SNSは、電子メールアドレスを相手に教えなくてもメッセージのやりとりができるところがいいですね。相手に悪気がなくてもパソコンがウイルスにやられるとメールアドレスが流出し、他人のアドレスを詐称して迷惑メールをばら撒かれたり(その人が迷惑メールを撒いているのかと誤解されたり)します。
地域SNSは個人のポータルサイトになる可能性があると私は考えており、そのために必要な機能を今後とも磨きあげていって欲しいですね。
「売上の8割は全従業員のうちの2割で生み出している」、「故障の8割は全部品のうち2割に原因がある」、「世界のお金の8割は2割の富裕層が握っている」。8対2の割合で表現されたこれら経験則による言葉の原点は、イタリアの経済学者ヴィルフレド・パレート(Vilfredo Federico Damaso Pareto)が1897年に発見した冪乗法則で、一般的に「パレートの法則」「最小努力の法則」「80対20の法則」「不均衡の法則」と呼ばれている。パレートがこれらの説ひとつひとつを唱えたわけではない。いかなる時にも厳密に80:20であるとは限らず、90:10や70:30の場合もある。つまり何事にもばらつきがあることを例に挙げているにすぎない。 パレートの法則は、もとは経済において「全体の数値の大部分は全体を構成するうちの一部の要素が生み出している」という説だが、経済以外にも自然現象や社会現象等様々な事例に当て嵌められることが多く、非常にポピュラーな法則として有名になった。自然現象や社会現象には、ばらつきや偏りが存在し、一部が全体に大きな影響を持っていることが多い、という現象をこの法則を取り出して補強に使う。ただ、小さな割合の部分が大きな影響を持つことだけが重要なのではない。インターネットで書籍を販売するAMAZON.COMは「商品の売上の8割は全商品銘柄のうちの2割で生み出している」という言葉の「2割の売上を占める8割の書籍」に注目し、巨大なマーケットを作りだした。売上と書籍数をグラフ化した際に、「恐竜のしっぽ」のように見えることから「ロングテール」と呼ばれるこの手法は、インターネットビジネスの基本としてよく取り上げられている。 「最近、迷惑メールが増えて困っている」という愚痴を耳にすることが多い。スパムメールと呼ばれるまったく自分と関係のない勧誘や広告、意味のない文字の羅列のような電子メールが大量に送りつけられ、メールボックスの整理に一苦労することも少なくない。大量のメール送信をブロックしたり、フィルタープログラムを使って排除する努力が行われているが、十分な効果は現れていない。10年ほど前なら、著書に書いてあるメールアドレスに感想を入れると著者から返信がメールで届くということもあったが、今では目に触れることすら難しいかも知れない。 バレートの法則を電子メールに当てはめてみると、さしずめ「必要なメールの8割は友人全体の2割の親しい人から届く」ということになろうか。ゴミメールが氾濫するインターネットのメールに対して、スパムメールが侵入して来ない地域SNSのメッセージ環境は快適だ。到着すれば連絡も入るし、マイページを開くと目立つ案内も表示される。もともと友人関係で繋がっているSNSの中だから、不要な内容はほとんど皆無だ。地域SNSを重宝するようになってから、インターネットのメールボックスに保存してあるメールが激減するというのも、バレートの説の通り、普段のコミュニケーションが偏っていることを表している。 多くのSNSにおいて、ファイルの添付や送信先の指定、送信方法など機能面においてインターネットのメーラーにまだ遠く及ばない。もっと便利に友達たちとメッセージのやりとりができるようになると、不便な環境になってきたメーラーに代わり、SNSのメッセージがメインのツールとして活用される可能性は高い。電子メールのない生活なんて想像することもできない人が急速に増えてきている現状をみると、地域SNSのマイページがネットコミュニケーションの中心になる日も、そう遠くないのではと考えられる。 |