新しい年度の始まりのこの時期は学校の先生方の異動が新聞に載り、カブキにはほろ苦いものが戻ってきます。小学一年生の一年間の担任をしてくださったM先生が結婚のため辞められると知った母親達が手づくりのお別れ会を催したのですが、ゴンタ坊主だったカブキはその席でも友達と取っ組み合いのけんかを始めたのでした。「たいせつな場所で!最後まで迷惑をかけて!」と母の拳を頬に受けてふと見やると先生が黙って涙を溢れさせこちらを見ていたのです。喧嘩なんかしょっちゅうで時間中に廊下を走って隣の先生にぶっとばされたり、散髪してやろうと工作鋏でクラスメートをトラ刈りにしたりと悪気は無いつもりが結果は困らせてばかりでした。 タンゴには題名にアディオスのついた曲が沢山あります。それらの中から本日のタンゴはずばり”El adiós 別れ”です。作曲したのは1916年4月3日生まれの”Maruja Pacheco Huergo マルハ・パチェコ・ウエルゴ”です。 ではTodotangoにあるコルシーニの歌を聴いていただきましょう。 http://www.todotango.com/spanish/Las_Obras/Partitur…spx?id=650 歌詞と対訳は下図をクリック拡大してご覧ください。 マルハ・パチェコ・ウエルゴは驚くべき多才な女性でした。ピアニスタで作詞作曲を教え自らもつくり、歌も歌い詩人で朗誦もし、ラジオTV関連雑誌の記者でもありました。ウィリアムズ音楽学校をピアニスタとして卒業し歌手として色々なリズムでレパートリーは600曲以上に及びました。でも彼女の名声をまぎれない輝くものとしたのはこのタンゴ「El adiós 」です。ほかにもダリエンソやサッソーネといったマエストロ達や有名歌手がレコード化した作品がありますがこのタンゴ El adiósの前ではくすんでしまいます。 |