東京都で極めて重大な事態が発生し今もなお予断を許さない状態が続いています。 8月31日、小池東京都知事が緊急会見でこう発表しました。 「豊洲新市場への移転は地下水のモニタリング調査の最終結果が出るまで延期します。」 9月10日、小池知事が再度緊急記者会見でこう発表しました 「豊洲新市場の地下は盛り土されておらず空間になっている事が判明しました。」 これ以後、豊洲市場移転に関して新たな事実が次々と噴出して混迷を深めているのです。 東京都庁は、知事の指示によって関係者に地下空間設置について内部調査を実施しました。 9月30日、内部調査の結果を記した自己検証報告書は次のような結論を出しました。 「審議の経緯を経る間に《徐々に》盛り土施工案が消滅し、モニタリング空間設置案に変化していった。その結果ピンポイントで時期・責任者は特定できなかった。」 この事態を注視していた世間の人々は「やりきれなさ」を抱かざるをえませんでした。 このような経緯で作成された自己検証報告書には「第9回技術会議でモニタリング空間を提言」という記述がひっそりと盛り込まれていました。 つまり、こういう事です。 「外部の専門家を交えた会議の中でモニタリング空間設置案が浮かび上がってきましたので、東京都が勝手に進めたのではありません。」という巧妙なアリバイ作り。 ところが、今朝(10月7日)事態は急変します。 今朝のワイドショーに出演した技術会議に出席した外部の専門家が重大発言をしました。 「モニタリング空間の設置を提言した事はない。」と証言したのです。 この時点では、「海千山千の策を弄する都庁の役人に言いくるめられて戯言にされてしまうんだろうなぁ!」とほとんど期待していませんでした。 しかし、この証言と歩調をあわせるかのように都議会で緻密な追求が行われました。 本日、東京都議会の経済・港湾委員会で豊洲新市場移転問題について集中審議の2日目が行われています。 この集中審議で公明党の大松あきら都会議員が極めて鋭い追及を行っています。 鋭い追及の手掛かりは、東京都庁が関係者に実施した自己検証の報告書です。 何と、皆が「やりきれなさ」を抱いたあの自己検証報告書なのです。 報告書によれば、前記のとおり「審議の経緯を経る間に《徐々に》盛り土施工案からモニタリング空間設置案に変化して行ったため、明確な責任者は特定できなかった。」という事になりました。 しかし、大松都議の追求の矛先は「盛り土をせずにモニタリング空間を設置するように変更した時期は何時か?当事者は誰か?」の一点であります。 大松都議は、「やりきれなさ」が残るあの自己検証報告書をどう活用しようと言うのでしょうか? 自己検証報告書には「第9回技術会議でモニタリング空間の設置を提言」という記述があります。 しかし、今朝のワイドショーに出演した技術会議に参加した外部の専門家は「モニタリング空間の設置を提言した事はない。」と証言しています。 事実、技術会議の正式の報告書によれば、「地下水の水質の《観測用井戸の設置》は必要である。」のみの記述になっています。 つまり技術会議としては「広大なモニタリング空間の必要性は認めない」という結論を出しているのです。 自己検証報告書の記述と技術会議の報告書の記述は明らかに相違しているのです。 技術会議の報告書は「細い井戸は必要」東京都は「市場建物の地下一面に広がる地下空間が必要」と大きく異なる見解なのです。 しかし、技術会議の複数ある報告書の中の都合の良い報告書の都合の良い一部の文章のみを繋ぎ合わせて「技術会議が地下空間を提言」即ち「東京都は地下空間施工の積極的意図なし」をでっち上げたのです。 具体的な手口は、こうです 都側が技術会議の議題として「地下空間の提言」という項目を提案しただけで、実際には審議はさていなかったのです。しかし、議事録には提案事項として記述されていたようです。その経緯を都合良く歪めて解釈すると「技術会議で地下空間の提言」となるのです。 とんでもない言い逃れの口実を考えるとすれば《議題として提案したので「地下空間の提言」は根も葉もない真っ赤な嘘ではない。記憶が曖昧でこのような記述になってしまった。》という理屈になるのでしょうか。 様々な関係者が立証できなかった「自己検証報告書と技術会議報告書の相違は東京都側の誤り(=嘘)であります。」という事実を認めさせたのです。 しかも、ネットで全世界に流されるカメラの前で東京都の担当責任者があらゆる言い逃れ策を次々と繰り出すという妨害が飛び交う質疑応答の過程を一歩一歩前進して確認させたのです。 つまり、東京都が行った自己検証報告書の真意はこうなるでしょう。 「東京都庁がモニタリング空間の設置を求め、権威付け・責任の不明確化のために技術会議を利用しようとした」という事を覆い隠し「技術会議の審議の過程で《徐々に》形成されました。」という体裁を纏う事だったのでしょう。 大松都議は、この自己検証報告書の姿勢に対して厳しく指摘しています。 「過去の過ちを改める姿勢が全く無い。この期に及んでも再度このような誤った報告書を提出してくる東京都は今も隠蔽体質は全く変わっていない。大いに反省して欲しい」と。 これで、大松都議の鋭い追及が終わったのではありませんでした。 豊洲市場の地下空間を設置する設計作業を担当したのは、日建設計です。 大松都議「豊洲市場の設計を依頼した日建設計が基本設計納入の際に、東京都と協議した時の議事録を提出しているはずです。その議事録に地下モニタリング空間設置について東京都の意向が明示されているはずです。提出して下さい。」 東京都担当者「事情聴取のため調査委員会に提出しているので出せません。」と提出を拒否。 大松都議、「小池知事は情報公開を宣言している。東京都トップの小池知事に報告して指示を仰いで下さい。」 東京都担当者、「知事の指示を仰ぎ、ご報告します。」 都関係者の一部は「地下空間は設計事務所から提案された。」という説明をしているようです。 しかし、今日その存在が明るみに出た日建設計から提出された議事録が表に出てくれば、盛り土から地下空間に変化した時期・責任者は明らかになる可能性が大きくなりそうです。 以上の審議の経緯から推測すると、《技術会議の提言》は否定され、《日建設計からの提案》も遠からず否定されるとすれば、「審議の経緯を経る間に《徐々に》・・・」という自己検証報告書の結論は大きく揺らぐ事になってきます。 今日の大松都議が質議の過程から炙り出した結論を確認すれば、至って単純です。 ある意味で、容易に推測できる結論なのです。 しかし、実際には関係者は巧妙に言い逃れをして「責任者不明」という結果に終わってしまうケースが多々発生するのです。 そんな現状の中、極めて緻密に関係者を追求した大松あきら都議の発言の一部始終が下記のサイトに掲載されています。 是非、ご覧になって下さい。 https://www.youtube.com/watch?v=Bkdhj2F4cc4 |