わが国日本は世界でも有数の森林王国なのですね
アマゾンでの森林火災はやくく鎮火すればと
思っています。
フランスの観光地で開催されていた先進国サミット、G7も何とか終わり、バカンスを邪魔された一般人も、商売を中断しなかればならなかった地元住民もほっとしていることだろう。 だいたい、こんな中身のないお祭り騒ぎをどうして書きいれ時の観光地でやるのだ。今回もそのためにフランス全土から警官が動員され、他の都市の犯罪が増えるのではと危ぶまれていた。今のところそういうニュースはないけれど、昨今はどの国でも政府が報道規制をやっているので実態は分からない。 さて今回は、気候変動・温暖化防止が重要な議題と言われていたが、このテーマと保護主義の問題とはどうも扱いにくいらしく、あいまいなままで終わった。 それでも貿易問題については「G7首脳の宣言」の中で一応触れていたが、環境問題には言及していない。 この会議の直前からマクロンはアマゾンの森林の火災について何度か重大な懸念を表明し、ブラジル大統領と喧嘩しまくっていたが(お互いの妻のことまで引き合いに出したのは幼稚園児なみ)、それが議題に上らなかったのはなぜだろう。 アマゾンの森林火災の実態については多々報道されているが実態のほどは分からない。現在のアマゾンの写真を見ようとしたら、「中にはかなり古い写真もあり、現在の状況とは異なる部分もあるので信用しないこと」とあり、あほらしくなって止めた。 事態をできるだけ大げさにして注意を引こうと、最悪時・最悪場所をポスティングしていることが結構多いそうで、環境派や報道陣の良心・責任感など信用できたものじゃない。 そこへ環境破壊ということでマクロンの芝居がかったような憤激やブラジル政府糾弾の声を聞き、ちょっと待てよ、とひっかかるものがあった。 マクロン大統領の言うには、そしてこれは大方の環境派の意見を代表していると思われるが、アマゾンの森林は世界で放出される二酸化炭素を吸収する役目を担っており、その面積の大きさから地球にとって極めて重要なものなので、それを火災で失うことは人類にとって甚大な損失になるのだそうだ。 そしてブラジル政府が消火活動に本気で取り組まないのは、森を伐採してそこを居住可能な地域にしようとする不動産業者と「つるんで」いるからだという。 真偽のほどは分からないが、ありうる話だと思う。これと同じことが、規模は異なるが毎年のように繰り返されるギリシアの森林火災についても言われており、それは事実らしい。 ギリシアはおなじEU圏なので、そっちの森林の心配をしたらどうだ、と言いたくなるが、何しろアマゾンは「世界の環境の救済」のために必要なので黙っていられない、ということらしい。 それで欧米の環境派とジャーナリストは口を極めてブラジル大統領を非難している。アマゾンは人類共通の財産だというわけだ。 だけどそういう理屈で行くと、中東や南米の一部の国の石油だって人類共通の財産ということになりませんか。勝手に掘って販売されちゃ、地球の将来が危ぶまれる、のではありませんか。 ブラジルに言わせれば、アマゾンはわが国のものだ(ブラジルにあるのは全体の60%らしいが)、自国のものを好きにして何が悪い、という理屈もあるのだろう。 にもかかわらず、それを人類共通の財産と主張するなら、それを守るための費用と、開発を阻まれて商売できないブラジルの不動産業界の損失を補うための賠償金を世界各国が払うべきということになる。 そのあたりは先進国も全く無視しているわけではないが、マクロンが申し出たEUからの援助金が2千万ユーロ(25億円)というのにはヘソが茶を沸かす。25億円ぽっちのはした金で何ができる? それだけの金を払って豪邸を建てさせる富豪やセレブもいる今の世の中で、なんとまた現実認識のない人だろう。これで元銀行家なんて。 だけど私はそれより、アマゾン・アマゾンと騒ぐけれど、その森林がナンボのもんじゃろう、と思い、面積や環境への影響の度合いについてちょっと調べてみた。 そしたら、一番手っ取り早い情報源であるウィキにはいきなり 『「地球の酸素の1/3を供給する」とする説もあるが、これは間違いであり、実際にはアマゾンの熱帯雨林は極相状態にあり、若い樹木と比べて効率の悪い葉と酸素を大量に消費する巨大に育った幹の存在によって、酸素や二酸化炭素の消費と放出が均衡しているため、開発によって樹木や土壌に固定された炭素を大気中に放出しない限りは、大気成分に影響を与えない。』 とあって、ガーンである。マクロンさんはこれを知っているのでせうか。 もっともここにあるように、「開発によって樹木や土壌に固定された炭素が大気中に放出」される危険があることが直近の問題なのだろうが、今のアマゾンが地球の酸素供給に貢献しているわけではないことは政治家ならきちんと把握して、「人類共通な財産」などと大げさに言いたてないでほしい。 本来ならブラジルはアマゾンの若返りを図るべきところ、700万平方キロ(の6割)の樹木を植え換えたり手を入れたりというのは、ヘラクレスが命じられた「十二の功業」よりも難題だ。そこへたったの25億円かい。 しかし私が真面目に考えたのは、森林、それも人の手の行き届いた良質の森がそれほど環境に寄与するなら、欧州先進国はブラジルを責める前になぜ自国の森を増やさないのか、という点だった。 それで各国の森林面積の割合を調べてみたのであるが、ここで小国・大国、金持ち国・極貧国とりまぜた比較をしていると長くなるので、とりあえず先進国だけを比べると、下に添付したような結果となる。(もっと詳しいデータを見たい方は、Global Noteの世界の森林率・国別ランキングを参考にして下さい。) びっくりしましたね。北欧のフィンランドとスウェーデンが活躍している一方で、中欧も南欧ももちろん東欧も、森林に関してはお粗末なものである。北欧だって、デンマークには森などほとんどないし、ノルウェーも33%程度だ。 意外だったのはスイスで、森林だらけと思われるかもしれないが、いえいえ、実際はドイツより少ないのですよ。これは山=森ではないからで、スイスの山は岩だらけ、しかも花崗岩だから固いのなんのって、植物が根を張るにも、文字通り根性が要る。 カナダでさえ38.16%。アメリカは砂漠もあるし、33.93%。(ここは下の2005年でなく2016年のデータを参照しています。) 笑えるのは(本当に笑ってしまったが)、最近トランプが売ってほしいと言い出してデンマークからすげなく断られたグリーンランド。森林面積の割合はゼロですよ、ゼロ。戦略的価値がある島だそうだが、それより、樹木のまるでないランドに「グリーン」と名づけた人はどこの誰よ。 そこにいくと、日本は立派なものではないか。私はすっかり嬉しくなった。何と68.46%(2016年データ)、3分の2以上が森林で先進国中ではフィンランド、スウェーデンとならぶ森林大国だ。 なるほど、これだけあれば、日本で排出される二酸化炭素は吸ってくれますよね、多分。日本でCO2、CO2とあまり騒がない理由はここにあるのだろうか。 そしてその森林国日本の中で最も森林面積の大きいのは、わが高知県だという。納得です。だってこの私ですら山林(山=森なのが日本)の所有者なんですもん。 一文にもならないのに税だけは徴収され、額は大したことはないとはいえ、私の森も二酸化炭素の「固定」に役立っているんだから、逆にいくらか払ってもらいたいくらいだ。 それにしても欧州各国は実に偽善的である。欧州大陸の面積は1018万平方キロなので、現在の平均的な33%という森林面積率を50%以上に増やせば、今回燃えたアマゾンの樹木の分くらい補えるはずだ。 一朝一夕にはいかないことは分かっているが、私の住むシュヴァルツヴァルト(黒い森)の経験でいうと、トウヒなどの針葉樹は成長が早くしかも木材としての用途もあり、だから森の世代交代も望める。もちろん木の価値においては日本のスギ・ヒノキには完全に負けますけどね。 フランスもドイツもイギリスも、自国の森はじゃんじゃん伐採してかつては産業用燃料にしたり、近年はそこに町村を作ったり、ブラジルの不動産屋から「どの口が言うか」と嘲笑されるようなことをやってきた。 でもEUの会議でも、G7みたいな世界会議でも、政治家たちはよその地域の森が減ると口を極めて罵るけれど、「欧米はもっと森林を増やしましょう」とは言わないんだよね。どうしてだろう。 (下のグラフは2005年のもので少し古く、2016年のグラフを見ると、韓国を除くほとんどの先進国で森林面積の割合は若干、ほんの少しですが、増えています。) |