藤崎良一(42) 電子機器メーカー勤務・大山町中島三丁目在住、地域活動の経験なし 「あなた~、またPTAで浮いちゃった~!」。 その日の夕食は、妻のグチから始まった。結婚してもしばらくコンサルの研究員として勤務していた妻は、どうやら他の奥さんたちと波長があわないらしい。「学校と地域がもっと一緒になんとかできないかしら」とぼやく妻に「自治会長さんに相談してみたら」と振ると、「あなた会長さん知ってるの?」と返され会話が途絶えた(笑)。 その夜ふたりで、「大山地区自治会」と検索すると簡素なホームページが出てきて連絡先だけはわかった。しかし直接電話をいれるのも気が引ける。ふとページからリンクしてある「大山地区交流広場推進協議会」を呼び出すと、一瞬同時に夫婦で眼をあわせた。 そこには、地域のいろんな人が生き生きと活動している様子が、写真や映像で紹介されていて、中には通勤で一緒になる夏川さんの旦那さんもいた。協議会のHPは、「e-HIROBA.NET」というサイトに入っていて、そこには「県民交流広場事業」として県下各地でいろんな活動が活発に実践されていることが、活動拠点などの情報が埋め込まれた「広場マップ」や「イベントカレンダー」を見て手に取るようにわかる。 翌日バス停で夏川さんに聞くと、いろいろ詳しいことを教えてくれた。夏川さんも途中参加でまだ半年くらいらしいが、気軽に自分のできることを持ちよって参加できるので、地域の人と仲良くなれる絶好の機会だし、さまざまなことを教えてくれたり手伝ってくれたりする。これまで地域とは没交渉だったが、もうすぐ会社も定年退職するので地域でのネットワークができて本当に喜んでいるそうだ。 自宅に戻り、妻にそのことを自慢げに報告すると、すでに彼女はカレンダーにあったイベント連絡先にメールを入れて、今週末に参加することを決めていた。何事も仕事が早い..。 ☆この物語はフィクションです。特定のモデルが存在するわけではありません。 |