6月に社長に就くミクシィの朝倉祐介執行役員(30)が、朝日新聞のインタビューに応えて、業績が伸び悩んでいるSNS以外の事業の拡大を加速させるため、スマートフォンの無料通話アプリに年度内に新規参入する方針を示した。ミクシィには約1200万人のユーザーがいて、技術者を4倍に増やして開発に取り組むとのことで、無料通話アプリは最大手の「ライン」、ゲーム大手DeNAの「コム」などに追いつけると判断したという。 朝倉氏は「ミクシィはPC向けで大成功を収めたが、PCにこだわっている間に時代はスマホに変わり、利用者との間に隔たりができた。フェイスブックに客を奪われたと言われるが、今は利用者の目が新しいものに向いているだけだと見ている。ミクシィは10年も20年も愛される、日本に根ざしたサービスになっていきたい」と語っている。 さて、朝倉氏の言う「日本に根ざしたサービス」とは、既存のヒット商品である無料通話やゲームアプリの向こうに本当にあるのだろうか。利用者は時代の流れにあった新しく便利なシステムや気軽に楽しめるネット環境を積極的に受け入れたのであって、後発の事業者が必死になって先行する領域で闘うことがビジョンにつながるとはとても思えない。 人と人とのコミュニケーションを活性するというミッションを実現するには、利用者にとってツールは常に新たに生まれ進化しながらも、ひとつに集約するのではなく生き残った多様な環境が徐々に機能的に融合化(ハイブリッド)していくことが望まれる。その基盤として古来から磨いてきた日本人的地域型コミュニケーション技術を据えることが大きなテーマになるに違いないと考える。 |