カトゥロ・カスティジョは8月6日のブログで取り上げました。
http://hyocom.jp/blog/blog.php?key=54620
本日のタンゴは”La violeta ラ・ビオレータ”です。 いつものようにTodotangoの音源で聴いてください。 http://www.todotango.com/spanish/download/player.asp?id=848 訳詞はゴタンの中庭で、夢破れた移民の悲哀を歌っています。 http://www.kitanoit.com/cgi/gotan.cgi?act=dsp&title=947 作詞者のニコラス・オリバリは1900年の9月8日ブエノス・アイレスに生まれ、 若い頃からあちこちの新聞や雑誌で演劇評論家として、幾度かは編集長として経験を Nicolás Olivari 積んでました。劇作家としても活躍し、ガルデルの生涯を描いたラジオ放送作品 ”El Morocho del Abasto”はほどなく映画化されました。 生粋のポルテーニョで詩人であった彼がタンゴと無縁なわけはなく、最も評判に なったこの歌のほかにもいくつか秀作を残していますが、同じ時代に同じ都市に 住み、彼の言によれば「記者という本業にも関わらずガルデルを個人的に知る 幸運には恵まれなかった」そうです。でもこの歌がガルデルによって録音されたことを 「並びなき栄誉に思う」と大いに誇りにしていました。ブエノス・アイレスのとある賭 博宿でカトゥロ・カスティジョ(タンゴ界の大作家、このタンゴの作曲もした)と 食事をしていた時にスパゲッティとビーノ(西語でワインのこと)の間からこの詩が 生まれたとオリバリは言っています。 この歌の舞台はボカ地区の安酒場と思われます。私と友人もあのあたりの安酒場で スパゲティと鳥料理の昼食をとったことがありますが、あのスパゲティの不味さには 閉口しました。無理して呑み込むと涙が出そうになりました。オリバリも同様の思い をしたのかそれともバクチで負けが込んでいたのか、場末の酒場は涙を誘うネタの宝庫 というわけです。 人影寂しいボカの裏通り |