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2017年08月13日(日) 
 ちょうど一か月前のこと。京都のとあるお店に、今、人気のテレビドラマに出演中のシブーい俳優さんが来られたそうだ。馴染みのお客さんである彼を見て、お店の方が、「今日、亡くなられましたね」と声を掛けると、「13日の金曜日に死んじゃったよ~」と答えられたとか。

 NHK連続テレビ小説「花子とアン」に主人公のじっちゃんとして出演中の石橋蓮司(いしばし・れんじ)さんだ。渋いと言えば、國村隼(くにむら・じゅん)さんも、関西弁のなかなかしぶ~い俳優さんだ。その國村さんが某対談番組で言ってたのが「フレームの中の真実」という言葉。

 1989年ハリウッド映画『ブラックレイン』にヤクザ役で出演した國村さんは、ヤクザ同士の抗争シーンで迫真の演技を見せたという。ピストルをバーンと撃った直後、監督のリドリー・スコットからこう言われたそうだ。

 あなたの演技は確かにリアルで良かったが、こうしてほしい、と演技指導を受けたのだそうだ。その指導とは、撃った直後に銃を鼻のところまで引いてくれいうものだった。そんな~。撃った直後に拳銃を自分の鼻の所まで引きますかいな~(関西弁)と、國村さんは不満だったそうだ。ところが、言われるままに演技をしてみたところ、そちらの方がよりリアルだったそうだ。

 その時、リドリー・スコットが言った言葉が「フレームの中の真実」だった。現実世界では非現実的なことであっても、映画のフレームの中では、そちらの方がよりリアルに見えてしまう。テレビでこの話を聞いて、面白いと思った。そして、よく考えたら、我々の回りは、「フレームの中の真実」だらけじゃないかということに、気付いた。

 今年2月の世間を騒がせたビットコイン。あれもネットワークというフレームの中でしか存在しない通貨だった。個人的には「現代のベートーベン」とか、耳が全く聞こえない作曲家ということで話題になった佐村河内守(さむらごうち・まもる)が思い出される。NHKスペシャルで初めて見て感動した私は、隣のやまむらさんにも、ぜひ録画したその番組を見るように激賞したのだが、あれもテレビというフレームの中だけの真実だった。もちろん、その後の隣の方の冷笑は、なぜか私までもが犯罪者扱いだった~!

 今年になって「フレームの中の真実」を実感させられる事件が続いている。その最大のものがSTAP細胞問題だ。2014年1月28日、記者会見に現れた小保方晴子さんは輝いていた。日本にもすごい研究者が現れたなあと感心し、若返りも可能という言葉に、ついに子供の頃に夢見ていた空想科学の世界が現実になる日が来たんだ~と感動した。ところが…。

 一度、疑惑が持ち上がると、それはどんどん拡大し、素人には、いったい、STAP細胞はあるのか、ないのか、全くわけがわからない状態になってしまった。小保方さんがいくら記者会見で
「STAP細胞はあります。作成に200回以上成功しています。」
といったところで、私には、「宇宙人はいます。私は200回以上コンタクトに成功しています。」のようにしか、聞こえなかった。小保方さんのフレームの中では確かにSTAP細胞は存在しているのだろう。しかし、そのフレームを外したら…。

 今回のSTAP細胞研究に関連して、「病的科学」という言葉を聞いた。   
※ 朝日放送TV番組「ビーバップ!ハイヒール」2014年7月3日(木):
科学者たちの不都合な真実~繰り返される捏造事件の舞台裏 
http://asahi.co.jp/be-bop/backnumber/140703.html  
ウィキペディアによると、病的科学(pathological science)とは、

観察者や実験者の主観やミスによって誤って見出される現象や効果を指す用語である。アーヴィング・ラングミュアによって「事実でない事柄についての科学」として定義された。

とある。そして、その特徴として挙がっている六つのうち、以下の四つが今回の騒動と一致しているように思われる。

● 非常に高い精度で現象を確認した、と主張される。       
● 今までの実験結果とは矛盾する、驚くべき新理論が提唱される。 
● 批判に対して、その場しのぎの仮説で反論する。        
● 発表当初は支持者数が一旦は増えるが、その後次第に減っていき、最後は批判者が圧倒的多数になる。

 今回の騒動と似たような事例は、過去、何回も繰り返されてきているそうだ。たとえば、1903年フランスの物理学者ルネ・ブロンロによるN線の発見だ。これまたウィキペディアにはこうある。

N線(エヌ線、英語: N rays)は、1903年に、フランスの物理学者ルネ・ブロンロ(Prosper-Rene Blondlot)が「発見した」とする「新種の放射線」のこと。 在職する「ナンシー大学」にちなみ、N線と命名。
しかし、追試(再現実験)の失敗により、存在は否定され、結局は、ブロンロらによる「思い込み」による錯誤であったことが判明。現在では、科学史上の「スキャンダル」として記憶されている。
「N線発見」の報を受けた当時は、他の多くの科学者によってもN線は「観察」され、その存在が信じられた。
ところが、ほどなく「追試(再現実験)の失敗」も報告され、この「発見」に疑問を抱いた米国のロバート・ウッドが、フランス・ナンシー大学のブロンロの研究室を訪問、「観察」の錯誤を暴き、その顛末を科学誌に公開したことで、「N線(N線ブーム)」は、短命のうちに終止符が打たれることとなった。
今日では、科学者・実験者・観察者の持つ先入観、各種のバイアス(Experimenter's biasなど)への警鐘・「教訓話」として語られるほか、およそ半世紀後に起きた「ポリウォーター事件」と並び、病的科学の代表例として挙げられる。

 誰も宇宙人がいないという証明はできない。なぜなら、1回でも宇宙人が現れたら、その存在は否定できなくなってしまうからだ。STAP細胞も同じ理屈だという人がいた。1度でも再現実験が成功すると、小保方さんの中にしかなかったフレームが、現実世界にもかかってしまうことになるのだ。

 ウィキペディアの小保方さんの項目で、今回の事件と2002年に起こったアメリカ・ベル研究所のヤン・ヘンドリック・シェーン(当時29歳)による論文捏造疑惑との関連が指摘されているということを知った。興味をお持ちの方は、このページを参照されると、大変似ていることがわかって面白い。
  
【STAP細胞論文問題】科学史上最悪のシェーン論文捏造事件が残した教訓と防止策:http://www.huffingtonpost.jp/2014/04/13/schon_n_5141415.html

 フレームの中の真実。結局、我々の回りには、色々なフレームがあって、意識していようが、無意識であろうが、我々はそのフレームを通してしか世界を見ていないのだ。

閲覧数22 カテゴリ日記 コメント0 投稿日時2017/08/13 12:17
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