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2015年04月21日(火) 

2007年05月03日

 情報通信の世界には、「ムーアの法則」「ギルダーの法則」「メットカーフの法則」という、それぞれの提唱者の名前がついた三つの代表的でユニークな法則がある。

 この中で最も有名なのが、自らが開発したその後の半導体の進歩を単純な数式で言い当てた、Intelの共同創立者であるゴードン・ムーア(Gordon E. Moore)による「ムーアの法則」である。ムーアは1965年、「Electronics Magazine」に「半導体チップの集積度は18ヶ月で2倍になる」という趣旨の論文を発表した。この法則は、現代まで情報産業界の技術開発のゴールとして役立てられている。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%A0%E3%83%BC%E3%…5%E5%89%87

 「ギルダーの法則」は、米国の経済学者ジョージ・ギルダー(George Gilder)が2000年に自著「TELECOSM」で「コンピュータネットワークにおける通信速度は6ヶ月で2倍になる」と述べた通信帯域の拡大に関する法則である。ギルダーの法則によると、10年で100万倍のペースとなるが、実際には10年で約1000倍くらいであり、それは、1年で2倍のペースに当たる。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%AE%E3%83%AB%E3%…5%E5%89%87

 XEROXパロアルト研究所でEthernet(インターネットの基本プロトコル)を発明し、後に3COM社を創設したロバート・メットカーフ(Robert M. Metcalfe)は、「通信網の価値は利用者数の二乗に比例する」と1995年12月「infoworld誌」に寄稿した「From the Ether Predicting the Internet's catastrophic collapse and ghost sites galore in 1996」の中で述べた。これが「メットカーフの法則」である。

 SNSのようなネットコミュニケーションの場においては、ユーザー数(ノード)が増加すれば、ネットワークの価値であるトモダチ関係(リンク)が2乗に比例して増加するという研究者(愛媛大学法文学部総合政策学科・岡本隆講師)もあり、実際のデータがどのようになっているのか興味深いところである。

 「メットカーフの法則」のように、同じ環境下の利用者が増加すると全体の価値が高くなる性質を持つことを、経済学では「ネットワーク外部性」という。これには正と負の外部性があり、例えば利用者が増加すると競合関係が強くなり、混雑状況が加速してネットワークの価値が下がるケースは、負の外部性である。

 ネットワーク外部性が存在する市場では、ずっと使ってきたものよりも新しいものに乗り換えた方が得をする場合でも、利用者が古いものを使い続けるという「過剰慣性」が働きやすい。「松」から「一太郎」そして「WORD」、「123」から「Excel」、「フリーランス」から「Powerpoint」に乗り換えた時のことを思い起こせばよく分かる。(だからVistaに乗り遅れているわけではない..笑)。より優れたものが決して市場を席巻するのではない(または長い時間がかかる)というのは、このネットワーク外部性の過剰慣性によるところが大きい。

 いわば無意識の間に利用者が「囲い込み」されているわけで、先発技術はネットワーク外部性によって、利用者が増加することによって価値観が高まり、新しい利用者もその環境を選択することとなる。過剰慣性はこのような「ロックイン現象」を生み出して、「ひちり勝ち」という状況をつくり出しやすい。これが「マタイ効果」である。

 「マタイ効果(Matthew effect)」は、米国の社会学者ロバート・マートン(Robert K. Merton)が1968年に「科学におけるマタイ効果」という論文の中で提唱した科学社会学の概念。マートンは新約聖書のなかの文言「おおよそ、持っている人は与えられて、いよいよ豊かになるが、持っていない人は、持っているものまでも取り上げられるであろう」(マタイ福音書第13章12節)から借用して「マタイ効果」と命名した。簡単に言うと「金持ちはますます金持ちになり、貧乏人はますます貧乏になる」という現象によって生まれる不公平な状況「ひとり勝ち」を示している。

 SNS統計ページ(http://sns.satoru.net/ )がインターネットで公開している4大SNSサイトの登録ユーザー数の推移(2007/5/3現在)は、mixi(11,418,826),カフェスタ(1,728,649),gree(650,650),キヌガサ(55,281)と、mixiとその他の差は加速度的に拡大している。これこそ、マタイ効果が目に見える流れと言える。

閲覧数668 カテゴリ日記 コメント2 投稿日時2015/04/21 10:39
公開範囲外部公開
コメント(2)
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  • 2015/04/21 15:06
    aoitoriさん
    >新約聖書のなかの文言「おおよそ、持っている人は与えられて、いよいよ豊かになるが、持っていない人は、持っているものまでも取り上げられるであろう」(マタイ福音書第13章12節)

    これ現代の市場経済、金融市場活動から生まれる格差と同じことを言っているみたいで。昔も今も変わらないんだなあと思いました。

    >「マタイ効果」と命名した。簡単に言うと「金持ちはますます金持ちになり、貧乏人はますます貧乏になる」という現象によって生まれる不公平な状況「ひとり勝ち」を示している。

    これが現代社会と世界の歪みを生んでいるのだろうと思いますが。
    それが分かっても、さてどうすればよいか、となると複雑だなあと思います。
    次項有
  • 2015/04/24 08:43
    > aoitoriさん

    いまは「経済」という物差ししか持ち得ていませんので、マタイ効果が成立してしまうのかな~。別の価値観を指標化することで、バランスをとることが出口になるかも。
    次項有
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