1980年代半ばにデンマークで生まれた「コンセンサス会議」は、市民参加によるテクノロジー・アセスメント(別記事参照)の一つの方式である。90年代以降、この方式はヨーロッパ、アメリカなどで試みられ、98年には遺伝子治療をテーマに日本でも試みた( 「遺伝子治療を考える市民の会議」参照)。 デンマークでは国会の下にあるデンマーク技術委員会がコンセンサス会議を開催している。まず、会議のテーマ(別項参照)が選ばれると、会議全体のプロセスを計画し責任を持つ運営委員会が構成される。この委員会は扱うテーマについての専門家を探し、専門家パネルを構成する。 この会議の中心になるのは、公募によって選ばれた市民パネル(14~16名)である。市民パネルは、そのテーマについて学び、どのような問題を議論するかを決める。それに従って、このテーマに関係するさまざまな専門家が説明し、市民パネルと専門家パネルの間で質疑応答が行われる。これを受けて、市民パネルは討論を重ね、合意(コンセンサス)にいたるよう努力する。その結果をまとめ、広く公表する。なお、会議は市民パネルの討論以外は公開で行われる。デンマークでは、この結果はマスメディアを通じて広く報道されている。 コンセンサス会議を試みているEU諸国などでは、まだ実験段階と言ってよいが、デンマークでは、別項で述べるように、実際に社会に影響を及ぼしている。
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