を防ぐ効果があるといわれており、にもかかわらず紅茶国の英国でそのわりに心臓疾患が多いのは、紅茶にミルクを入れて飲むと効果が薄まるから、という説をわりとまともな新聞で読んだことがあります。

    私も紅茶派ですので、こちらでは活性炭のフィルター付き浄水器を使っています。
    次項有
  • 2017/02/13 10:53
    zosanさん
    > かーりーさん
    台湾のお茶と言えばコンビニでウーロン茶を売っていますが、これはモロ日本のウーロン茶でした。台湾の人にはどう受け止められているんでしょうか。

    ホンチャーと言えば私は毎日うっすら甘い紅茶を飲んでいます。
    ケーキなどを食べる時(滅多に食べませんが)は無糖のストレートホンチャーです。
    次項有
  • 2017/02/15 00:42
    > zosanさん
    わたしが台湾三昧してた頃はペットボトル茶は見かけませんでした。
    台湾大学の学生カップルのデート飯が吉牛だった記憶はありますけど。
    次項有
  • 2017/02/08 10:24
    欧州では硬水だから、カルシュームも多く、骨粗鬆症の人は居ないのでは?なんて思ったりしますがどうなんでしゅか。確かに硬水だと
    お茶も美味しく出ないし、煮ものも味が沁みないのでは?日本で当たり前と思ったことが欧州では当たり前ではないのですね。
    次項有
  • 2017/02/08 18:02
    鉛筆ベッガさん
    いえいえ、ドイツにも骨粗鬆症は多いですよ。これ、ミネラル水を飲むからでしょうか、でもその中にもカルシウムはあると思うのですが。

    煮物は洋風だとさほど問題はないのです。トマトを使うことが多いので、その酸味で肉や野菜が柔らかくなるのかもしれません。

    ドイツに来た人達がこぼすのは、男性でも、洗顔石鹸の泡が立たない、シャンプーのあと頭髪がゴワゴワする、などということです。
    次項有
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