このシリーズの前々回に「好きになったピアニスト、マリア・ジョアン・ピレシュ」というタイトルで書いたことがあるが、そのピレシュが演奏するモーツァルトのピアノ協奏曲をYou Tube で視聴しているときに発見したのがルドルフ・ブッフビンダー(Rudolf Buchbinder)である。 「発見した」というのは、僕がこれまで名前すら知らなかったピアニストであったからである。 調べてみると、彼はピレシュの2年あとの1944年に生まれたオーストリアのピアニストで、5歳でウィーン音楽大学に入学、8歳でマスタークラスを履修したという「神童」であった。 その彼も今年70歳、ウィーン音楽界の重鎮と言ってよい年齢だが、今からそう遠くない時期の演奏をYou Tube で視聴することができる。これらはウィーンフィルと共演したモーツァルトの協奏曲だが、彼が指揮者を兼ねるいわゆる「弾き振り」である。 https://www.youtube.com/watch?v=C7F3DzFVaWk https://www.youtube.com/watch?v=9DlcI71eHI4 https://www.youtube.com/watch?v=POWVTXuB68I
彼の演奏を聴いていて感じることは、全くけれんみのない正統派の音楽で、彼が得意とするドイツ・オーストリア系の音楽(古典派)に相応しい演奏家だと思う。 保守的な僕は自己主張の強すぎる演奏や大衆受けを狙ったと思われるような演奏は嫌いで、彼のように作曲者に対して謙虚に向き合った演奏が好きであるが、ウィーンの聴衆には僕と同じような人も多いようで、そのことはこの映像を見ているとよく分かる。
このように、今まで知らなかった演奏家を発見できるという意味で、You Tube というのは便利なツールである。
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