国際通貨基金(IMF)は28日、09年の世界成長率見通しは戦後最低となる0.5%とした。11月時点では0.2%と予想していた。
09年の米成長率見通しはマイナス1.6%、ユーロ圏はマイナス2%、日本はマイナス2.6%とした。一方、新興国市場については、09年は3.3%、10年は5%の伸びを予想した。ただ、前回予想からは下方修正した。世界経済は10年には徐々に回復し、成長率は3.0%となる見込みだとした。 10年の米成長率見通しはプラス1.6%、ユーロ圏はプラス0.2%、日本はプラス0.6%とした。
世界金融危機にあたり、自民党総裁選に出馬していた経済財政政策担当の与謝野馨大臣は「蜂に刺された程度で日本の金融機関の基盤は磐石。1週間で元に戻る」とあちこちで演説していた。他の自民党のリーダーはだれひとり、この問題を国家的課題であることを指摘しなかった。結果は見ての通りで、与謝野氏は「無用に国民の不安心理を煽ってはいけないと思った」と弁明するが、明らかに判断を誤っておりその後の政策を後手後手に回した張本人である(が辞任どころか謝罪の言葉もない)。
麻生太郎首相は、「日本が(世界金融危機から)一番早く復活して、世界経済の正常化をリードする」としきりに力説して二次補正予算関連法案の議論を犠牲にして「2兆円定額給付金」を強行した。今回のIMFの予想は、考えたくないがまさに世界的常識の範囲。とても日本が世界をリードしてこの難局を救うなんて、誰一人として信じてはいない。
5ヶ月前には挑戦姿勢だった施政方針演説も、昨日はひたすら経済重視。不景気・雇用不安への対応ばかりを強調して、またまた「やるやる詐欺」モードで悦にいった。もっと本後を入れて野党に話し合いを求め、大胆な妥協の構えを示すことを期待していた国民は少なくない。解散総選挙ができない首相がひとかけらでも憂国の想いを持っているなら、それが唯一の選択肢だったはずである。
根拠のない楽観論や意味のない精神論で、これ以上日本をミスリードしないで欲しい。話し合いができないなら、主権者としての国民の意思を問え。これ以上、政治が迷走を続けてしまうと、IMFの予想を大きく超えて、復活できない深い奈落の淵に、日本だけ落ち込んでしまうことになる。今すぐに国会を解散して、「機能する政府」を立ち上げるべきである。