聴診記
精神医療で人生台無しリンク切れ
女性が拳で殴って穴を開けた自宅の部屋の壁。「この攻撃性も向精神薬のせいに違いない」と母親は憤る。
精神医療は患者を助けるどころか、苦しめているのではないか-。福岡都市圏に住む30代後半の女性の話に、そんな印象を抱いた。
15年ほど前、女性は自営で仕事をしていた。同居していた父親が脳梗塞で倒れて働くことが出来なくなったため、自分がもっと頑張らなければと事務所に連日泊り込んで仕事に専念した。半年ぐらい、そんな生活を続けると、調子が悪くなった。イライラが募り、大好きな刺し身を食べても「ゴム」を噛んでいるようで味を感じなかった。
女性は「こころの問題に専門的に取り組む」とする病院に駆け込んだ。そこでA医師に「抑うつ状態」と診断され入院。4~5種類の向精神薬を処方された。入院は二ヶ月間に及んだが、向精神薬の所為で常に酔っぱらっているような状態だったため、どう過ごしたかは記憶が曖昧だという。
退院後もA医師の元へ通院し、向精神薬を飲み続けた。しかし、状態は悪くなる一方。起き上がることがほとんど出来なくなり、自分で入浴や排泄さえ出来ないようになった。
気が利いて働き者だった女性の信じられないほどの変貌ぶり。一緒に暮らす母親(72)は心配でたまらず、A医師に「あの子はどんな病気なのですか」「どういう治療をしているのですか」と必死の思いで尋ねた。
ところが―。A医師は「お母さんは黙っときなさい」と、何の説明もしなかったという。
× ×
女性はA医師に見切りをつけ、向精神薬を断つ決意をした。約10年前のことだ。ところが、離脱症状と見られる幻覚、震え、下痢といった苦しさが続いた。別の医師に処方してもらった向精神薬を飲まざるを得ないこともあった。結局、向精神薬を完全に断てたのは約4年前だ。
今なお体調は悪く、自宅療養が続く。だるさや頭のもやもやが付きまとい、むかついて吐くこともある。自宅の部屋の壁を拳で殴り穴を開けたこともあった。
「娘は精神疾患ではなく向精神薬の副作用に苦しめられ続けているのは間違いない」と母親。「色々と自分達で勉強することで、娘が精神医療の被害者だということが、このごろ、やっと分かったのです」と憤る。その隣で女性は「私にとって医者は悪魔」と顔をしかめた。
仕事だけでなく恋愛、結婚、子育て・・・。普通なら、そうしたことに胸を弾ませながら過ごす年代を向精神薬で台無しにされたかもしれない女性。その悔しさを想像すると言葉が無い。
A医師はどう思っているか。反論も有るのではないか。取材を申し込んだが拒否された。
(西山 忠宏)
☆☆☆ ☆☆☆ 転載ここまで ☆☆☆ ☆☆☆
西日本新聞 2013年9月6日付け
聴診記
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文字起こしを終えた所で唐仁原 直子さんから新聞紙名、日付を聞いた。
やれやれ・・・