12日に延暦寺へ参詣したときの紀行(続編)です。 ケーブルの延暦寺駅から10分ほど歩いて、建物が並んでいるところに到着しました。
延暦寺は3つのエリアに分かれています。到着したところは「東塔(とうどう)」と呼ばれるエリアで、そこから西へ少し離れたところが「西塔(さいとう)」、西塔から北へかなり離れたところにある「横川(よかわ)」ですが、今回は時間の関係で東塔エリアだけを巡ることにしました。東塔エリアは「根本中堂」がある延暦寺の中心部です。
延暦寺の総本堂である根本中堂(国宝)は現在大修理が行われていて、すっぽりと素屋根で覆われています。 一昨年の4月にここを訪れたときは工事が始まったばかりでした(右の写真)が、それから2年、工事は本格化しているようです。 工事中でも拝観が可能なので中へ入りました。迷路のようになっている工事現場の中を、床の上に書かれた矢印に従って歩いていくと、お堂の正面へ出ました。 本尊の薬師如来を拝んだあと再び矢印に従って進んでいくと、頑丈に組まれた足場がありました。「見学コース」と書いてあるので上がってみると、回廊(重文)の屋根の葺き替え工事が行われていました。ここだけは「撮影可能」の表示があったので、貴重な写真を撮ることができました。手前が葺き替え前、中央から向うが葺き替え作業中ですが、葉書大の木片を貼り重ねる「こけら葺き」なので、大変時間のかかる作業です。
根本中堂を出て元の道に戻り、少し東の高台にある文殊楼へ上がりました。雪の中に立つ楼閣、なかなかいい風景でした。
このあと更に東へ行って、延暦寺会館(宿坊)のラウンジで一休みしました。東側がガラス張りになっていて、眼下に坂本の町と琵琶湖が望めました。
会館を出たら、玄関の向いに御所人形のような童形のお地蔵さんが置いてありました。「平和地蔵菩薩」と書いてあります。 そう言えば、天台宗は毎年「比叡山宗教サミット・世界平和祈りの集い」を主催するなど、平和を願う世界の宗教界で主導的役割を果たしています。
来た道を西に戻り、根本中堂から南西に少し上がったところある大講堂(重文)へ行きました。 このお堂は南を向いていて、日当たりがよいのか正面の雪はほとんど消えていましたが、日陰になる時間が長い他の3面ではきれいな雪景色が見られました。 このころになって、ちらついていた雪も止み、空は晴れ渡ってきました。
大講堂から少し西へ行くと、杉木立の中にひっそりと佇むお堂がありました。戒壇院です。 中は人気がなく火の気もないので、屋根にも庇にも積もった雪がそのまま残っています。
戒壇院から南東へ少し歩き、長くて幅の広い石段を上がったところに朱色も鮮やかな建物が並んでいます。手前が阿弥陀堂、向うが東塔です。後ろに見える山は比叡山の最高峰「大比叡」(標高848m)の一部です。 雪の積もった石段を、滑らないように気をつけて東塔の前まで上がって振り向くと、眼前に広がる美しい風景に目を見張りました。 晴れるとともに視界もよくなっていて、近くの坂本の町や琵琶湖の南湖はもちろん、対岸の草津から守山の市街地、その向うにある三上山(近江富士)までが見渡せます。 近景の雪や氷が付いた木の枝、鎖を伝った長いつらら、これらもいい風景です。 東塔から下りたところにこんなものがありました。これもお寺ならではの雪景色です。
ここを最後に延暦寺をあとにし、4時30分発のケーブルに乗って下山しました。 道路にあった表示板に「只今の気温 5℃」と出ていました。家にいると寒く感じる気温ですが、このときは暖かく感じました。 |