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2018年02月15日(木) 
 このように、シリコンバレーの市民起業家たちは、情報化による地域再活性化を実現するために、情報ネットワークを活用すると並行して、地道な努力を時間と労力を掛けて辛抱強く啓発を行っている。

 もちろん、市民起業家自身のネットワークは、インターネットのメーリングリストや電子会議室を利用して高度に効率化はされていたが、ジョイントベンチャーのようなネットワークを構築するためには、個人的な対面接触が必要不可欠であることを彼らは大変重要視していた。市民起業家たちは地域に一番必要なものは、可能性に対する自信と地域でのつながりを復活することによって、シリコンバレー全体で協働作業をスタートすることであると確信していたからであろう。

 ジム・モーガンとエド・マクラッケンの呼び掛けに応えた1,000人の地域リーダーたちは、1年間かけて、教育、医療、情報基盤の構築など広範な分野にわたって専門的な議論を行った。そして、1993年6月にその成果であるシリコンバレー再活性化の処方箋を、報告書“Blueprint for a 21st Century Community”『21世紀のコミュニティの青写真』(1)にまとめ、広く地域社会に発表した。

 かくして、1993年6月21日、地域経済の再活性化と生活の質の向上に寄与することを目的として提案された44の具体的政策を実行するためのコア組織として、サンノゼ市を拠点にJV:SVNが、NPOとして設立されるのである。

 法人設立にあたってJV:SVNは、『21世紀のコミュニティの青写真』の提言を実現するために、テーマ別に議論を進めていた13のグループそれぞれを、ほぼ同時期にNPOとして組織化した(2)。コア組織は民間主導、ボトムアップ型NPOで、事務局は極めて簡素な構造になっていた。

 JV:SVNは全体のコア組織として、最高意思決定機関として複数の組織代表者による共同議長会議を置き、企業、行政、教育機関、コミュニティのリーダーたち25名が理事会を設置、その下に具体的なミッションを持つNPO(3)が、それぞれの理事会や評議会により管理されていた。

 また、ネットワーク全体から、地区選出の政治家、企業幹部、コミュニティと労働組合やNPOのリーダーなど400人以上のメンバーからなるリーダー会議を設置し、相互の活動が協働・連携しやすい環境を構築していた。

 JV:SVNは、コア組織をコーディネーターとする柔軟なネットワーク組織である。いわば、それぞれの活動を通じた一連のネットワーク関係を通じて、人的、金銭的、組織的資源を連携して活動を行う、地域のバーチャル・コーポシーションと考えればよい。JV:SVNのコア組織と各NPOは、1年に一度、協定を交わして、分担する作業の定義・調整を行っていた。

 当初、周囲から懸念されていた財政面の問題は、1994年から95年にかけてJV:SVNのコア組織が17万ドル(約1,700万円、当時のレート1ドル=約100円換算、以下同じ)、各NPOはそれぞれに13万ドル(約1,300万円)から100万ドル(約1億円)超の年間予算を個別に持っていたことからもわかるように、多額の資金を、大小の企業、市、州、連邦政府、専門職組合、財団、そして個人などから提供されていた。これは、JV:SVNが明確な信頼を内外から受けていた証左である。

 その理由のひとつとして、JV:SVNの初代議長を務めたジム・モーガン、その後の引き継いだ州上院議員のベッキー・モーガンや共同議長を務めたシリコン・グラフィクス社社長のエド・マクラッケンをはじめとする、ジョイントベンチャーを主導する地域の大立て者たちが、各NPOの責任者を含めてしっかりとコミットしていることを示し、事実、積極的に活動を展開していたからに他ならない。

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(1) 「21世紀のコミュニティの青写真」については、次のURLにおいて要約が参照できる。
Joint Venture: Silicon Valley Network,1993,”Blueprint For A 21st Century Community”,
http://www.jointventure.org/ , http://www.jointventure.org/resources/publicationns…eprnt.html
更新日不明
(2) のちに事業整理を行い、1995年6月に、11のNPOに再編された
(3) JV:SVNの下には、「ビジネス開発と起業家支援(BUSINESS DEVELOPMENT AND FOSTERING ENTREPRENEURSHIP)」として、「ビジネス・インキュベーション・アライアンス(Business Incubation Alliance)」、「企業ネットワーク構想(The Enterprise Network, Inc.)」、「シリコンバレー世界貿易センター(Silicon Valley Global Trading Center, Inc.)」、「防衛・宇宙コンソーシアム(Defense/Space Consortium, Inc.)」が、「ビジネス環境(BUSINESS CLIMATE)」として、「シリコンバレー経済開発チーム(Econom-ic Development Team)」、「税制・財政審議会(Council on Tax and Fiscal Policy)」、「規制改革審議会(Regulatory Streamlining Council)」が、「社会基盤と生活の質(SOCIAL INFRASTRUCTURE AND QUALITY OF LIFE)」には、「21世紀教育構想(21st Centu-ry Education Initiative)」、「環境パートナーシップ公社(Environmental Partnership, Inc.)」、「健全なコミュニティ・健全な経済構想(Healthy Community/Healthy Economy)」、そして「スマートバレー公社(Smart Valley, Inc.)」がある。

『地域SNSによる地域情報化に関する研究』,2010,和崎宏

閲覧数544 カテゴリ日記 コメント0 投稿日時2018/02/15 16:19
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