時折、テレビなどで、空手の名人とやらがカワラを十何枚も重ねて、一気に割っているところを見ることがある。
こちらとしては、一枚でも痛そうだから、やってみる勇気もない。
今でも、東南アジアの国では、五寸釘を額で板に打ちつけるショ-があったりする。
こちらの方は、板を何度か煮ておくとそんなに痛くないと知っているから、私がするとすれば、圧力釜で板を十分に煮ておけば出来ないこともないだろう。
しかし、カワラはどうして割れるのだろうかと子供のころから疑問に思っていた。
カワラは何枚も割れるのに、板を何枚も重ねて割ってはいない。
回し蹴りで板を割ることはあっても、重ねて割っているのを見たことはない。
反対に、五寸釘を額でカワラに打ちつける技は見たことがない。
カワラを十何枚も割る力なら、釘を打つことも出来そうに思うがしている達人もいないようだ。
最近、分厚いガラスのテ-ブルなどが丸くなっているのを見たことがある。これってどうやって切るのだろうと、思っていたら、三角のガラスの柱もあったり、サイコロのような大きなガラスも見た。
子供の頃に夜店で、ダイヤモンドのガラス切りというのを売っていて、薄いガラスだったが、手際よく切っていて、偽ダイヤなんだろう、何度か買ってしまったが、良く切れたことがなかった。
ガラス屋さんも窓のガラスを入れ替える時にガラス切りで線を引いて、それを端にして、親指でパキンと割っていた。
だから、ガラスを切るのはダイアモンドでするのだろうとは見当が付いてはいた。
でも、あんなに大きく厚いガラスをゴシゴシと切るのにはたとえ機械でも大変なことだろう。
ダイアモンドをカットするのには、薄い円盤の端に金剛砂(人工ダイヤの粒)を付けてカットするのは知っていた。
全部のガラスをこんな方法でしていたら大変な手間だろう。
ものは調べてみるものだ。基本的には昔のガラス屋さんと同じなのだが、ガラスの間にアクリル板を挟むと、何枚でもどんなに厚くとも直角でも円でも切れるのだそうだ。
アクリル板とガラスの曲げに対する抵抗力が違うので、切りたい所にダイアモンドで切り目を入れて、アマリル板を上下にはさんで、その切れ目の所にだけ圧力を掛けるとパキンと切れるのだそうだ。
だから、大きなサイコロ状のガラスも格子状に切れ目を入れて、アクリル版で挟めば、綺麗に切れるのだという。
さらに、このアクリル板とガラスの間に潤滑しやすい液を入れたり、逆に摩擦を増やすようにすると、もっと細かく細工できるのだそうだ。
カワラのような固いものも、この原理で割れば意外に簡単に割れることになる。
カワラは反り返った所が空気に挟まれている。そして、両方の端が接触しているから、力がうまく加われば、スズ-と割れてゆくようだ。
子供の頃の疑問がカワラが割れるように理解できた。
こんなの学校では教えてくれなかったよね。エッ、お前だけが知らなかっただけだろうって、そんな。