そうかそうか
早速読んでみるよ。
こっちも見学の必要ありやね
縄張りの検討により、各時代の特徴が導き出されているところに本書の特徴があるように思った。 南北朝時代の城郭は、尾根に階段状につくられた小規模な郭群だったとされる。巻末の文献史料集からも、但馬の南北朝期の戦争の実態がうかがえる。南北朝時代の城郭の実態は、いまだ、研究的にも不明な点が多いと思うが、南北朝期の戦争の実態や城郭の実情も気になるところだ。 土塁や堀で囲われた方形居館タイプの平地城館が皆無に近いのは、但馬の特殊性なのだろうか。唯一、土塁で囲われた平地城館として取り上げられている岡城が近隣に所在する詰城の法道寺城とともに織豊系城郭と評価されているのは興味深い。播磨の土塁を伴う幾つかの平地城館を検討するうえでも参考になると思う。 岡城や法道寺城とともに、浅間城など幾つかの城郭が織豊系の城郭と評価されている。特に、横堀が織豊系の技術とされており、播磨の横堀を持つ城郭の評価も変わってくるかもしれない。 養父神社を守るように存在する養父神社城砦群も興味深かった。 但馬の城郭は、結構、発掘されているということも知った。太田垣氏の本拠とされる建屋うすぎ城の城下の場市遺跡が面白そうに感じた。守護代所だろうか?発掘調査報告書を読んでみたい。 八木城下の殿屋敷遺跡も興味深い。土塁を伴わない堀囲みの方形居館だったようだ。 山城が非常に密集して存在する地域があるのも面白い現象だと思った。 論考編も充実しているが、特に、西尾孝昌「但馬における江戸期の陣屋」は、全国的にも研究がほとんど無いと思われる千石~二千石クラスの旗本陣屋の空間構造を分析したもの。貴重な成果だ。旗本陣屋でも、千石の旗本陣屋と二千石の旗本陣屋では、陣屋の大きさも変わってくるようだ。 西尾孝昌「但馬の中世寺院の検討」、谷本進「但馬地方における山岳寺院の類型化」も貴重な成果だ。但馬の山岳寺院の類型化は、播磨の山岳寺院を考えるうえでも参考になる。八木城に近接して存在し、八木氏の菩提寺だったとされる山岳寺院の今滝寺を描いた室町期の絵図があるということも初めて知った。 但馬は城郭研究が特に盛んで、西尾孝昌さんと谷本進さんが中心になって調査・研究されてきたと思うが、本書も両氏が中心になって執筆されている。但馬の城館も、但馬の中世史も全く不勉強だったが、本書を読むことによって、かなり勉強になって良かった。 |