- 単行本: 325ページ
- 出版社: 晶文社 (1998/10)
- ISBN-10: 4794912625
- ISBN-13: 978-4794912626
- 発売日: 1998/10
- 商品の寸法: 19 x 12.8 x 2 cm
- おすすめ度: 5つ星のうち 3.5 レビューをすべて見る (2件のカスタマーレビュー)
医療そのものがもたらす病理というスキャンダル, 2005/5/9
“ LIMITS TO MEDICINE --- MEDICAL NEMESIS : THE EXPROPRIATION OF HEALTH ”Ⓒ1976
325ページ中,100ページが脚注というシロモノ。決して独断的、ドグマチックな主張ではなさそう。過激ではあるけどね。 D.E.
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By | daepodong (TOP 100 REVIEWER) |
この本が書かれた当時の医療の水準に思いを馳せれば仕方がないのかもしれないが、「医療が患者をつくる」という医原病という視点にあまりに固執しすぎている。まあ、それが著者の意図なのだから仕方がないと言えばその通りなのだが。
現代でも、二十年くらい前までは、特に癌治療の領域において、QOLとかDFSという考え方がされず、いたずらに延命のみを治療の効果として考えていた時代があったが、それも過去のものとなった。そういう、「生活の質」を重視するような思想がこの本に由来する可能性は否定はできないが、「医原病」ということばさえ知っていれば、わざわざこの本を繙く必要はもはやないように思う。
むしろ、この本が執筆された当時よりも遥かに医療が進歩しているこんにち、病院へのアクセスをいかに容易にするかが重要な問題なのである。欧米では、医療費の問題からむしろこのアクセスの敷居を高くする方向に制度が変わっているが、今の外来治療の目的が予防医学にもっとも重点が置かれていることを思い起こせば(例えば糖尿病、高血圧や高脂血症の治療は、イベント抑制という予防医学的観点からなされていると言える)、「病院は怖いところだよ。病院に行けば勝手に病気にされてしまうよ」という先入観を植え付けてしまうという点では、むしろ本書は有害であるとも言えないだろうか。
「イヴァン・イリイチ
(Ivan Illich, 1926年9月4日 - 2002年12月2日)は、
オーストリア、ウィーン生まれの
哲学者、社会評論家、文明批評家である。
カトリックの神父でもあった。
現代産業社会批判で知られる。
イヴァン・イリッチとも表記される。」Wikipedia
解放の神学 などもご参考に
イヴァン・イリイチ 著書リスト(日本語版)