ファイル共有ソフト「Winny(ウィニー)」を開発、インターネットで公開し、利用者によるゲームソフトなどの違法コピーを助けたとして著作権法違反(公衆送信権の侵害)のほう助罪に問われた元東京大大学院助手・金子勇被告(39)の控訴審判決が8日、大阪高裁であり、小倉正三裁判長は「被告に積極的な著作権侵害の意思はなく、ほう助罪は適用できない」などとして、罰金150万円とした1審・京都地裁の有罪判決を破棄し、逆転無罪を言い渡した。 最大の争点は、著作権侵害の認識で、検察側は「被告の言動からは、現行の著作権ビジネスモデルに挑戦する姿勢が明らか」と主張。著作権侵害に対する確定的な意図があったと主張していた。弁護側は「金銭的な利益も得ておらず、純粋な技術開発が目的だった」と反論していた。 新しい技術が生まれると、既存の仕組みになにがしらかの綻びが生じるもの。一度、ビジネスモデルが確立したからといって、その持続性を妨げる存在が出現したからといって、言いがかり的な犯罪者の汚名をなすりつけて社会から抹殺しようとした権力の行為にはいささか納得がいかなかった。金子氏は当初から「著作権を保護する方法の検討」を明言しており、それを無視してひたすら立件しようとした検察の姿勢は、厳しく問われるべきであると思う。 |