「元気村はこう創る」で有名な、福岡県新倉郡東峰村。鳳雛塾や住民ディレクターという「地域づくりの道具」の導入により、人口3000人に満たない修験道(英彦山)と焼き物(小石原焼)の村にADSLが導入され、住民手づくりの地域情報化が推進されています。この元気村に地域SNS(OpenSNP)が降臨してから約2ヶ月。来年の正式オープンに向けて、さまざまな実証的な取り組みが進められています。 http://toho-sns.jp/ 先日からは、ライブ中継サイト「スティッカム(stickam)」を活用して、お知らせ欄にライブ画面を組み込んだり、ブログに中継を貼り付けたりする実験がスタート。編集された映像も即時性の高い携帯動画もいいですが、ライブ中継はまたひとつその活用シーンを広げてくれます。 つい数年前までは、テレビ会議をやるにもとんでもない設備と通信料が必要だったものが、今では誰でも当たり前のように「スカイプ(Skype)」を利用して無料通話を楽しんでいます。ライブ放送をやろうなんていうと、それこそ大変な費用が必要だったのに、スティカムが無料で環境を提供してくれる。今度はそのリソースを自分のブログに貼り付けて、いわば「わたしTV生放送」をだれでも実現できる世の中になっているわけです。 10月16日にオープンした兵庫県宍粟市の「しそうSNS」では、宍粟市・宍粟市商工会・宍粟観光協会が中心になって、NISSAN CARWINGS仕様の拡張RSS2.0を使って、カーナビゲーションに地域SNSの「信頼できるクチコミ情報」を出力する実証実験を始めようとしています。 http://shiso-sns.jp/ 10月27日にスタートする広島県尾道市では、同様の仕組みを車ではなくGPS携帯用に作り込んだシステム「どこでも博物館」とつないで、サイクリングやウォーキングで来訪する観光客にたいする「おもてなし情報」の提供実験を11月から始めようとしています。 http://onomichi-sns.jp/ 特筆されるのは、これらの技術がメーカーやベンダーの囲い込みで開発・提供されるのではなく、実験実施後にその仕組みが誰でも自由に利用できるオープンなテクノロジーとして公開されることにあります。地域への愛着から立ち上がった情熱の成果物が、他地域で新たなユニークな取り組みを生み出す基盤として活用され、それがどんどんと拡大していく。多様で多彩な地域力の創発は、これまでの日本にはなかった「集合知」の連携となり、新鮮で強力な「協働知」を育てていくのではないかと期待されます。 |