リアルとバーチャルを循環・融合する地域SNSのブリッジ効果(1)
2008年09月04日(木)
「ひょこむ」では、知人や友人をサイトに招待したり、サイト内でトモダチリンクを行う際に、リンク相手との[関係の深さ]と[接触の頻度]を5段階で入力する。学術的な分類ではないが、「関係の深さ」は「肉親・恋人」「親友・恩師」「友人・同僚」「知人程度」「これから」、[接触の頻度]を「頻繁」「月イチ」「年イチ」「イマイチ」「これから」に分けて、直感的に回答してもらっている。それぞれ関係に変化があればいつでも修正できるようになっているが、サイトの利用に影響のない項目なので、これまで当初に設定した後に変更された形跡はほとんどなく、組み込んだ時点のつながり関係(紐帯)が実質的に保存されている。 この機能を使って、2008年8月26日~9月2日まで8日間、ひょこむユーザ全員にメッセージでWEBフォームによるアンケート参加を呼び掛け「利用者関係性動向調査」を実施し、ユーザ総数約4200人のうち394人(9.4%)が回答、合計3103のリンクについてデータを回収した。 調査は、無作為に抽出された本人とのリンクが成立してから1ヶ月以上経過した紐帯を最大10人まで対象として、[関係の深さ]と[接触の頻度]の更新と行い、また関係性と接触頻度の変化を、「よくなった」「少しよくなった」「変わらない」「少しわるくなった」「わるくなった」の5段階で、回答を求めた。回答は一回だけに限定し、同じユーザが複数回実行できないようになっている。 [関係の深さ]
リンクした当初は全体の約65%を占めていた「これから」という相手が、今回回答では約51%に減少しているのは、地域SNSによって好意的なコミュニケーションが成立し関係性が深まっていることを示している。最も強い関係である「肉親・恋人」以外においても大幅に増加していることを見れば、地域SNSが関係性の強化に効果があると言える。 [接触の頻度]
トモダチリンクをした時には、約75%は「会ったことがなかった」ようだ。これが約53%に減少しているのは、「顔を合わせられる距離感」を対象とする地域SNSらしい現象で、多数のユーザが実際に出会う機会を持ったということである。「頻繁」を除いて接触する頻度が増加しているが、「会わなくても用務を遂げられる」情報通信ツールを使いながら、その実体は逆に会う機会が全体として増えていることを示していて、「バーチャル(ICT)がリアル(な社会の関係)を補完する」(和崎)という地域SNSの特徴が効果的に適用していることがわかる。 (つづく)
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投稿日時2008/09/04 13:47
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