高級娼婦の部屋を描写する人気タンゴA media luzの歌詞に”un telefón que contesta,"という奇妙な一節がある。直訳すると”応答する電話”だが、実は電話を持つことは亜国では永い間贅沢なステータスシンボルであったのだ。というのは電話が敷設された(1881年)直後からもう金さえ出せば他人のところからでも接続替えをするような闇行為が横行しはじめ、圧倒的に回線が不足する中、おそらくお金持ちは高い金を払い続けて回線を維持したのであろう。この状態は百年近く続き’78のワールドカップ開催時にやっとブエノスアイレスから整備の手がはいり現在は国中どこからでも自動発信で世界につながる。
この歌の冒頭に出てくる場所コリエンテス348番というのは大統領官邸から北に4ブロックほどで東西にはしる目抜き通りに面して建つビルに観光客向けに大きな看板が掲げられているが誰も気に留める様子はない。