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2006年10月18日(水) 
 アメリカの政治学者R.D.パットナムによる『哲学する民主主義』を契機に、1990年代後半から「ソーシャル・キャピタル」という概念が多くの研究者の強い関心を集めています。
パットナムはソーシャル・キャピタルとは「人々の協調行動を活発にすることによって社会の効率性を改善できる、信頼、規範、ネットワークといった社会組織の特徴」と定義している。そして「ソーシャル・キャピタル」が豊かなら、人々は互いに信用し自発的に協力するし、各種の公共政策も十分な効果を上げるというのです。

 人は、つながりを失ったとき、利己的な行動に走るのかもしれません。「集合行為のジレンマ」ということが言われています。各人に協力するか裏切るかの選択肢がある場合に、個人にとっては裏切ったほうが得をするが、全員が裏切ると全員にとって不利な結果が生まれます。逆に全員が自分にとっては多少不利な協力をすれば、全員が裏切る場合より全員にとって望ましい結果になります。例えば、環境に悪いと知りながら車で通勤することによって大気汚染が深刻化し、その解決に大変な税金が必要となるが、各人が自発的に協力すれば簡単に排除しうるということなのです。

 SNSは、まさに地域の信頼、規範、ネットワークを目に見えるものにし、それに人々の目を向け、豊かにしていくための道具であるといえましょう。
 巨大なネットワークに育った「ミクシィ」が、ネット内の信頼の欠如からトラブルに見舞われたり、多くの地域SNSが期待される規模に達することなく伸び悩んでいる中、人の絆の持つ能力に注目した設計思想や運用方法を取り入れた「ひょこむ」が、二〇〇六年一〇月に開設されました。実名登録を徹底させたり、紹介者に後見の役目を義務づけたり、ネット上の個人同士の繋がりとして捉えるのではなく実際の地域社会の関係性を相互に活用するなど、これまでのSNSには見られなかった斬新な試みをはじめています。 http://hyocom.jp/

 開設してしばらくの間は、敷居の高さや手続きの煩わしさを理由に、SNSとして成立するかを心配されましたが、「地域のソーシャル・キャピタルの覚醒」を目指す熱い人たちが繋ぐ「絆の連鎖」は、予想を遥かに超えた盛り上がりを創出しています。これまで見過ごされてきた人と人の関係の間に潜む能力が、SNSの上で目覚めようとしているようにも感じられます。

 SNSを活用して、志を共有し、新しいプロジェクトを生み出すことによって、新しい地域コミュニティを築いていく、新しい未来が、今見えてきつつあります。

「地域をはぐくむネットワーク」(昭和堂,2006年11月発刊予定)12章「地域づくりとSNS」より
クトちゃん&こたつねこ著

閲覧数4,013 カテゴリ日記 コメント8 投稿日時2006/10/18 00:15
公開範囲外部公開
コメント(8)
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  • 2006/10/18 00:45
    aoitoriさん
    ひょこむに参加されているメンバーは、ほんとに
    見識の高い方が多く、充実した交流が期待できます。長年、ホームページを運営して、匿名性から、無駄と思える交流も多くありました。
    ひょこむの発展に期待したいです。
    招待いただいた、こたつねこ様に感謝です。
    次項有
  • 2006/10/18 05:49
    aoitoriさん、ありがとうございます。きっと「ひょこむ」の中では、いろんな素晴らしい出逢いが生まれているのだろうと思います。
    「偶然の出会いを運命の出逢いへ」
    SNSがそんなドラマみたいなストーリーに一役買えたら、地域ってもっともっと元気になるに違いない。そう考えて「ひょこむ」をデザインしました。なんか「まんざらホラでもなかったな~」って感じる今日この頃であります(笑)。

    「地元の神様、ありがたくない」って言葉、お聞きになったことはありますか?。すごく立派な人でも身近すぎて評価が低い..という意味。この「地元の神様」をきちんと評価し、つなぎつながることができたら、地域ってどうなるのかな~。人脈がネットワーク化され、きっと持てるポテンシャルが顕在化して、信じられないスピードで互恵主義による活性化が一気に推進する。そして「人と人の関係性」の大切さに目覚めた人たちは、ほどよく支え合うコミュニティを自らの手で構築し、さまざまな地域課題を自分たちで解決していくことができるのではないでしょうか。

    ひょこむが、そんな世直し物語の序章を開く役割を担ってくれようとしているのかも知れませんね。
    次項有
  • 2006/10/18 09:05
    こたつさま
    こたつさんの思いがよく伝わってくる刺激的な論考ですね。ご紹介ありがとうございます。

    こたつさんを見ていてこんなことを思い出しました。
    マズローの段階的欲求説というのがありますよね。
    第1段階 生理的欲求(食欲、睡眠等)
    第2段階 安全欲求(自分の生命や生活の安全)
    第3段階 帰属欲求(誰かに愛されたい)
    第4段階 尊重欲求(他人から尊敬されたい)
    第5段階 自己実現欲求(自己の能力発揮)

    マズローは晩年、これに第6段階を付け加えようとしていたらしいです。すなわち、
    第6段階 コミュニティ発展欲求
    自己が所属する地域社会等のコミュニティが発展することを求めるというものです。

    社会がこういう人ばかりになれば、とても居心地の良い豊かな社会になるのでしょうね。

    次項有
  • 2006/10/18 09:17
    りょうちゃん、物知りやな~。
    第三段階が全うできていないこたつには、第六段階はまだ夢の向こうやねん(笑)
    次項有
  • 2006/10/18 09:52
    aoitoriさん
    「地元の神様、ありがたくない」と言うのがあるんですね。初めて聞きましたが、よ~~く分かります。灯台もと暗し、と同じですかね。よくある現象ですね。周囲で評価が高まって、一番遅れて気がつくのが地元、と言う話ですね。
    ひょこむのメンバーを見て、地元や兵庫県にはこんな人も居られたんだ、と見直して?います。
    次項有
  • 2006/10/18 09:58
    >りょうちゃん、物知りやな~。

    横丁のご隠居をめざしているもので、(^O^)
    こういう小ネタはいろいろと持っているのです。。。
    次項有
  • 2006/10/23 08:22
    「偶然の出会いを運命の出逢いへ」

      出会えることに 偶然はないですね 

    全て 必然 そう考えて 出逢いの ご縁を

       ワタシは 大切にしてます

       袖ふれあうも 他生のえん

    他 生  前世の 縁がなければ 出会えません

    と、、、わたしは    信じてますが
    次項有
  • 2006/10/23 08:26
    『袖ふれあうも 他生のえん』

    「多少の縁」やと思ってました(爆!)
    DS買って勉強する以前の話ですね..(^^)
    ご縁を大切に生きたいと思います。
    姫路の春風さま、ありがとうございました。

    次項有
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