何処でしょう？箱根の山道じゃありませんよ。閉じたカーテンが透かす光だけが贅を尽くした部屋の中を浮かび上がらせる淡き光へどうぞ。

A media luz「淡き光に」

コリエンテス通りの３４８番地（コリエンテス通りは劇場やカフェが多い）
三階へはエレベータで（階はヨーロッパ風に数える）
門番は居ないしお隣さんも無し（つまりフロアー全部を専有）
部屋の中はカクテルと愛
楓仕上げの綺麗な部屋（「マプレ家具店調度品」という説もあるが．．．）
ピアノにマットに台座（必需品のベッドかな？）
ちゃんと通じる一台の電話（さすがお仕事柄備えてあります）
蓄音器が泣く（ビクターは蓄音器の代名詞的存在）
私がお気に入りの古いタンゴで
そして陶器製の猫は
愛に鳴声をあげないため

そして全てが薄明かりの中で
愛は魔物に
薄明かりに繰り返すくちづけ
薄明かりにふたりだけ
そして全てが薄明かりの中で
部屋の中は薄暗く
何と滑らか！ベルベットのよう
薄明かりの愛

フンカルの１２２４番へ
気がねしないで電話を
午後からはお菓子つきのお茶
夜にはタンゴと歌
日曜毎にお茶とダンス
月曜は毎度散らかり放題
小さな家に何でも揃う
クッションにカウチ
薬局みたいにコカも（comeとなっているのはcomoのミスプリだろう）
音がしないラグ
そして愛のためにセットしたテーブル

　　　　　　　　　　　　　　　　　　了
女性が歌う歌とするひとが居るが１９２４年当時まだ女声は少なくやはり男声歌手が「こんな好い所があるぜ」と遊び仲間に吹聴する気分で歌うのも良い。

かって存在したマプレ家具のカタログ