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2007年08月17日(金) 
姫路城を愛される写真家北村泰生さんが、播磨時報に掲載された論考です。ご参考まで。

防災事業についての意見を述べると、では姫路城が火事で焼けても良いのかと極論反問される。問題なのは、この事業について、どこまで情報を集め、幅広く検討されたのかどうかなのである。
姫路城防災計画の起案は、防災に関心のある見学者が、姫路城は消防法違反と騒いだのである。そのことが新聞報道され、防災計画を立てる契機になったのだ。管理側としての立場は良くわかる。万一に備えてという大義名分だが、警備員の配置、入城制限など、多方面から充分に検討されたのだろうか。
姫路城は十億円近くを費いやし、平成14年、防災工事が完成した。
工事は、赤外線センサーを張り巡らせ、建造物にはスプリンクラーを設置、監視カメラもいたるところに設置した。スプリンクラーヘッドは天守群内に約1000個、監視カメラは屋内に47台、屋外に15台、計62台だ。
机上では、万全の体制で防災工事を施したのだ。
防災工事は、世界遺産の姫路城を守るといいながら、実は姫路城を大きく攻めていると私は思う。
スプリンクラー、カメラやセンサーの設置のため、城内に延々と配管・配線を敷設したのだ。以前からある消火栓への給水パイプに加えての敷設である。文化財を著しく壊しての工事だ。中継としてポンプアップの機器を置き、国宝の建造物に孔を開けまわり、パイプを張り巡らせたのだ。
その天守群にかかる設備の重量は、素人目に見て150トンは下らないと思う。一説には250トン以上とも言われている。 
昭和の大修理が成ったとき、加藤得二さんは、これで400年は大丈夫と云われ、開城してみるとあまりにも多い見学者を見て、耐久性に問題が出てくると言われたのを覚えている。3000人分以上の重量が常にかかると、耐震性は低下し、建物の寿命は短くなるのである。加藤さんが生きておられたら何と言われるだろう。元技官の西村さんは、論ずる以前の問題であるという。
そして、監視カメラやポンプアップを作動させるため、電気も入った。ひとつ、漏電の心配が増えたのだ。
また、スプリンクラーや監視カメラ、地下埋設管の寿命は、せいぜい数十年だろう。故障、或いは誤作動が起こった場合、どうなるのか。現に昭和の築城が成ったとき敷設した消火栓配管は三十五年で一部地下漏水していたのだ。
本来の天守内は火の気がないところ、生活の場でないので失火もない。一番の心配は人為的破壊行為だ。天守への入城制限。守衛を増やすことや、美術館のように見守りボランティアガイドに常駐してもらう方法を、国宝の姫路城にも導入されるべきである。人間の目が一番なのだ。(どこの城であったか、天守内にボランティアガイドが常駐し、見守りと同時に親切に対応してくれたのが好印象だ)。
また、桂離宮や修学院離宮のように、特に希望する者のみ内部見学を許可し、小グループに案内役が一人付き、天守群に入るという方法なども考えられた。
すでに完成された防災工事、出来上がった設備が充分に活用されることを願うのみだが、一つの意見として記録に残しておきたい。

閲覧数2,355 カテゴリ日記 コメント1 投稿日時2007/08/17 09:49
公開範囲外部公開
コメント(1)
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  • 2007/08/17 11:19
    防災設備については、一長一短があると思うけど
    入場制限は、必要だと思います。人が入るようには、なってないから 昭和の大修理で傾きも治ったけど 多くの人が入ることにより傾きも出てるでしょう。でも難しい問題なんですよね。市が観光資源として使ってるから 文化財の価値が低いように思います。
    次項有
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