今日は、国連防災会議パブリックフォーラムのパネルディスカッションに登壇します。 http://kokucheese.com/event/index/270182/ ちゃんとしっかり報告できるでしょうか..とても不安! いつになくドキドキしています..(><) 海外の方々がとても多いので、すべての進行は英語。わたしの発表は日本語なので、同時通訳が入ってくれます。いつもなら原稿なしでやるのですが、きちんと通訳してもらうためにも原稿を書きました。 内容は「地域ネットワーク連携の効果」。メイントピックは「村つぎリレープロジェクト」です。 頑張ってきます!! “Regional network strong in accident” Hiroshi Wasaki ▼ 兵庫県姫路市から参りました和崎宏です。 世界文化遺産国宝姫路城も、50年ぶりの大修理を終えて、3月27日にグランドオープンをむかえます。 ぜひ、真っ白に輝く日本の美しいお城を見に来て下さい。 兵庫県といえば、20年前に日本の近代的大都市を初めて襲った直下型地震・阪神淡路大震災が思い起こされます。 わたしたちは多くの友人を失いましたが、このときの情報ボランティアとしての被災者支援が、現在の活動の起点となっています。 ▼ 阪神淡路大震災では、ふたつの大きなインパクトがありました。 ひとつは、発災直後からしばらくの間、被災地の情報がまったく入らない情報の空白「ブラックアウト」が起こったことです。 わたしたちは、直接現地に入って情報をかきあつめ、手探りで支援を行わざるを得ませんでした。 もうひとつは、「災害ユートピア現象」です。 着の身着のままに小学校などの避難所に集まった被災者コミュニティに、3日目から1ヶ月程度の間、充足感に満ち互酬的な社会が出現していたことです。 これは、日本に限らず、災害によってインフラがズタズタになったとき、世界中で見られる現象であるといいます。 ただし、災害ユートピアは、普段から住民同士の交流が活発な地域でないと出現しなません。 ここから、わたしたちの活動のテーマは、ICTを活用して普段からの人つながりを創り出す地域情報化の推進になりました。 ▼ 災害ユートピアの出現条件を考える中で「ソーシャルキャピタル」という社会資本と出会いました。 ソーシャルキャピタルとは、信頼と互酬性がネットワークされた社会基盤のことで、これが豊かであれば災害に強く元気な地域社会が構築できます。 ▼ そして、人のつながりが希薄化する中、ソーシャルキャピタルを醸成する社会装置として、ローカルな地域SNSの効果に注目しました。 グローバルなSNSでは実現できない、信頼・愛着・公共心という地域性、インターネットの利便性、安心安全なゆりかご空間の3つを柱とした地域のコミュニケーション基盤です。 ▼ 日本政府も、2010年に「情報通信白書」において、ソーシャルメディアや地域SNSの推進を提唱し、人つながりと地域性の強い日本の特長を次世代に活かそうとしています。 地域SNSは、ピーク時には全国で570サイト以上が活動していました。 ほぼ50年間、災害の少ない時代を過ごした日本は、阪神淡路大震災以降、各地でさまざま災害に見舞われるようになりました。 つまり、どこかで災害が起これば、そこに地域SNSがあり、人つながりが減災に役立つという環境が、徐々に整備されてきつつありました。 ▼ そこに起こったのが東日本大震災でした。 あまりの規模と被害の大きさに、わたしたちはしばし呆然となりました。 また、16年を経過して、通信インフラが飛躍的に進歩したにもかかわらず、阪神淡路大震災のときと同じように「情報の空白」が生まれてしまいました。 被災地の状況がよく判らない中で、兵庫県立大学名誉教授の岡田眞美子博士がTwitterでつぶやきます。 「車も鉄道もなかった時代、病人などを村々が責任を持ってリレー移送する「村継ぎ送り」があったが、これを被災地支援に役立てられないか」 ▼ このつぶやきに共感した仲間たちが、地域SNSを「村」にみたてて、現代に被災地を支援するリレーを復活させようとしたのが「東日本大震災村つぎリレープロジェクト」でした。 ▼ 普段から交流の深い、全国15の地域SNSが、この呼びかけに応じて、それぞれの拠点で支援物資の学用品を集めました。 2011年4月5日に広島県尾道市を出発したクルーは、兵庫県姫路市で荷物を積み増し車輌を加えて、新たなクルーで愛知県春日井市、静岡県掛川市、東京都葛飾区を経由。 4月9日には、大量の物資を岩手県盛岡市に到着し、三陸沿いの子どもたちに配ることができました。 普段から、地域SNS同士が交流を深めていたからこそ実現した、現代の村つぎリレーでした。 ▼ だれでも当たり前のように使えるようになったソーシャルメディアですが、どれかがあればよいというわけでありません。 発信力と拡散力が強いグローバルSNSの受縁力とアーカイブや検索性に優れた地域SNSの共助力を活かして、日常的に使いこなしておくことが大切です。 また、互酬性の強い堅固な地域ネットワークを醸成しつつ、近隣のネットワークを中心に、それらをゆるやかにつないで日頃から交流を深めておくことは、災害時に自助・共助で助け合う仕組みをいち早く機能させて。減災を実現する大きなポイントとなります。 世界中で災害ユートピアが出現するように、日常的にソーシャルキャピタルを醸成することはどこでも可能です。 ICTを活用して減災に役立つ地域ネットワーク基盤の構築と育成していきましょう。 ありがとうございました。 ▼-パワーポイント画面切替 |