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大阪産業大学生涯学習論2025年度 - トピック返信
(2025/12/08)後期生涯学習論第11回目授業の録画と要約
【返信元】 (2025/12/08)後期生涯学習論第11回目授業について
2025年12月09日 06:47


生涯学習論 第11回授業要約

日程:2025年12月8日(月)
テーマ:東井義雄の『村を育てる学力』の思想から学ぶ 生涯学習のあり方

1. 授業の導入と趣旨:最終課題への視座としての「地域を育てる学力」
 本授業では、最終課題の提出が近づく中、「自分にとっての生涯学習とは何か?」を言語化する手がかりとして、東井義雄の教育思想――特に『村を育てる学力』の理念――を題材に深い考察が行われた。教壇に立った和崎は「学力とは何か?」という問いを学生に投げかけ、続いて「子どもを変えるには、まず地域が変わらねばならない」という東井の根本思想を紹介した。

 畑井は自身の48年に及ぶ教育実践の経験をもとに、「知識の伝達」にとどまらず、「社会を構造的に理解し、行動する力を育むこと」が教育の本質であると強調。その視座は、戦後の農村教育や地域開発にも通じるものがあり、学力とは単なる成績ではなく「社会の中で生き抜く知性と関係性」であると説いた。

2. 東井義雄の思想:村を捨てる学力/村を育てる学力
 授業の中心では、1957年に出版された東井義雄の『村を育てる学力』が取り上げられた。東井は、高度経済成長に伴って地方から都市への人口流出が進む中で、「村を捨てる学力」に警鐘を鳴らし、「村に誇りを持ち、村をより良くする力=村を育てる学力」の育成を提唱した。

 この思想は、今日の少子高齢化や地域格差の問題とも深く結びついている。畑井は、戦後復興期に村全体で取り組んだ麦の品種改良実験を例に挙げ、学校が生活の改善を地域に伝播させる「知の媒体」として機能したことを紹介。こうした実践は「生活の論理」と「教科の論理」が結びついた好例であり、生涯学習施設の在り方にも通じる視点である。

3. 教育と愛:「愛に立つ学習」とは何か
 授業の後半では、「学力」と「愛」の関係についても議論された。和崎は「学ぶことは愛することとつながっている」という東井の思想に触れ、アフガニスタンで医療と水路整備に尽力した中村哲医師のドキュメンタリーを例に、「愛に立つ学び」が人の人生にどのような変化をもたらすかを解説。

 畑井は、「汚い村を嫌うのではなく、その村をどう良くするかを考える力こそが本当の学力である」と述べ、子どもたちが誇りを持てる地域を大人たちが作る責任があると力説した。

 また、農業高校でのAI活用などの事例が紹介され、技術だけでなく「人と人とのつながり」や「地域の誇り」が伴ってこそ、真に持続可能な学びになると強調された。

4. 教育のメタ視点と生涯学習の本質
 学力とは単なる「テストの点数」や「偏差値」ではなく、「関係性を理解し、自らの力で変革していく能力」である。この考え方は、生成AIなどテクノロジーの急速な進展によって変化し続ける現代社会において、ますます重要性を増している。

 和崎は、島根県の隠岐の島で行われている「地域の変化によって子どもを育てる」取り組みを紹介。村の教育環境や社会構造が変わることで、子どもたちの学力・自己肯定感・地域愛が高まっていった実例は、まさに「村を育てる学力」の現代版といえる。

 坪田は「学力の向上とは、社会からの評価や信頼が変わること」でもあると述べ、地域と学びの関係において「人間の尊厳を取り戻すこと」も学力の本質であると加えた。

5. 今後への展望とレポート課題
 授業の最後には、以下のような今後のステップが提示された:

 最終レポートの作成:単なる知識のまとめではなく、これまでの学びを「自分の言葉」で綴ることが求められる。授業や対話、地域での経験などを振り返り、自らの人生観や価値観と結びつけてまとめるよう指導された。

 1月8日のチャレンジ発表会:学生の中からプレゼン希望者を募り、自身の学びを他者に共有する機会として設けられる予定。

 生成AIの社会展開の検討:教育・地域づくり・学習支援の観点から生成AIの有効な活用方法を考察・共有していく場が今後も求められる。

結語:東井義雄から学ぶ、生涯学習の原点
 今回の授業を通じて、単に「知識を得る」ことではなく、「地域とともに学び、愛し、育てていく」ことが生涯学習の根幹であることを、東井義雄の思想を通して深く理解することができた。村を捨てる学力ではなく、村を育てる学力へ。変化する社会の中で、自分の学びがどのように地域と関わり、未来を創るのか――学生一人ひとりがその問いに向き合う契機となる授業であった。

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