1,710万kW/2,089万kW (10/23 10:35)
81%
■バックナンバー
■RSSフィード
RSS 1.0 RSS 2.0 Atom 1.0
■このブログのURL
https://hyocom.jp/blog/blog.php?key=266710
2016年06月16日(木) 

《この人、この商品 シリーズ1回目》

 

 本物の木綿の良さを伝えたい~~棉屋善兵衛さん~~

 

6月某日の昼下がり・・・兵庫県姫路市の通り沿いの古民家で、澤田善弘さん(57歳)が藍染のシャツを着て糸車を回している。

 左手にあるのは「篠巻き」という棉の束。

 そこから、糸が繰り出されて、右手で回す糸車に巻きついていく。

 機械で作れば均質だろうが、手で繰り出すと、太くなったり細くなったり、そこに“表情”がある。

「デジタルのようにゼロと1ではなく、アナログでローテクなんですよね」

 ふんわりと柔らかい生地の原型がそこにある。

 

左手で棉を繰り出し、右手で糸車を回す善兵衛さん

 

 伝統を背負って

 

 澤田さんは「5代目棉屋善兵衛」を名乗る。

 初代・澤田藤吉は、明治13年に姫路市内で布団用の棉の卸売りを始めた。

 姫路とその周辺は、江戸時代、日本有数の棉の産地だった。

 江戸時代後期、財政難になった姫路藩を立て直した家老、河合寸翁が、木綿の栽培を奨励し、江戸で専売権を得て、高級木綿の地位を確立した。

 澤田さんの父は、綿の需要が減退する中で、空調用のフィルターなど商売の多角化に乗り出した。善弘さんもソフト事業の開発に携わったが、いつしか「綿の良さを伝えたい」と思うようになった。

「本当の綿の魅力」を探求し、徳島に通って藍染を習い、中国やインドにも足を運んだ。

 結局、最高級のオーガニックコットンでなければ、「本物」にはならないと感じ、オーガニックコットンを通常の化学染料ではなく、天然の草木染にして製品化した。

「姫路木綿」の商標も取って、息子さんや娘さんを含め、家族と仲間でショップを運営している。

 

大正10年、澤田さんの祖父が建てた店がそっくり残っている

 

 今が分かれ目

 

 低成長の中、アパレルも「安さが勝負」の世の中。

 そんな中で、澤田さんは、「ここ2-3年がチャンスかな」と密かな手ごたえを感じている。「STORY」や「リンネル」など、女性誌で、特集が組まれ、お母さんたちのナチュラル志向が顕在化してきているからだ。

 姫路市の北部、夢前町の自治会長が無農薬のオーガニックコットンを栽培し、供給してくれることになった。

 普通、商売は、「売れる値段」に対してコストを削る。

 それに対して、澤田さんは、「楽なことを選ばないのが、私のやり方」という。

 手作りにこだわり、「よりいいもの」を目指す。

 店にある「姫山絞り」のTシャツや、ストールは、1万円以下の値段だが、澤田さんは40センチ四方の木綿の布を広げて見せた。

「糸の間隔を広げて、より優しい肌触りにしてみた」という。

 赤ちゃんの肌着として試作したもので、5000円前後の価格になるという。

 広げて見せた藍染のストールは1本5万円にもなる。

「いいものを作るにはコストがかかる。でも、それを理解してくれないと、商売にはならないのです」

 

1枚5000円の赤ちゃんの肌着。風合いがとても優しい

 

 後世に伝えたい

 

「本物」を知ってもらうため、兵庫県各地の小学校で出張授業をしている。

「棉の育て方」「糸を作る」「手織りで布を作る」「草木染めで染める」など4回のコース。子供たちは目を輝かして取り組む。

「綿の良さを後世に伝えていきたい」・・・そこに「妥協」はない。

 ちなみに、「棉屋」の「棉」は糸になる前の「棉」――そこにもこだわりがある。

 

ショップを経営する澤田さんファミリー

 

「世界にこれ1枚」という澤田さんのセールストークに乗せられ、伝統の「姫山絞り」のTシャツを買った私。

 何とも言えない柔らかさ・・・この夏の定番にしよう。

 

笑顔の澤田さんに乗せられて、姫山絞りのTシャツを買ってしまった私

 

                       (文責・坪田 知己)

 

坪田 知己(つぼた ともみ)

岡山県岡山市出身、岡山大安寺高校、東京教育大学を経て、1972年日本経済新聞社入社。
大阪、名古屋、東京で社会部、産業部の記者。日経BP社『日経コンピュータ』副編集長、マルチメディア局企画開発部長、電子メディア局次長、日経デジタルコア事務局代表幹事、日経メディアラボ所長を歴任、2009年末に同社を定年退職。
2003年から2010年まで慶應義塾大学大学院政策・メディア研究科特別研究教授を兼任。
日経時代は、米アメリカオンライン(AOL)との提携交渉を手掛ける。日経のインターネット戦略の策定を主導、「日経・電子版生みの親」と呼ばれる。
現在、JBMIA電子ペーパーコンソーシアム委員長。
定年後、地域づくりに参画する一方、日本の国語教育の改革をめざし、2011年9月に文章講座「稿輪舎」を開講した。
趣味は料理とバイクでのツーリング。

 


閲覧数415 カテゴリ日記 コメント0 投稿日時2016/06/16 10:49
公開範囲外部公開
コメント(0)
  • 次項有コメントを送信
    閉じる
    名前 E-Mail
    URL:
    ※画像に表示されている文字を入力してください。
■プロフィール
こたつねこさん
[一言]
地域を元気にする情報化に貢献したい♪
■この日はどんな日
■最近のファイル
■最近のコメント
■最近の書き込み