世の中には使う者の身になってつくられていない商品が山ほどあります。機械や道具類はもちろん、食料品などの消耗品もそうです。そんなものを手にしたとき、腹を立てるのは僕だけではないでしょう。
ところが、最近《なかなか考えてるなぁ》と感心したものがありました。《何やそんなもん》と思われる人もあるでしょうが、僕は大事なことだと思うので紹介することにしました。
袋詰めやネット詰めの生鮮食料品は、口をビニールテープで封をしてあるものが多いものですが、このテープを外すのが厄介です。テープの接着面同士を貼り合わせてあるので、人間の手で剝すのは不可能に近いのです。ハサミの先を差しこんで切ると袋まで一緒に切れてしまうことが多く、また仕方なくテープの下で切ると、袋やネットは小さくなってしまいます。袋やネットをごみ袋などに再利用しようと思う僕のような人間には、実に腹立たしいことなのです。
それを解決してくれるテープが最近出ています。接着面の両端1cmほどに紙が貼ってあって、このくっついていない部分を引っ張ると、苦もなくテープが外れるのです。
テープを貼り合わせるのには当然機械を使うわけですが、この機械を開発した人は偉いと思います。ノーベル賞は無理でしょうが表彰もんです。もちろん、機械もテープも従来のものより高くつくでしょう。にもかかわらず、これを使っている出荷業者や販売店もまた偉いと思います。
使う者の身になって商品を売る。これは商売人にとって最も大事な企業倫理ではないでしょうか。