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2008年06月19日(木) 
ついに出ました。

私はその瞬間を目の当たりにしたのです。
どんな感動の映画よりも、名作と呼ばれる本よりも
忘れられないシーンとなるでしょう。



私の所属する団体、生涯学習サポート兵庫。
恒例のチャレンジウォークでの出来事です。

リアカーを押しながら兵庫県徒歩縦断150km。
たったこれだけの挑戦プログラムです。
10歳~15歳。
挑戦資格はこれだけ。
そして5泊6日。
挑戦者に与えられた時間はこれだけです。





今年で7回目を迎えるチャレンジウォークは
毎年同じコースではなく、
スタートやゴール、最寄地点などのコースの設定を変え、
主催者としても常に「挑戦」というスタンスを取りつづけてきたのです。


しかし、
今年の設定はすごかった。
たつの市新舞子海岸スタート、
豊岡市城崎マリンワールドゴール。
7回の歴史の中で一番過酷なルートでした。


過酷なルートに加え、連日の雨が挑戦者の体力、そして気力を奪い続けます。
足をひきずる子、けんか気味になる子、
疲れで無口になってしまう子、意味不明の言葉を叫び続ける子
誰がみても涙を流しているのに、雨のしずくと言い張る子…。

リアカーを押すというよりかは、リアカーに寄りかかるように歩く子、
夜になっても宿泊場所に到着しせず、眠りそうになりながらも気力だけで歩き続ける子。

雨が豪雨となり、途中コース変更というアクシデントも起こりました。



そして、とうとう5日目の午前、出発してまもなく…


  「ななくん(仮称)から話したいことがあるそうなので、
    やまさん、最終グループまで戻って来てください」


少し遅れ気味で歩いていた最終グループのリーダーから連絡が入りました。
戻ってみると、
道の脇にあった、小さな無人駅の待合室のベンチにひとり、ななくんは座っていました。



 「おー ななくん 足大丈夫かあ?」

連日、足をひきずっていたななくん、
今朝も私と一緒にマッサージとストレッチを入念にしたばかりです。

 「…」

私の顔を見て一瞬だけ笑顔になったけど、すぐに顔から笑みが消えてしまいました。
ななくんは答えません。

 「どうしたの?」



それまで5年生のななくんの気力をすべて総動員してせき止めていたのでしょう。
私の「どうしたの?」を聞いた瞬間、
彼の目から涙があふれ出しました。
彼と何度もキャンプや行事をともにしたこともあるけど
決して見せなかった涙でした。

そして一言、しぼりだすように私にこう言いました。



  「足が痛くて…もう…歩けません…。
     …やまさん…、
        リタイヤさせてください…」



私も、そのとき横にいた最終グループの付き添いの大人も
涙が止まらなかったのを覚えています。


「わかったリタイヤしよう。
  でも、ななくんはここまでよくがんばった。つらかったよな。おつかれさま」

私からはこれだけしか言葉は出てきませんでした。



チャレンジウォーク史上初のリタイヤ者は
こうして生まれました。
家族にその場所まで迎えに来てもらい、
私との別れ際にこんなセリフを残してくれました。



 「やまさん、来年もこのチャレンジウォーク絶対企画してよな
   僕、必ず来年も挑戦して、来年は必ずゴールするからな」



教えてもらいました。
子どもたちの強さ、生きる力を。

彼にはゴールが見え続けていたのですね。
しかも、みんなよりもはるか遠くて見えにくい1年後のゴールが。

君は失敗はしたけど、挫折なんて決してしていない。




     失敗とは目標を達成できないこと。
     挫折とは目標を見失うこと。



この違いも彼に教えてもらいました。



それから2日後、


縦断達成した子ども達32名は笑顔で日本海をバックに記念撮影をしていました。
手には縦断証明書を持ち、心には自信と誇りを。



ななくんの手には縦断証明書はなかったけど
何よりも大切なモノを手に入れたように見えました。

閲覧数1,624 カテゴリ日記 コメント2 投稿日時2008/06/19 21:18
公開範囲外部公開
コメント(2)
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  • 2008/06/19 21:37
    やまさん

    来年もやるよな

    1年かかってもゴールさしたってな


    ただ、ルートを変えるどうかの問題が残るな

    たった一人の為に、ルートを今年と同じにするかどうかの問題は残るけど…

    それも、いいのでは

    また、限界を知ることも大事だよね



    でも自分の限界かな? 彼なりの周りへの気遣いがあったのかめ

    いずれにしても、ギブを自ら宣言することは、それなりの覚悟も
    次項有
  • 2008/06/19 21:47
    リタイア~辛い選択だったかもしれませんが・・・
    もう一度チャレンジできる、一つのチャンスだと思って・・・
    そこから、もっと逞しくなって頑張ってくれるのでしょう!
    失敗・リタイア~人生にとって、不可欠な事かもしれないですね。
    次項有
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