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2017年04月21日(金) 
EELPAのLはLightingつまり電灯のことで、そのような名称は日本でいうと明治大正の頃の話である。エチオピアの電力事情はそれほど遅れていた。

電力を示すPがやっと名称に加わってからのことだろう、1973年にフィンチャプロジェクト(Fincha'a Project)の下で水力ダム発電所と特別高圧(132kv)送電路およびガファルサ変電所が建設されたという状況であった。

その変電所の重要機器である主変圧器の保護に過電流保護継電器しか使われていないとは驚きだった。しかもプランジャータイプという重要回路には普通は使用しない精度の低いリレーだった。

単純な電力系統ではあるが、保護方式が余りにも原始的で戸惑ってしまった。しかし大事な保護リレーだから動作特性はきっちりテストしておこうと器材を揃え試験回路をセットアップして取り掛かった。

リレーには錘を変えた場合の幾本かの特性カーブがエッチングされたステンレス銘板が付属していて、それを目安に指定された特性に設定出来るようになっていた。

ところが指定特性に応じた錘を取り付けテストしたが、銘板通りの特性が得られず、指定値に近づけるには余分に錘をつけねばならない。各相にあるリレーがいずれも同じように特性がズレる。何故だ?

重要かつ唯一の保護リレーであるにも関わらず、変圧器の現場盤に設置されている。普通は空調された制御室に設置されるべきだ。雨季の中を長期間屋外放置されていたせいでバネにサビでも出たのかと調べてみるも異常は無い。

アブラハムもセヨオムも心配そうに覗き込んでくる。「よし、銘板どおりではないが一応指定の特性に調整をしたのでこれで使ってゆこう」と言うが、何とも腑に落ちないのはカブキ自身だ。

リレーの製作は社内の他の工場が行っておりカブキの専門外であった。系統保護技術の知識はあるものの、この旧い保護方式は聞いたことも考えたこともない。その日はリレーのカタログを持ち出しホテルに帰って考え続けた。

通常こういう場合、出張者は工場に問い合わせて指示を仰ぐのだろう。しかし何を問うのだ、現場に居る自分が一番把握できているはずだ。テレックスでやり取りする時間的余裕もないし、先日別件で打ったテレックスに未だ回答も来ない状況なのだ。

要はテスト結果がなぜ期待される特性にならいのか説明できればいいのだ、そうすればリレーに故障は無いと言える。一晩考えて明け方になってなってやっと原因にたどりつき定性的ではあるが説明できると確信した。

翌日いつものようにアブラハムが来て一緒に変電所に向かう車中で「リレーの特性がズレてる原因がわかったよ」と軽く言う。「変電所でセヨオムと一緒に説明を聞いてくれ、まだHARZA内で報告はしていないだろう?」

そうこうして肝心の説明はほんの5分で済んだ。「このリレーの動作特性は、バネの力と電磁吸引力と重力とに依存している。このうち重力というのが今回の問題だ」

「地球上で重力加速度は一定ではない。自転による遠心力の分力は重力と逆の方向で低緯度になるほど大きく重力を打ち消す。また赤道へ近づくにしたがい地球の膨らみも大きくなり地球の重心からは遠ざかり重力を減じる」

「銘板の特性は日本でのものだ(英文ではあるが)。この地エチオピアは緯度が日本より低いうえに標高もありこれも重力を減ずるので動作時間が銘板の特性より短くなる。だから錘を加えて調整するのは間違っていないやり方と言える」

アブラハムもセヨオムもこの定性的説明に「分かった!」と大事な空気を使って声を吐きだした。本当にこの説明が正しいかどうかは日本に帰ってからも確かめてはいない。リレーに詳しいひとに出会ったら訊いてみたいとは思っている。

閲覧数57 カテゴリエチオピア出張 コメント0 投稿日時2017/04/21 09:09
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