(2025/10/06)後期生涯学習論第3回目授業について 【閲覧数】123
2025年09月30日 09:44
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10月6日 生涯学習論 第3回講義について
10月6日の後期第3回 生涯学習論の講義については、以下の様に実施します。 (「事前の学習」+「対話による講義」+「事後の学習」と3段階で学びます) [反転学習用録画] [前期授業録画] 【宿題】 「創造社リカレントスクール大阪校」のホームページを見て、リカレント教育の現場で実際にどのようなことが行われているのかを、しっかりと調査しておく。 【注意事項】 今回の授業から、教室の後ろ半分の座席は使用しません!! 全員、前半分に着席して受講すること。 【受講手順】 ①《講義時間まで》 動画をメモ取りながら視聴する。(反転学習) https://youtu.be/1p6ljb5BPxw ②授業で使うパワーポイントに目を通しておく 余裕があれば、地域SNS「ひょこむ」内の授業のコミュニティから、前期の授業の録画を視聴しておくと理解が進みます。 https://hyocom.jp/community/?bbs_id=1410 ③ 講義のまとめついてWebClassを使ったレポートを書き込めるように、原稿をワードなどで作成する。 《受講当日》 ④講義では、対話中心に進めていくので、発言のチャンスを得られるように努力する。 *発言したものは、「4得たこと・感想」の一番最後に、「発言しました。○○という内容について意見を述べました。」というように発言したことを明確に書いてください。 加点します。 ⑤レポート課題をWebClassへ書き込み提出する ◎WebClassでの書き込みは、翌々日(水曜日)23時59分まで可能です。(時間を外れると不可です) * なお、10回まで書き込むことが出来ます。 * 書き込めたかを、時間をおいて確認しておくこと。 * レポート評価について 現在、5点満点で採点しています。 3点を合格として、文字数や項目が不足している場合は減点します。 4点は、具体例を基に自分の意見の論が明確に通っている場合などです。 5点は、特別に主張が見られる場合です。ストーリー性や具体例など優れている場合です。 *コメントを頑張って返すようにしますので、採点後見てください。 コメントについて意見や感想がある場合は、メールで教員に返信して下さい。内容によれば加点する場合があります。 |
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大阪産業大学後期生涯学習論第3回目授業全体講評
【返信元】 (2025/10/06)後期生涯学習論第3回目授業について
2025年10月09日 10:21
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今回のレポート群は、テーマの核である「学び直し」を、制度・文化・技術という複数レイヤーから把握しようとする姿勢が明確でした。
多くの学生が、日本でリカレント教育が低調な理由として、①長時間労働・雇用慣行、②経済的負担と制度の認知不足、③大学側の開講時間やカリキュラム設計の硬直性、を適切に指摘できています。 授業でも示した通り、日本の再入学率の低さや文化的バイアスは統計・経験の双方から確認されており(たとえば「日本の大学再入学率は2.4%」等)、現状認識としては概ね妥当です。 次の段階では、この原因分析を「制度(制度設計・財政)/文化(価値観・空気)/技術(オンライン・マイクロ証明)」に再整理し、どの層にどの政策・実装が効くのかをマッピングしてください。欧州(特に北欧)での学び直しを支える“権利としての学習”とコミュニティ基盤(スタディサークル等)は、制度と地域文化が接続された好例であり、比較参照として効果的です。 評価したいのは、複数のレポートが「抽象論」に留まらず、具体の障壁(開講時間・申請手続き・職場の評価指標)へ踏み込み始めた点です。 加えて、ゲスト講師が示した「環境づくり」の視点――講座開発・講師体制・評価設計・就職支援・品質保証・外部連携――に言及し、学習者個人の努力だけでは越えがたい構造的課題を“設計”で解く方向へ視線が上がってきました。 ここは引き続き強化しましょう。たとえば、①職場側:教育有給・学習成果の可視化(eポートフォリオ/マイクロクレデンシャル)を人事評価に組み込む、②大学側:夜間・オンライン・分割履修、成果物評価の透明化、③ハロワ・民間の就業支援:キャリアコーチングの常設化――を“誰が・いつまでに・どの資源で・どう測るか”まで書き切ること。ゲスト資料にある「評価の工夫」「到達目標の明確化」「就職支援の見える化」「第三者評価・PDCA・外部連携」は、実装設計の骨格になります。 また、多くのレポートが「生の可能性」という哲学的論点に触れ、“学び直し=スキル獲得”で終わらせない視点を獲得しつつあるのも好印象です。私たちは将来に悩み、意味を問う存在である――この前提に立つと、リカレント教育は「役に立つか」だけでなく、「どう生きたいか」を社会と関係づけて再設計する営みへ拡張されます。 授業では、認知症の方を例に「環境が可能性を引き出す」ことも議論しました。学ぶ主体の尊厳を中心に置くこと、そして“小さな声”を拾う制度・文化・場をつくることを、各自のテーマに接続してみてください。 一方で、改善点も明確です。 第一に、根拠の精度――制度名・統計・出典を固有名詞で示し、引用と要約を区別すること(例:教育訓練給付、専門実践、職業訓練、大学拠点の社会人リカレント等)。講義資料の引用箇所はスライド番号や章立てと紐づけると再現性が上がります。 第二に、処方箋の具体性――「オンライン講座の普及」など総論ではなく、対象領域(例:データサイエンス基礎×業務課題解決)を一つ選び、課題設計・評価・講師要件・就職支援・品質保証・外部連携まで接続した“ミニ設計図”を作ること。資料の「講座開発の要件」「講師体制」「就職支援」「品質保証」は、そのままチェックリストとして使えます。 第三に、文化的要因――日本社会に固有の“空気”の作用を検討しつつ、“決めつけ”を避け、反例(学び直しが機能している現場)も併記してバランスを取ること。 提出物としての作法も磨きましょう。 指定字数(800〜1,200字)に収めつつ、構成は「定義(自分の言葉)→対話の要点→原因の三層整理→一つの施策の設計(関係者・資源・タイムライン・指標)→新出語の整理(20〜40字)→疑問と暫定仮説→学んだことと次の行動」を推します。 疑問は“仮説付き”に(例:大都市でスタディサークル的場を移植するなら、学区・企業内コミュニティ単位のハイブリッド運営+若者モデレーター育成が鍵、など)。次回予告にある「現代社会の課題12分類」から各自1テーマを選び、今回のフレームで“学びの設計”に落とし込む準備をしてきてください。 最後に、今回の学びを行動へ接続するための“宿題の質”を上げる提案です。 ①自分の関心分野で、一つ講座(大学・職業訓練・MOOC等)を選定し、時間割・費用・支援制度・成果の可視化・職場波及の計画をA4一枚に要約。 ②学びの成果物を定義(レポート/プロトタイプ/ポートフォリオ)し、評価観点を3点に絞って自己評価表を作成。 ③学びの伴走者(クラス内外)を一人決め、隔週15分の相互レビューを設定。――これはゲスト講師が強調した「到達目標の明確化」「評価のわかりやすさ」「就職支援の見える化」を、各自のスケールで実装する試みです。 総括すると、皆さんは「受け身から能動へ」の転換点に立っています。血液のように教育を循環させるというリカレントの比喩は、“いつでも・どこでも・何度でも”学び直せる社会を私たち自身が設計する責任を示します。 今回の視座を踏まえ、次回は一つの施策を具体に設計し、測れる指標を伴って提案してください。その一歩が、あなた自身の“生の可能性”を拡張し、同時に社会の学習力を底上げします。 |
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(2025/10/06)後期生涯学習論第3回目授業の録画と要約
【返信元】 (2025/10/06)後期生涯学習論第3回目授業について
2025年10月06日 22:45
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第3回講義レポート:生涯学習とリカレント教育 ― 学び直しが拓く未来の可能性 実施日:2025年10月6日(月)/担当教員:和﨑宏、畑井克彦、ゲスト:松村眞吾 1. はじめに ― 生涯学習とリカレント教育の交差点で 今回の「生涯学習論」第3回目の講義では、「生涯学習とリカレント教育」というテーマを軸に、知識基盤社会における“学び直し”の意義と可能性について多角的な視点から検討が行われた。特に、リカレント教育の国際比較、スウェーデンの事例、創造社学園の職業訓練の実際、そして「生の可能性」に関する哲学的考察という3つのセッションが展開され、参加者の理解を深めた。 2. 和﨑宏による導入:リカレント教育の現状と課題 冒頭、和﨑教授はまず、授業に対するフィードバックをもとに教材改善に取り組んでいること、参加率・提出率が良好であることを報告し、学習の積極性に感謝を述べた。そのうえで、「リカレント教育(Recurrent Education)」の定義について以下のように整理した。 初期教育(学校教育)と職業生活の間を閉じるのではなく、「周期的に学び直す」ことでキャリアや人生設計を柔軟に見直す教育のあり方。 特に社会人・中高年・退職後など、いったん社会に出た後の“再学習”の機会として注目されている。 スウェーデンの事例 和﨑は、スウェーデンにおける学び直しの文化を紹介。成人の約7割が「再び学生として教育課程に参加している」現実を示し、日本との大きな違いを明示した。 さらに、スタディサークルと呼ばれる市民主体の学習コミュニティの存在が紹介され、国の制度と地域の活動が一体となって学びを支えている点に注目が集まった。学習協会の運営にあたっては、国が最大60%の補助を行う仕組みが整備されており、「学ぶことは市民の権利であり、共同体の文化である」とする北欧型教育福祉国家の姿が浮かび上がった。 3. 日本のリカレント教育の現状 それに対して、日本の大学再入学率は2.4%(OECD平均は15.6%)と著しく低い。和﨑自身も「40歳を過ぎて大学院に入学した経験」を紹介しながら、日本では再学習に対する制度的・文化的な壁が大きいことを指摘した。 主な要因としては以下の点が挙げられた: ・長時間労働による時間的余裕の欠如 ・経済的負担の大きさ ・「一度会社に入れば学びは終わり」という文化的固定観念 ・社会人が「学び直す」ことへの心理的抵抗感 しかし和﨑は、「これからの社会でこそリカレント教育は必要不可欠になる」と述べ、生涯学習の視点からキャリア形成を再構築していく重要性を力強く語った。 4. 松村眞吾氏(創造社学園)による職業訓練の現場報告 次に、学校法人創造社学園の代表である松村眞吾氏が登壇し、リカレント教育の“実践現場”としての職業訓練校の取り組みが共有された。 創造社学園とは? 設立:1967年 運営校数:5校 年間学生数:約1,400名 年齢層:10代〜50代まで幅広い層が在籍 職業訓練の主な内容 IT・プログラミング・データサイエンス・AIなど、時代の変化に応じたデジタル系スキルの修得 前職の経験値を活かしつつ、ITスキルを掛け合わせて新たなキャリアの創出を支援 松村氏は「学び直しはキャリアの転換点」であり、「就職のための学び」ではなく「人生のステージを切り替えるための学び」であるという視点を強調した。 リカレント教育の成果と課題 就職率:全体で約83% IT業界への転職率:30代までで約90%、40代以降では前職に近い分野への再就職が多い傾向 課題:40代以降の学び直しには時間的・金銭的負担、体力、環境面の支援が不可欠 5. 和﨑 × 松村によるディスカッション 講義の終盤では、角村くんが松村氏に以下のような問いを投げかけ、実践と理論を横断する対話が展開された。 Q1:建築業×英語スキルの組み合わせに将来性はあるか? → 松村氏は「英語は手段であり、建築と組み合わせることで海外案件や国際協業のフィールドが広がる可能性がある」と回答。 Q2:学び直しは本当に誰でも可能か? → 松村氏は「目標が明確であれば、学び直しは年齢に関係なく必ず可能。ただし、モチベーションと持続力を支える制度とコミュニティが必要」と指摘した。 この対話から見えてきたのは、「学び直し=スキルの獲得」にとどまらず、「人生を再構築する力」「新しい社会参加のかたち」そのものであるという本質的な意味である。 6. 畑井克彦によるレクチャー:「生の可能性」とは何か? 最後に、畑井克彦教授による「生の可能性」に関する哲学的な問いが提示された。 チンパンジーと人間の違い チンパンジーは安定的な環境にあれば平和に生きられるが、人間は常に「未来に悩む存在」である。 人間の尊厳は「選択の自由」「可能性への意識」「自分にとっての意味を問う力」にある。 この視点は、生涯学習やリカレント教育を「生きるための技術」にとどめるのではなく、「どう生きたいかを問う哲学的営み」へと昇華させるものであった。 認知症患者における「生の可能性」 畑井は「認知症の人が“何もできなくなる”という偏見は誤りである」とし、むしろ環境次第で本人がもつ可能性が引き出されると述べた。社会のまなざし、支える制度、本人の小さな声に耳を傾ける文化――それらが「生の可能性」を支える土壌となる。 7. おわりに ― 学び続けることは、変化を生き抜く力 今回の講義では、リカレント教育を単なるスキル獲得の手段としてではなく、生き方や存在の再定義を伴う文化的営みとして再評価する視点が提示された。 制度・文化・技術の3つが揃ってはじめて学び直しが可能になる 学びは経済活動と直結する一方で、「意味」や「幸福」とも密接に関わる 人生100年時代、キャリアは何度でも設計し直せる こうした視座を持ちながら、自分自身の“これからの学び”について考えることが、生涯学習者としての第一歩である。 |
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