【ティッピング・ポイント】THE TIPPIG POINT あるアイディアや流行もしくは社会的行動が、敷居を越えて一気に流れ出し、 野火のように広がる劇的瞬間のこと。
メディアヲタクの私が、何度も読み返してる本がありまして。 私が持ってるのはソフトバンクが出版した文庫版の方ですが、 その副題は「ネットワーク理論が明らかにする口コミの法則」。
これ、めちゃくちゃ面白いんです。 というのも、 福井に来てから20数年、 子どもたちのための舞台芸術作品の招聘活動に関わり続けた私だけど、 ある情報が伝わったり、伝わらなかったり、 それによってチケットが売れたり、人の動員が成功したり、 その逆だったりという結果に繋がる法則が「もし」あるのなら、 ぜひ知りたい!!と思っているのデス。
なぜって、本当に苦労をしたから(笑)
なにしろ、芝居やコンサートのチケットって売るのが難しいんです。 何十人って友達に電話かけまくっても「ごめん、忙しい」「その日は予定が」と断られるでしょ、 中間売上報告日には、「この作品が見たい」と言ったはずの人が他の人にチケット売ってなくて、 自分が見たいだけで全体のこと考えてくれてないんだ、、、と判明するでしょ、 結果として運営責任を感じてる一部の人間が必死になって売りまくる。。。と(笑) 実家の父には「文化に手を出すと財産なくすぞ」と脅されたんですが、 まあ、もともと財産ないからいいかと^^
そんな貧乏な市民文化団体で仲間のみんなで年間千数百万くらいの予算を何とかしてきた経験と、 この本に書いてあることとの共通点に、 地域を再生する鍵が見つかるんじゃないのかとボンヤリ仮説を立ててる訳です。
この本はビジネスの世界では結構有名な本なので、 いろんな人が要約をアップしてます。 興味のある方はそちらをお読みいただきたいんですが、 私が重要だと思ってる箇所は、なぜかあまり要約に入ってません。
口コミの感染をスタートさせる特別な人々 のことです。
事例に挙げられているのは、 アメリカの小学生はみんな知っているという アメリカ独立革命前夜の歴史的伝説『ポール・リヴィアの深夜の騎行』です。
1775年4月18日ある少年が英国軍将校の話を立ち聞きしたことから物語が始まります。 「あしたは大変な騒ぎになる」 この知らせを聞いたボストンの銀細工師ポール・リヴィアは、 親友のジョゼフ・ウォーレンと英国軍の大規模な軍事行動が決行されると確信し、 ボストン周辺の町や村に義勇軍を決起するように伝えると、 夜十時から独り馬に乗って二時間で20キロの道を踏破し、 チャールズタウン、メッドフォード、ノース・ケンブリッジ、メノトミーなどの町を通りかかるたびに、 地元の植民地指導者の門戸を叩いて英国軍侵攻の知らせを広め、 この知らせをさらに他の人々にも広めるようにと伝えていったのでした。
ポール・リヴィアの行動は、ウィルスのように伝わります。 マサチューセッツ西部のリンカーンに午前一時、サドベリーには三時、 ボストンから北西60キロにあるアンドーヴァーには五時、 そして九時にはさらに西方のアシュビーにまで届いたと言います。
19日の朝に進軍を開始した英国軍は、 よく組織された植民地軍の抵抗に遭います。 この日コンコードで英国軍は植民地軍に完敗を喫し、 この交戦がきっかけで、のちにアメリカ独立戦争が始まったと言われているのですが、 実は、 前日の夜にこの噂を聞いて行動を起こしたのは、 ポール・リヴィアだけではなかったというのです。
もう一人深夜に馬を飛ばしたウィリアム・ドーズという人物がいました。 しかし、この人が訪ねた先では、リヴィアのような口コミの伝染が起きなかった。 記録によると、リヴィアと同じ情報を伝えたにも関わらず、 ドーズが訪れたウォルサムという主要都市から翌日の戦闘に参加した人はほとんどいなかったと言います。
結果として、今に至るまで英雄としてたたえられているのはリヴィアだけであり、 同じニュースを伝えたドーズの行動は歴史の渦に飲み込まれてしまった。
なぜ、この違いが生まれたのか。
著者は、「特殊な能力」を持つ人間がいるのだと主張します。 日ごろから人間関係を広く管理していて、 この町の誰に言えば一番効率的に情報が拡がるかを本能的に掴むことが出来る人がいるのです。 口コミ情報のハブとも言えるこの人たちが互いに繋がると、 爆発的なネットワークの力が発現される。 (この人たちと、もうひとつの特殊能力の持ち主「自分の知っていることを人に伝えることが好きな人」が組むとベストマッチ☆)
最初に誰が情報を持ち歩くのか。 ここが口コミの命運を分けるんですね~。
問題は、この人たちは特殊であるだけに「少数」だということ。 (ある調査によると150人から200人に一人の割合で存在するのでは?という説もあります) 「大事な事を組織のリーダーを集めて周知したのに、 その先に全然伝わってない」 ってこと、、、ありますよね^^
私も含めて99%の人はポール・リヴィアではなく、ウィリアム・ドーズなんです。 漫然と不特定多数に発信しても、キーパーソンの手に渡らなければ、 大事な情報も膨大な情報の海に沈んでしまう。。。
地域SNS運営の指南書である『地域SNS--ソーシャル・ネットワーキング・サービス--最前線 Web2.0時代のまちおこし実践ガイド 』には、SNSをまちおこしのツールとして設置するためには、最初の色が大切であると指摘されています。(引用箇所を明記しようと、この間から本棚探してるんですけど、どこかへ持ち出したらしく^^ ちょっと迷子になってます。表現が違ってたらごめんなさい。>こたつ博士)
グローバル化の時代に、地域を特定したSNSで何をしたいのか。 そのためにどんな人たちのネットワークを可視化し活性すべきなのか。 様々な地域の試行錯誤から見えてくるものって、、、???
先日、こたつさんのブログで報告があったように、 今年5月末、国からの補助金で設置された「おおがき地域SNS」が閉鎖されました。 大垣市は、私の住んでいる坂井市の情報化計画策定審議会メンバーが先進地視察として訪れたまち。 さて、大垣で何が生まれ、何が育たなかったんだろう。 総括を待ちたいです。
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