1,644万kW/2,071万kW (12/14 13:35)
79%
■バックナンバー
■RSSフィード
RSS 1.0 RSS 2.0 Atom 1.0
■このブログのURL
https://hyocom.jp/blog/blog.php?key=234788
2014年05月31日(土) 
第十六話「信頼と互酬性のネットワークの活用」

「こたつ先生、ビールばかりガンガン飲んでると痛風発作が再発しますよ!」。古家の厳しい一言に半分ほど空いたジョッキを名残惜しそうにテーブルに置いた和崎は、みんなに質問を出した。「このシステムの一番大切なキーワードってなんなんでしょう?」。まず、大学生の井上から「ソーシャルネットワーク」と声があがると、続々と「極点社会」「地産地消」「経済循環」「地域クーポン」「地域活性化」「リソースの活用」「つながりの再構築」「行き過ぎた個人主義からの脱却」などが提示され、藤田から「信頼」という言葉が出て、津川のホワイトボードマーカーの手が止まった。

世界最大級の口コミサイト「Yelp」が2014年4月に日本に上陸した。2004年にサンフランシスコでサービスを開始し、これまで世界25カ国でサービスを展開してきた口コミサイトで、2013年第4四半期には、ユニークユーザー数が1億2000万人を突破、5300万件以上のレビューが掲載されている。レストランのほかにファッションや美容、ショッピング、公共施設、病院など幅広いカテゴリを持っており、サインインする際にFacebookアカウントを連携するか、姓、名、郵便番号などの登録を必須にして実名のレビューにこだわるのも特徴だ。Yelp共同創業者兼CEOのジェレミー・ストッペルマンは、この実名主義がYelp成長の最大の要因だと明言している。

ただ、実名主義だからといってレビューの信頼性が確保できる訳ではない。Yelpは大量の人員を使って常にレビューを監視していて、「やらせ」「いやがらせ」「不適切」な書き込みに対して素早く対処している。特に掲載店舗からの依頼が疑われるレビューについては、潜入調査まで行って不正を特定し締め出すという徹底ぶりだ。「不信を排除することで信頼を確保する」というYelpの運営には、その代償として多額のコストが必要となる。

藤田の発言を受けて和崎が「ひょこむは信頼できますか?」と問いかけると、ほぼ全員が肯定的にうなづいた。この設問には「ひょこむという場の信頼性」と「コミュニケーションする相手の信頼性」というふたつの回答肢が混在している。すでによく知っている仲であれば、相手の信頼性が場によって受ける影響は小さいが、相手のことがまったくわからなくて判断材料がない場合には、場の信頼性がデフォルト値となる。ひょこむでは、場の一般的信頼の向上のために、加入者の実在性の確保、紹介者による抑止力や解決力の存在、オフ会や地域活動というリアル社会との関係確保を展開し効果をあげているので、信頼の確保のためのコストを必要としていない。

続けて「鶴の恩返しという昔話はご存知ですよね。なぜ鶴はおじいさんたちに恩返しをしたのでしょうか?」と問いかけると、全員が声を揃えて「お爺さんから助けてもらったから」と答えた。また、なぜお爺さんが鶴を助けたのかという問いに対しても揃って「かわいそうだったから」と回答した。お爺さんは鶴に恩返しを期待していたわけではないところまで全員一致だ。お爺さんは自然体で怪我をした鶴を助けることで恩を送っていた。恩送りをしていると直接でなくてもいつか自分が困ったときにその恩が戻って来る。「誰かに親切にされたら誰かに親切にしたいと思う」という気持ちは「互酬性」と呼ばれる日本の相互扶助社会の底流に流れる倫理感だ。

サイバー社会論の履修生はみんなよくわかっていて、すかさず聖也が「ソーシャル・キャピタルですね!」と合いの手(愛の手かも知れない)を入れた。信頼関係のある個人間や特定のグループにおいては、信頼とセットで互酬性が芽生えることが多く、また関係が継続的になると両者の関係は相互に補完的に働く。米国の政治学者であるロバート・パットナムは社会に影響を及ぼしているネットワーク化された社会的信頼と互酬性の規範の構造を「社会関係資本(ソーシャル・キャピタル)」と呼んで、ソーシャル・キャピタルが豊かなほど社会的な政策の効果は高いとした。米国の社会学者ジェームズ・コールマンは、ソーシャル・キャピタルの源泉である「紐帯(つながり)」に注目し、「学歴や技能は個人に宿るが、ソーシャルキャピタルは関係に宿る」と述べて、個人資本(ヒューマン・キャピタル)と区別して関係性の重要さを説いている。

「今回の挑戦の目的は「地域の中でソーシャル・キャピタルを構築する」ことで、その目標として「地域内経済循環」や「潜在化したリソースの活用」があって、手段のひとつが「SNS連携地域型共同購入クーポンシステム」ということなんですね」。またまた古家が上手にまとめてしまった。

つづく

この物語は、すべてフィクションです。同姓同名の登場人物がいても、本人に問い合わせはしないでください(笑)

閲覧数713 カテゴリ日記 コメント0 投稿日時2014/05/31 10:25
公開範囲外部公開
コメント(0)
  • 次項有コメントを送信
    閉じる
    名前 E-Mail
    URL:
    ※画像に表示されている文字を入力してください。
■プロフィール
こたつねこさん
[一言]
地域を元気にする情報化に貢献したい♪
■この日はどんな日
■最近のファイル
■最近のコメント
■最近の書き込み