★互福報 第346号(2020年1月3日)~芭蕉と007~
2020年01月03日(金)
「週刊?やまむら」で始めたのはたぶん1998年頃。最初は知り合いにメールマガジンとして送りつけていた。その頃のメールデータが開けられず、確認できるのは1999年の19号から。そして、2001年の10月に百号達成。
子供の頃から三日坊主だった。ピアノも一日でやめてしまったから、ド(親指)、レ(人差指)、ミ(中指)、ファ(薬指)、ソ(小指)の次は、「ラシドがないぞー!」と、叫んでしまう。そんな自分を知っているから、まさか百まで続くとは思っていなかった。
百号の書き出しはこんなだった。それから20年も経ってしまった。続けられたのは、好きなことを、好きな時に、好きなように書いてきたからか。年賀状も同じだ。中1からの友人にはもう50年近く出している。しかし、最近は賀状仕舞いをする人が増えてきているし、姪っ子のKちゃんなんか1枚も来ないし、出しもしていない。このままでは、正月の注連(しめ)飾り同様、年賀状も消え去るのだろうか。
もしそんなことになっても、私は最後の一人になっても、これまで繋がってきた人との糸を切るようなことはしたくないから、賀状は出したい。それも老眼を苦しめるような文字ばかりの賀状を。今年は文字の中に文字を隠してみた。ここにはその文字は書けないが、今年の文面は芭蕉と007の意外な関係について記した。
007と芭蕉では時代が合わないが、きっかけはハワイから来た米国人の留学生。日本を舞台にしたボンド作品『007は二度死ぬ』は原題“You Only Live Twice”なのだが、どうして「二度生きる」が「二度死ぬ」になっているのかと聞かれたことだった。調べたら、芭蕉の俳句が関係しているかもしれないことがわかった。そのときの面白いと思った気持ちを、以下のように、年賀状に書いた。
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命二ツの中に生きたる桜
松尾芭蕉とかけて、007ととく、その心がこの俳句だそうです。芭蕉と007では時代が合いませんが、こんな話があります。007シリーズの原作者フレミングは2回日本に来ています。2回目の旅では、芭蕉の故郷伊賀上野も訪問したそうです。そして、日本でボンドが大活躍する『007は二度死ぬ』が出来たと言います。
原題は“You Only Live Twice”で、芭蕉に習ってフレミングが詠んだ自作の英語俳句にちなんでいるそうです。その元になったのが上の句のようです。でも、どうして「2回だけ生きる」が邦題では「二度死ぬ」になっているの?2回生きるということは二度死ぬことだから意味は同じ。結局、後者の方がキャッチーということで邦題が付けられたのでは…。
「命二ツ」の句は芭蕉が京へ向かう途中の近江水口(みなくち)宿で詠んだもの。久しぶりに帰省した芭蕉に会えず、必死に上野から峠を越え追いかけてきた服部土芳(とほう)と再会した時のものです。土芳は若き日の芭蕉が俳諧を教えた少年。当時10歳だった土芳も今は29。芭蕉は42。19年ぶりに再会した二人の命の間には満開の桜が。
今年も桜が咲きます。そして、今年もまた素敵な出会いがありますように。
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この文字列の裏に薄地で「夢」を印刷したのだが、気付いてもらえただろうか。最近、メールの書名も陽水の「夢の中へ」に変えた。今年はオリンピックという夢舞台もある。皆様の夢が輝きますように。
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カテゴリ日記
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投稿日時2020/01/03 18:03
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