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2011年07月25日(月) 

堀田 力

 弁護士。公益財団法人「さわやか福祉財団」理事長。法務大臣官房長などを歴任。元・検事。77歳。

 

 

 東日本大震災は私たちに重要なことを教えてくれた。人と人の絆や助け合いなど「共助」がなければ人は決して幸せになれないということだ。誰もが震災のことを心に留めているこの夏は、この教訓と向き合う絶好の機会である。

 震災の被害は人間が作り上げてきた技術や文明の無力さ、モノやカネのむなしさなどを示した。

 寡黙な被災者も、「誰に助けてもらった」、「あの人に会いたい」などと話す。悲惨な状況の中でも一時の心の安定や笑いを得ているのは、避難所や仮設住宅で人々の触れ合いや助け合いがあるからだ。誰でも繋がりがないと心細いものだという人間本来の弱さを震災が事実として教えてくれている。震災後、結婚する人が増えたというが、一人では生きられないと身体で感じた人が多いからだろう。

 だが、それだけでは共助にはつながらない。人がつながり、助け合うと、助けられる人だけでなく助ける人にもかけがえのない喜びが生まれ、皆が幸せになる。それが共助の本当の意義だ。それを体感できるのがボランティアだ。

 戦後30年、日本人はモノとカネが幸せになるカギと信じて国造りに励み、子供は自力で勉強、進学し競争に勝って良い就職をするよう育まれた。その間、「自助」の精神だけが尊重され、共助の精神は失われた。経済大国になり国民はそこそこ幸せになったが、高度成長を終えた1970年代半ば以後、競争に敗れた子は生きる喜びを見出せず、経済競争に敗れた人が社会から転落、犯罪に手を染めるなど、活力が失われた。

 そんな中、95年の阪神・淡路大震災では、120万人がボランティアに参加した。当時私は、「ボランティアという言葉も知らず、テレビなどで被災者を見て、居ても立ってもいられず、やってきた」という多くの若者に出会った。

 だから、「人には人を助ける遺伝子がある」と私は言っている。震災で、その遺伝子にスイッチが入ったのだ。多くの人が助け合いの大切さに気付き、それによって自分が元気になれる体験をした。

 今回の震災後、義援金への協力を呼びかけて私は毎朝辻立ちをしているが、私の声に耳を傾けるのは主婦や子供、高齢者らだ。

 子供は素直なので、人間本来の持つ一人の寂しさを身体で感じ、つながりを求める。その傾向は、幼いほど強い。夏休みは親子が共に過ごし、話し合う良い機会だ。被災地に行かなくても良いから、地域の活動に参加したり、日頃触れ合いの少ない祖父母を訪ねるなど、誰かの役に立ち、人に喜ばれると自らも嬉しいという体験を是非して欲しい。親は子供を見守り、そんな行動を褒めることだ。

 私の言葉に耳を傾けないのは、主に働き盛りの男性たちだ、ゆとりがないのだろうが、それでも、震災で命の脆さは感じただろう。夏休みは家族と過ごし、子供の声に耳を傾けるなど、まず家族との心の繋がりを取り戻すことだ。やがて地域、ボランティア活動などへと、その繋がりは広がっていくだろう。

 何のために生きるのか、今一度考えて欲しい。経済を良くするのは重要だが、それは基礎に過ぎず、絆がなければ人は幸せになれない。100年に一度という大震災がそれを示している。こうした稀な頻度でしか、実体験出来ないことだ。それを活かさない手はない。

(聞き手・編集委員 南 砂)

 

讀賣新聞 2011年(平成23年)7月23日(土曜日) 12ページ(解説)


閲覧数81 カテゴリ東日本大震災、防災、減災、原発 コメント0 投稿日時2011/07/25 09:54
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