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2017年07月25日(火) 

ボロ雑巾になって捨てられる社畜たち

 


2016/5/17(火) 14:13 配信
 
 
管理職や社員として、会社の未来を背負い、誇りと責任を持って働く。
会社はそんな社員たちの「志」につけ入り、過重労働を強いる。
彼らの心や体が疲弊し働けなくなれば、ボロ雑巾のように簡単に捨て、別の「雑巾」を補充する。
働く人の人生すべてが仕事に奪われる「全人格労働」について考えるこの連載で、まずは企業の「社畜」となった管理職や新入社員のケースを例に、働き方を再考したい。
(Yahoo!ニュース編集部/AERA編集部)
 

イメージ:ロイター/アフロ
 
通勤電車で胸が締め付けられる
 
深夜にもかかわらず鳴り響く携帯電話。都内のソフトウェア会社でプロジェクトリーダーを務める男性(46)の体がこわばる。画面に映るのは顧客の担当者の名前だ。電話に出ると、罵声が飛んできた。
「俺の顔に泥を塗る気か!」
「お前たちの会社なんか、すぐにでも切ってやる」
そのプロジェクトは進捗が予定より3カ月遅れていた。納期に間に合わせようと徹夜が続き、睡眠は2時間取れればいいほう。もちろん土日も休めない。しかも、会社に残業代を正直に申告すれば原価率が上がり、給与やボーナスの査定に影響するから、報告は「定時帰宅」。
そんな日々が4カ月続いたある朝、通勤電車の中でのどと胸が締め付けられるように痛んだ。次に、考えがまとまらなくなり、文章も書けなくなった。もともとは斬新なアイデアがぽんぽん浮かび、顧客から表彰を受けたこともあるほどだったのに、後輩からの質問にもうまく答えられない。理由もないのに涙があふれ出て止まらない。人混みが怖くなり、ちょっとした音にも恐怖を感じるようになった。
 
うつ病でも休職させてくれない
 
病院でうつ病と診断され、上司である部長に休職を願い出ると、こう言われた。
「うつ病の人は一度休んだら復帰するまで長くなるから休むな」
会社は都内にある東証1部上場企業で従業員数も1000人を超えるが、常駐の産業医がいない。男性は何度も休職を願い出たが、部長の素人判断で断られ続け、1年半もの間泣きながら通勤した。昼食時間は会社近くの公園で泣き、涙をぬぐって午後の仕事に戻る日々。とうとう食事がのどを通らなくなり、体重が1カ月で8キロも減り、立ち上がることもできなくなって休職した。
 
23年勤めたのに退職金100万円
 
その後5年にわたって休職を繰り返し、休職期間満了による自然退職が間近に迫った今年、「自己都合退職」を選んだ。23年も勤めたのに、退職金はわずか100万円余り。妻は、「社員を捨てちゃう血も涙もない会社だね」と言った。焦って転職したもののうつ病から回復しておらず、3日目から通えなくなった。昨年6月以降は傷病手当金の受給期間も終わっており無収入に。妻もパートを始めたが貯蓄も底をつき、生活保護も視野に入れて8年前に買ったマイホームを売ろうとしたら、小学生の息子に泣いて反対された。男性は言う。
「産業医がいて早く休職するように言ってくれたら、こんなに休職が長引き、退職に追い込まれることはなかったと思っている。ひとの人生を狂わせておきながら会社は最後まで僕に何もしてくれなかった。これからの人生、どうしたらいいんでしょうか」
心の病を抱える社員のサポートに乗り出す企業が出てきている一方で、前回の記事で募集したアンケート(回答者数2799人)では、この男性のように体調を崩しても休職させてもらえなかった人や、けがや病気でも病院に行かせてもらえないという経験をした人は決して少なくなく、追い詰められている労働者は多い。
 


AERA編集部
 
心の病で労災、497人で過去最多
 
厚生労働省の調査では、うつ病など「心の病」を発症し、労働災害(労災)と認められた人は2014年度、前年度より61人多い497人となり、統計が残る1983年度以降で過去最多だった。このうち自殺や自殺未遂をした人も前年度より6割増の99人で過去最多。「過労死危険ライン」とされる月80時間以上の時間外労働をしている人は心の病で労災認定された人のうち約4割を占めていた。
国内の自殺者数はここ数年減少傾向にあるが、政府が毎年発表している「自殺対策白書」によると2013年の10代後半、20代、30代の死因の1位は自殺だ。中でも20代前半では死因の5割以上が自殺だ。
白書によると、20~30代は、全年齢と比べて、就職の失敗や仕事の疲れやミス、職場の人間関係など「勤務問題」による自殺の比率が高い傾向にある。15~34歳の若い世代で死因の第1位が自殺となっているのは先進7カ国では日本のみで、異様な状況だ。
 
「長時間労働・休日出勤がつらい」45%
 
仕事の何がつらいのか。この特集の第1回で実施したインターネット調査(4月26~28日、回答者2799人)で「仕事でつらいこと」を三つまで選んでもらったところ、「長時間労働・休日出勤」が1260人(45.0%)、「給与・待遇への不満」が1220人(43.6%)、「あいまいな評価制度」が1097人(39.2%)、「上司や同僚との人間関係」が1084人(38.7%)だった。過重労働の一方で、給与や待遇で報われず、労働者が疲弊している現状が浮かび上がる。
 


 
営業所の電話転送1日70件

 
運送会社で1年半前から営業所長を務める女性(34)は24時間、携帯電話に縛られているという。営業所の電話が転送されてくるため、トラックの運転手からの問い合わせやトラブル報告、顧客からの仕事の依頼など多いときには1日70件もかかってくる。
子どもは6歳と4歳。やっと子どもを寝かしつけても、転送電話の着信音で目を覚ましてしまうことも多々ある。この春には上の子の保育園卒園式があったが、感動的なシーンでマナーモードにしていた電話が震えた。取引先だった。前日に配送ミスがあり、出ないわけにはいかず、中座し会場の外で電話に出た。一生に一度の大切な日すらもゆっくり味わうことができないなんて、と泣きそうになった。
先日は午後6時半に仕事を終え、急いで保育園へお迎えに行って帰宅し、夕食の炒め物をしていた午後8時、運転手から「愛知で交通事故を起こした」と電話があった。料理の手を止め、各関係先に電話をかける。隣ではおなかをすかせた子どもがぐずっている。結局、電話だけでは対応できず、子ども2人を夫の実家に預け、自家用車で愛知に向かった。その後事故対応に追われ、家に帰れたのは2日後だった。
勤務は最短で朝5時から午後6時半頃までだが、仕事量が多く、長い日は18時間を超すことも。夫は同業で女性の仕事にも理解があり、子どもの朝食や保育園への送りなどを担当してくれるからなんとか日常が回っているが、女性は睡眠を2時間に減らしても、家事、育児がこなし切れない。給与は手取りで月35万円ほど。同世代の女性の中ではもらっている方だとは思うが、管理職に就く前と比べて残業代が出ないので給与は下がった。そんな状況だから、後輩たちは誰も管理職になりたがらない。
「子どもに手の込んだ料理を食べさせることも、話をゆっくり聞いてあげることも難しくて、母親が管理職をすることへの限界を毎日感じています」
女性所長は社内で1人。家事育児との両立に悩み、男性所長に相談しても、「子どもは勝手に育つよ」「放っておいても大きくなるよ」と、無責任なアドバイスが返ってくる。
 
労働は生活の手段にすぎない
 
ロンドン在住の情報通信コンサルタント、谷本真由美さん(@May_Roma)は日本人の働き方の問題点についてこう指摘する。
「日本では仕事に関して、『仕事はすべてに優先する』『期待される以上のことをやるのが当たり前』などと考えられていますが、日本の外では、労働は生活を豊かにする手段にすぎず、自分の賃金以上の労働はしないのが一般的です。正当な対価をもらわない『サービス残業』は賃金体系を崩壊させるものとして批判されます」
さらに谷本さんがおかしいと指摘するのが、仕事の結果よりも人間関係を重視するあいまいな評価だ。採用や異動の際にも知識や経験が海外ほど重要視されず、適性に合わない仕事で疲弊する社員もいる。
 


イメージ:ロイター/アフロ
 
2週間で入社を後悔した文系SE
 
06年に東証2部上場のIT企業に新卒入社した埼玉県の小山祐介さん(32)は入社の2週間後、研修の第一歩のプログラミング言語でつまずいた。「文系でもシステムエンジニアになれる」「丁寧に研修するので未経験でも大丈夫」という誘い文句を信じて採用試験を受け、入社したが、同期入社十数人のうち文系出身者は自分を含めて3人。理系組は午後5時に帰れるが、文系組は研修会場が使える午後9時ぎりぎりまで残り、帰宅後毎晩3時ぐらいまで勉強しても追いつかなかった。大学では、成績上位者に贈られる奨学金を得るほどの優等生だった小山さんだが、社会に出た途端、劣等感にさいなまれた。
人事部や総務部などへの異動願も一蹴され、システムエンジニアとして配属されたが、常駐先の上司に「お前は小学生以下だ」「使えねぇ」などと毎日のように罵られた。当時は郵政民営化関連のプロジェクトメンバー。業務量が多く、よくて終電帰り、徹夜が何日も続いた。残業が月100時間を超える過重労働が数カ月続いたある朝、会社に向かおうとすると、足が動かなくなった。心療内科でうつと診断され、薬を処方された24歳以降、休職や転職を繰り返し、同居する親との関係も悪化した。
「今までやりたくないことをやるのが社会で、それを我慢してやり続けるのが社会人だと思ってきたけど、大学までと違って頑張っても評価されず、心も体もすり減っていくばかりです」
生きる意味を見失いそうになったときに救ってくれたのが友人だったという小山さんは、今後は会社や組織で働くことに見切りをつけ、自分の経験を語り、共有することで、誰かの支えになるような活動をしていきたいという。
 
心身壊れる前に逃げることが大事
 
先の谷本さんは、過重労働で人生を奪われそうになっている人たちへ、以下のようなアドバイスを送る。
(1)個人個人が権利意識を持つ
(2)労働基準法を勉強する
(3)何がいじめ、パワハラ、虐待にあたるかを考える
(4)他の業界の人と交流を持って賃金や労働環境の基準を知る
(5)ひどい職場だと思ったらさっさと辞めちゃう――。

「辞めて経済的に困っても生活保護があるからなんとか生きていける。でも、心も体も一度悪くしたらなかなか元には戻らない。壊れる前に逃げることが大事です」
次回以降は、全人格労働に悩む中小企業の社員や非正規社員のケースを例に、働くことについて考えたい。
 

 
Yahoo!ニュースと週刊誌AERA(朝日新聞出版)の共同企画「みんなのリアル~1億人総検証」では、身近なニュースや社会現象について、読者のみなさんとともに考えます。今回のテーマは「仕事で私が壊れる」。連載の中では、読者のみなさんからのご意見も紹介します。Facebookやメールでご意見やご感想を募集中です。AERA編集部からの取材のお願いでご連絡させていただく場合があります。
 
メールはaera_yahoo@asahi.comまで。
 
https://news.yahoo.co.jp/feature/188


閲覧数360 カテゴリ共生社会、反貧困、起業、産業、企業 コメント0 投稿日時2017/07/25 00:16
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