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2021年01月02日(土) 

 

新ガリバー旅行記(1)

 ヤフーの国

【中村哲医師寄稿】
2000/7/3 6:00 (2020/11/20 10:11 更新)
|西日本新聞

 

https://www.nishinippon.co.jp/image/222813/

 

 <2000年7~8月に本紙朝刊に掲載された中村哲医師の寄稿連載随筆「新ガリバー旅行記」(全50回)>

 

 スウィフトの小説で「ガリバー旅行記」を知らぬ者はない。だが、知られているのは主に小人・大人の国の話で、実は続編の方が面白い。日本のエドを発(た)ったガリバーは、不老不死の国や飛ぶ島の国で人間の愚かさを見る。最後にたどり着くのが、「フウイヌム国」。そこでは、ウマが言葉を話し、人間以上に礼節を尊んで紳士的である。ガリバーは感激して、理想の社会をそこに発見する。ところが、奇怪なサルのような動物の群が森林に生息する。ウマたちはかれらを軽蔑(けいべつ)して「ヤフー」という。徒党を組んで争い、殺し合う習性がある。「何か金色に光る石」が原因らしく、そのためなら、嘘(うそ)はつく、殺す、だます、恥というものを知らない。「君はヤフーに似ているな」とウマに言われて、ガリバーは憤慨する。

 何せ、このヤフーときたら、臭くて汚らしい集団生活を営み、人間の醜さを一身に体現したような動物である。ガリバーは、ウマの住民たちと親交を深めて語り合う。しかし、故郷への思いは断ちがたく、ある日島に近づいた船に乗り込んでロンドンに帰り着く。ところが、夢に描いた故郷が何だか不快な臭(にお)いがする。何と母国はヤフーたちの巣窟(そうくつ)だったのだ。

 私は、日本との間を往復するたびに、なぜかこの話を思い出す。アフガン戦争から現在に至るまで、光と影の鮮明な現地から、ガリバーほどでなくとも、人と人の抗争、殺戮(さつりく)、戯画的に映し出される人間の弱点をいやというほど見せつけられてきた。そのたびに、「日本ではこんなことはない」と自他共に言い聞かせてきた。だが、結局のところ、「人は人である」というのが平凡な結論で、行き場のない思いに駆られたのは一再でない。しかも、変貌(へんぼう)する日本社会を見るとき、問題はむしろ現地よりも深い病根を宿しているようにも思える。日本でこの不快感に耐えている人々には悪いが、最近では現地ペシャワルに戻る方が、何かしら安堵(あんど)を覚えるようになった。

 


 

新ガリバー旅行記

中村哲医師寄稿
|西日本新聞

https://www.nishinippon.co.jp/theme/nakamura2000/

 

https://www.nishinippon.co.jp/theme/nakamura2000/?page=2

 

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閲覧数127 カテゴリ戦争と平和 コメント0 投稿日時2021/01/02 17:51
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