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第十六話「信頼と互酬性のネットワークの活用」 「こたつ先生、ビールばかりガンガン飲んでると痛風発作が再発しますよ!」。古家の厳しい一言に半分ほど空いたジョッキを名残惜しそうにテーブルに置いた和崎は、みんなに質問を出した。「このシステムの一番大切なキーワードってなんなんでしょう?」。まず、大学生の井上から「ソーシャルネットワーク」と声があがると、続々と「極点社会」「地産地消」「経済循環」「地域クーポン」「地域活性化」「リソースの活用」「つながりの再構築」「行き過ぎた個人主義からの脱却」などが提示され、藤田から「信頼」という言葉が … [続きを読む] |
第十五話「極点社会化から地域を守る経済循環」 「この仕組みってレストランじゃなくてはダメなんでしょうか?」藤田は申し訳けなさそうに語り始めた。「わたし、主人と一緒に子どもたちに英語を教えているんですが、例えば体験入学のクーポンなんか発行できたら、たくさんのお母さんたちに教室の特長を知ってもらえるでしょう。それにお母さんたちにクーポンを身近に感じてもらえると、お気に入りのいいレストランを紹介してくれたり、お父さんにおねだりしてお食事に利用してもらったりするに違いないですよ」。藤田はこのシステムが飲食店だけでなく、さまざまな地域密 … [続きを読む] |
第十四話「創発する地域のキーパーソンたちの集合知」 サイトによっては若者たち中心のネットワークも少なくないが、一般的に地域SNS利用者の平均年齢は比較的高い。「ひょこむ」もその例に漏れず40代後半のメンバーが中心になっているので、この日のように若者たちがまとまって参加するオフ会はあまり経験がなかった。「オフ会」とはオフラインミーティング(Off-Line-Meeting)の通称で、インターネット上で掲示板やチャット等を使って(オンライン)知り合った者同士が、実際に集まって(オフライン)わいわいと交流すること。それまで実際には面識がなくても、ネットで事前に … [続きを読む] |
第十三話「SNS連携地域型共同購入クーポンシステム」 10分間のブレストがあっと言う間に制限時間を迎えた。ブレストに時間をゆっくり取るとせっかくのアイデアが煮詰まってしまうので短いくらいが丁度いい。「まだ途中やねん!」と泣き言を訴えるグループをなだめて、モデレーターの古家は各チームのファシリテータに5分でグループ毎のアイデアをスケッチブックにまとめるように指示した。それぞれのグループに配置されている大学生が、ポストイットに書き留められた各自のアイデアを並べ替えて、ひとつのストーリーにまとめていく。みんな手慣れておらず時間も5 … [続きを読む] |
第十二話「社会科学モデル国家を支えるコミュニティ・プラットホーム」 中村の発想の原点は、高校の授業で教員の畑井克彦(58)が話した北欧スウェーデンにおけるコミュニティモデルがあった。 経済学者の神野直彦が、スウェーデンの首都・ストックホルムから100キロほど離れた小さな町を訪問した時のことである。ヨーロッパのどこにでもあるような小さな商店街に来ている町の住民は、「田舎だから物価が高い」とこぼしていた。ストックホルムはそう遠くないのだからなぜ買い物に出かけないのかと訊くと、住人たちは「そんなことをしたら地元の商店が潰れてしまう。商店街 … [続きを読む] |
第十一話「小さいからこそできることがある」 もう一方のグループでは、自称・地味な主婦の山田直美(43)が、高校3年生の中村優希(17)とマラソンが趣味の持久力が自慢の大学生・前田真生(18)という若いイケメンに囲まれ上機嫌で語っていた。中村が通っている高校では1年生が必須、2・3年生は選択で、情報科の授業として社会人基礎力養成のために「地域活性化」をテーマとしたプロジェクトに取り組んでいる。その中で中村は、市民数千人を動員する恒例イベントの総括を任される逸材だ。商店街活性化から地域連携創造まで、その守備範囲は広く思考は柔軟だ。 「おばちゃん … [続きを読む] |
朝の連載SNSドラマ『みんなが嬉しい街おこしを目指して』をご愛読頂きありがとうございます。筆者の知的キャパシティの限界からいつ突然廃刊になるか薄氷を踏む状態ですが、救いは読者の皆様からの「いいね!」とコメントです。特にコメントは、激励や感想だけでなく笑えるツッコミなどがあると、カンサイジンの筆者はますますハッスルいたしますので、何卒よろしくお願いします。 さて、読者ごく一部の方から日曜休刊を利用して特別編を出して欲しいという、大変前向きなご要望を賜りました。たとえその方々が現代社会において僅かに生存する絶滅危惧種にカテゴリー … [続きを読む] |
第十話「すでにそこにある未来」 田中隆祐のテーブルは、ブレスト段階から具体的な事例を引き出した議論が沸騰していた。ひとつのグループは、お城の下でイタリアンレストランを開くオーナーシェフの宮越誠(44)、ボランティアで地域SNSの運営管理を担う岡本早苗(52)、広告代理店志望の大学生・田中聖也(19)の3人だった。岡本の「ランチパスポート(ランパス)って利用したことありますか?」という発言で火ぶたが下りた。「参加店のパスポートのついた本を1,000円くらいで買って、その中に掲載されているメニューがワンコイン500円で食べられるんです。わたしのご近所では3冊目 … [続きを読む] |
第九話「潜在化したリソースの可視化」 「ひょっとしていろりさんのホテルには、すごいジオラマありませんか?」。突然のフリに小寺は驚いた。「なんで君が知ってるの?」。「うちの大学には『鉄道模型サークル』という同好会があって、ぼくもその一員なんです。小さな頃から、ずっとプラモデル作ってます。メンバーのひとりが偶然『いろり夢鉄道駅づくり作戦会議』という地域SNSのコミュニティを見つけて、話題になっていたところだったんです」。それは小寺が地域SNSで、ジオラマづくりの仲間たちと交流している掲示板だった。外部公開になっているので閲覧自由 … [続きを読む] |
和崎はアイデアソン実施の概要とその後にセットした大学生たちとの交流会について、いつもの地域SNSの友達である木多見哲夫(54)に相談した。木多見は地方自治体の外郭団体に勤務しながら、さまざまな地域活動に積極的に参加するだけでなく、地元の劇団で舞台にあがる役者であり、県が住民の参画と協働による地域づくりを推進するために設置した「地域ビジョン委員会」の委員長を務めるという素晴らしい人材で誰もから慕われる人格者である。和崎がいつもなにかと頼りにしているキーパーソンのひとりだ。毎年GWに実施する公開授業のご贔屓筋で、今回の若者たちとも授業な … [続きを読む] |
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