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2008年07月10日(木) 
 地域SNSが、全国各地で立ち上げられ始めた2006年1月、東京品川でCANフォーラムが主宰する「地域SNSセミナー」が開催された。地域SNSの最新情報を主宰者や開発者が直接発表・意見交換する初めての機会だった。国領二郎・慶應義塾大学総合政策学部教授によるパネルトークで、20代後半から30代前半の若手実践者たちが生き生きと地域のビジョンを語る姿が印象的だった。しかし、同じパネルに並びながらも、二回りほど年長の私にはどうも座り心地が良くない。それは年齢差だけではないように思われた。


(図4)CANフォーラム「地域SNSセミナー」

 総じて他のパネリストの人たちの考え方は「個人が繋がれば場が創発する」という文脈が主流であり、SNSのシステム自体もそれを前提に設計・運用されていた。前述の日本型地域ネットワークの特徴とともに、「信頼」や「愛着」という要素をしっかりと導入しなくては、持続可能なモデルを構築するのは困難であると考えていた私は、この時点で、プログラムが無償公開されている「オープンソース」のSNSシステムではなく、自由にアイデアを実現できる新たな独自のプログラムを開発することに決めた。これが、OpenSNP(オープンエスエヌピー)と名付けたSNSエンジンであり、最初の地域SNSサイトが「ひょこむ」となる。SNPは、’social networking service’ではなく、’social network platform’、つまり単なるツールではなく、地域の情報プラットホームを担う存在になるという設計思想から命名したものである。
 一般的にシステムの開発は、事前に開発仕様という詳細な設計図を作成しておいてからプログラミングを行う。仕様がしっかりと詰まっているかどうかがそのままシステムの完成度や工期に影響を与える。しかしOpenSNPの開発は、従来の常識とは異なっていた。練り込まれた仕様は事前にはなく、開発者と利用者が対話をしながらシステムの完成度を上げる。いわば、オンデマンドユーザーオーダーメイド(利用者の随時注文に即応した)開発手法となった。この方法は、確かに開発効率は高くはないものの、ニーズにあった機能が提供できるだけでなく、普段は閉じこもり傾向になる開発者と利用者に一体感を持たせて、さながら「協働開発」を行うようなムードが醸成された。OpenSNPの地域SNSとしての完成度の高さは、この関係性に依拠するところが大きい。


(図5)SNSエンジンのシェア分布(庄司,2008)

 約3ヶ月の開発期間を経て、2006年9月に試用版が提供されたひょこむは、このような開発手法によって育まれ、続々と機能を追加するとともに、1ヶ月後の正式稼働には当初の3倍強(約353名)の利用者数となり、その後も着実に地域のキーパーソンたちを繋いでいった。この段階で、日本型地域ネットワークの特性は、地域SNSの設計・開発と非常に高い親和性を持っていることを実感することができた。

つづく
次回は、7.地域SNS立ち上げと運用

閲覧数1,682 カテゴリ出版 コメント0 投稿日時2008/07/10 05:59
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