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【みんなの秘密基地】デジタル図書館ENGAWAとスタジオミームの「【報告】 (2026/01/10)第36回「100分de名著を料理する-キューブラー・ロス『死ぬ瞬間』」」
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【報告】 (2026/01/10)第36回「100分de名著を料理する-キューブラー・ロス『死ぬ瞬間』」
【閲覧数】18
2026年01月11日 05:41
こたつねこ
レポート:「死ぬ瞬間」と向き合う時間 -キューブラー=ロスを囲んで語り合う-
開催日:2026年1月10日(土)
会場:みんなの秘密基地(姫路)+オンライン
企画:「100分de名著を料理する」第36回
課題図書:エリザベス・キューブラー=ロス『死ぬ瞬間』
「死」と真正面から向き合うということ
今回の読書会で取り上げたのは、精神科医エリザベス・キューブラー=ロスの名著『死ぬ瞬間(On Death and Dying)』。参加者たちは、死というタブー視されがちなテーマに真正面から向き合い、それぞれの経験や感情、そして生き方について、深い対話を重ねた。
主催の坪田は、NHKの「100分de名著」シリーズで紹介されたこの本を、日常的な対話に昇華させるためにこの読書会を企画。参加者たちは「死」を哲学的・宗教的・医療的・教育的な観点から横断的に語り合い、「死の受容」が単なる終わりではなく、生きる意志や希望といかに関係しているかを浮かび上がらせた。
死の「体験」から語る:記憶・後悔・希望
会の冒頭、坪田の呼びかけに応じて、参加者それぞれが自身の「死」の体験や周囲の死をめぐる記憶を語った。吉田は父の最期に立ち会った経験を共有し、岩元は病床の友人との「最後の対話」が叶わなかった後悔を語った。
一方、畑井はがん治療の経験者として、自らの病と向き合った時に抱いた死生観を丁寧に語り、死を意識することで「今をどう生きるか」が明確になるという視点を提示した。田靡は、「余命宣告された時間」を「アディショナルタイム」と呼び、その濃密さと生き直しの契機としての意味を共有した。
これらの発言から浮かび上がったのは、「死」は個人だけでなく、その周囲の人間関係や記憶、価値観にも深い影響を与えるということだった。
医療の進歩と宗教の後退:死に場所の喪失
山口は、キューブラー=ロスがもともと宗教界の役割として語るべき「死への準備」を、あえて精神科医として提示した背景に注目し、現代の宗教が「死」を語らなくなったことへの危機感を表明。さらに日本においては、ホスピスやビハーラといった終末期ケアの場が不足しており、「死を支える場所」そのものが社会的に希薄になっているという指摘があった。
福岡は、医療の進歩によって「死の場面」が高度医療化された結果、患者が家族と離れ孤独な環境で死を迎えることが多くなったと指摘。医療がいかに「生を伸ばすか」ではなく、「どう終わらせるか」にも責任を持つべきという倫理観が共有された。
孤独と絶望、そして関係性としての「生」
「孤独」は今回の読書会のもうひとつのキーワードであった。山口は、「自分が愛されている実感のなさ」や「誰ともつながっていないという思い」が、人が死を選ぶ理由になる可能性を示唆。田靡もまた、「孤独が死を望む要因になる」という臨床的な観察を述べた。坪田は、「孤独は人間にとって最も恐ろしい“病”だ」と語り、参加者の多くがこの言葉に共感した。
ここで改めて強調されたのは、人との「関係性」がいかに人間の生きる動機や死にゆく準備に関係するかという視点であった。和崎は、生涯学習とはすなわち「人との関係を生涯かけて学び続けること」だとし、「死」はその関係が断絶される瞬間として理解されるべきだと述べた。
死を語ることは、生を見つめること
福岡は、「この会のように、日常のしがらみを脱いだ状態で人と語り合える場こそが、本当の意味での関係性を育むのではないか」と述べ、「死」を語ることで、逆に「生きるとは何か」が浮き彫りになったと評価した。
叶好秋は、キューブラー=ロスの「死の五段階モデル」よりも、「死ぬ循環」という表現から「子どもとの関係において“ただ一緒にいること”が救いになる」という、深く実感に根ざした気づきを共有した。
ENGAWAという「場」から広がる希望
最後に、坪田はENGAWAという実験的な対話の場が、「真実を語り合える関係性」を築くための基盤であると述べた。単に死を語るだけではなく、それをどう社会的・医療的・教育的に活かしていくのかが、この読書会のテーマでもあった。
山口は、「キューブラー=ロスが問いかけた死への向き合い方は、実は“今をどう生きるか”という問いに直結している」とまとめ、本書が宗教・医療・社会すべてにとっての警鐘であり提案であることを改めて感じたと語った。
終わりに
『死ぬ瞬間』を通じて語られた「死」は、個人の問題にとどまらず、関係性の終焉、社会のケアシステムの在り方、そして希望のあり方といった、重層的な問題を私たちに突きつける。
今回の読書会は、ただ本を読む場ではなく、「死」を通じて「生きる意味」を再発見する場として、静かで濃密な時間を生み出していた。ENGAWAという「縁側」のような空間は、これからも多くの人々が「語ることによって救われる場」であり続けるだろう。
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