ラーメンと言え食べることだと思ってしまう私は食いしん坊ですね
今流行の2×4住宅はちょっと違うのでしょうね。
お待たせしました。今日はラーメンのお話です。 いま、ラーメンといえば代表的な日本食になりつつあります。このひょこむでもラーメンのコミュがあるくらいですから、その人気は大変なものです。でも、今日とり上げるラーメンは、残念ながら食べるラーメンではありません。 土木用語でラーメンというのは、構造形式の一つで、ドイツ語で 「額縁」 「枠」 などを表す Rahmen からきています。つまり額縁のような形をした構造体ということです。 前回の桁橋の説明で、桁は柱の上に載っている構造であると言いましたが、ラーメンはただ乗っているだけでなくて、桁と柱が一体になっている、言い換えれば、一本の桁を折り曲げた形をしている構造を言うのです。 土木構造物で用いられるラーメンの基本的な形は、下の図に示すように 「ボックス(箱形)ラーメン」 と 「門形ラーメン」 の2つです。ボックス・ラーメンは地下鉄のトンネルや下水道の暗渠 (あんきょ) といった地中構造物に多く用いられ、門形ラーメンは橋梁や高架構造物によく用いられます。また、門形ラーメンの変形として 「頬杖ラーメン」 というのもあります。謂い得て妙です。 ラーメン構造の利点の第一は 「たわみ」 が少ないことでしょう。このことは、鉄道の高架がほとんどラーメン構造を採用していることを見ても分かります。鉄道はレールの上を走っているので、わずかなレールの狂いも脱線事故につながります。桁が大きくたわんでレールが動いては困るわけです。 桁と柱が一体 (「剛結」といいます) になったがっしりとした構造には欠点もあります。それはあまり大きなスパンを持った構造物には適さないことです。前回も触れましたが、桁と柱がつながっていると桁のたわみによって柱に無理な力(外側へ曲がろうとする力)がかかり、それは桁のスパンが大きくなるほど大きくなります。そして桁と柱が剛結されていると、その部分に複雑な力が作用します。だからラーメン構造はスパンの小さいもの (せいぜい10m程度) に向いているということになります。 ラーメン構造は地中の構造物によく用いられると書きましたが、これには3つの理由が考えられます。地中の構造物には上下左右から土圧 (水圧と同じようなものと考えてよいでしょう) がかかります。この土圧が、外側へ曲がろうとする力を抑える働きをするので、壁や床も薄くて済み、経済的だからです。これが1番めの理由、2番めは規模が小さいということ。複線の地下鉄でも10m程度の幅で済みます。3番めは継ぎ目がないので水漏れの心配が少ないということです。もちろんコンクリートのひび割れした部分から滲み出る地下水があるから防水工事は必要ですが。なお、「壁や床」 と書いたのは、地中のトンネル構造では桁と柱は連続して、壁と床になるからです。両側の壁は 「側壁(そくへき)」、上の床は 「上床版(じょうしょうばん)」、下の床は 「底床版(ていしょうばん)」 と呼ばれます。 ちなみに、建築物ではラーメン構造のものが望まれます。それは振動が少なくて居住性に優れているからです。鉄筋コンクリートの集合住宅やオフィスビルは100%ラーメン構造と言ってもいいでしょう。しかし大空間を必要とする体育館のような建物はラーメン構造にできませんし、戸建て住宅ではまだそれほど普及していません。木造でラーメン構造にするのは不可能だし、軽量鉄骨の多いプレハブ住宅も鉄骨の強度が不足するから難しいでしょう。ただ、僕の住んでいるセキスイハイムは数少ないラーメン構造のプレハブです。居住性はいいし、出来てから30年近く経ちますが全く狂いはありません。 写真左は鉄道の高架構造物、右は頬杖ラーメン橋、図はラーメンの基本形 |