これは平成8年11月17日に放送されたNHKの「にっぽん点描」という番組で、癌で亡くなった一人のチェリストが、入所していたホスピスで死の直前に開いた「最期のコンサート」の記録です。そのチェリストの名は徳永兼一郎。 この動画は、死の直前まで自分が愛する仕事に全力を傾注した人の終末期の記録で、僕はこれを見るたびに胸が熱くなり、涙が滲んでくるのを抑えることができません。そして、クラシック音楽に関心のない人にも是非見ていただきたいと思うのです。https://www.youtube.com/watch?v=0iMJxDFIapQ
徳永兼一郎が、癌で亡くなってから26年になります。 今では徳永を知る人は少ないと思いますが、彼は15歳のときに「日本音楽コンクール」で第1位・特賞を受賞した俊才で、その後N響に入団して長く首席チェロ奏者として楽団を支えてきましたが、これからがチェリストとして大成すると期待された50代半ばで亡くなったのです。
この「最期のコンサート」は、ヴァイオリニストでN響のコンサートマスターを務めた弟の徳永二男(つぎお)を中心に企画され、1996年3月31日に行われました。 そして、徳永はこのコンサートから45日後にこの世を去りました。 この動画では、弟の二男、黒柳紀明(黒柳徹子の弟)を始めN響で苦楽を共にした仲間、彼を師と仰いだ若いチェリスト、盲目となった写真家、彼が最後に手にしたチェロを作った弦楽器製作家など、彼と関わった人々の声を聞くことができます。 彼らの声を聴いていると、徳永が多くの人から慕われ、敬愛される存在であったということを知ることができます。 |