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2009年01月31日(土) 

近ごろ、「環境」あるいは「エコ」といった言葉を冠した製品が目白押しですが、地球温暖化が世界的な課題となっている現代という時代を象徴していると言えるでしょう。
まだ一般的には認知されていませんが、「環境舗装」もその一つです。


地球温暖化の一つの顕われとしてヒート・アイランド現象がありますが、これは都市部の気温が突出して高くなる現象で、地表面の大部分がアスファルトやコンクリートなどで覆われることによって生ずることは定説になっています。

地表面が土砂で植物が生えている自然界では、雨水は一たん地中に蓄えられ、それが徐々に蒸発するという循環を繰り返していますが、地表面が水を透さない人工物で覆われてしまうとこの循環ができなくなります。

水が蒸発するときに「気化熱」を奪うことは小学校の理科の時間でも教えられるごく基本的な物理現象で、夏に「打ち水」をして涼をとるということは昔から行われてきたことです。自然界では地中の水がその役割を担っていたわけですが、アスファルトやコンクリートは水を蓄えることができず、逆に太陽から来る熱を蓄えることになります。

一方、地表面が人工物で覆われてしまうと、雨水は直接下水道を介して河川に流れ込むため、下水道や河川の能力を超える豪雨の場合には、下水道のマンホールから水が噴き出したり、河川の堤防を乗り越えたり、場合によっては堤防が決壊することもあります。


都市部の地表を覆う人工物の中で、道路や広場、駐車場といった施設の「舗装」がどれくらいの割合を占めているかはよく知りませんが、決して小さいものでないことは確かですから、これがヒート・アイランド現象の原因の一つになっていることも確かでしょう。

こうしたことから、道路などを管理する行政機関や舗装関係企業などでは、環境負荷の少ない舗装(環境舗装)の研究・開発が近年盛んに行われています。


環境舗装の中でも最も歴史の古いのは「透水性舗装」です。これは隙間の多いアスファルト舗装をつくることによって、雨水を舗装体を透して地中に浸みこませることを狙ったもので、昭和40年代にはすでに実用化されていました。この考え方は、最近歩道などによく使われる「インターロッキング・ブロック」と呼ばれる舗装材にも受け継がれていますが、時間の経過とともに土砂による「目詰まり」が生じ、透水能力が低下することは避けられません。


最近研究されているのが「保水性舗装」と「遮熱性舗装」です。

「保水性舗装」は、舗装体の中に水を蓄えて気化熱による温度低下を図るものです。隙間の多いアスファルト舗装を施すところは透水性舗装と同じですが、その隙間の中に保水力を持った材料を注入して舗装体自体に保水能力を持たせようとするものです。

しかしこの場合、雨水だけでは限度がありますから散水によって常に水分を補給する必要があります。散水用水には下水処理水を利用すると経済的ですし、散水車に依らずスプリンクラーのようなものを設置すれば人件費の節約にもなるでしょう。(積雪地帯などで実用化されている融雪装置と同じもの)


「遮熱性舗装」は、太陽からの熱線を舗装表面で撥ね返そうとするもので、舗装体の表面に太陽光を反射する特殊な材料を混入した遮熱コート(厚さ1ミリ程度)を塗布するものです。

この場合、反射した熱線が歩行者等に与える影響が心配されますが、舗装体の輻射熱の低下の方が大きいから、結果として問題にはならないという観測結果が出ています。

課題としては、車道で長期間使用した場合の摩耗、剥離などがどの程度なのか実証実験が必要でしょう。


気温30℃で、アスファルト舗装の表面は55℃前後になります。気温が35℃以上にもなる真夏には60℃を超えることもあるでしょう。真夏のプールサイドで足の裏をヤケドしそうになった経験をお持ちの方も多いと思いますが、コンクリート舗装やタイル舗装でも大差ないと思われます。

「保水性舗装」にしても「遮熱性舗装」にしても、実際の観測では13℃~15℃程度の温度低下が観測されていますから、その効果は非常に大きなものがあると言えます。今後は、コスト・ダウンと耐久性の向上に更なる研究が続けられていくことと思われます。


我々の知らないところで地道な研究が進められているのです。儲けることを第一の目的にした浮ついた商売ではなく結果として儲かる事業、これは技術立国・日本の将来にとって大事なことではないでしょうか。


閲覧数2,345 カテゴリ連載読物 コメント4 投稿日時2009/01/31 12:23
公開範囲外部公開
コメント(4)
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  • 2009/01/31 22:17
    環境舗装といえば、アスファルト舗装で、発がんリスクの高いコールタールが使われていることも気がかりです。

    コールタールをウサギの耳に塗布すると、非常に高い確率で腫瘍が発生します。
    舗装したての道路が雨で濡れ、その雨水が下水道や河川に流入したとすれば、その発がんリスクが高いコールタールが雨水とともに流れ込み、その分が環境リスクの増大につながるわけです。

    石油の副産物のためコストが低く、接着性能もよいので、多く使われているのでしょうが、バイオマス素材の利用に関する研究や廃棄物の再利用(ガラスカレット等)など、化学物質のリスク低減の観点に立った環境舗装の研究が進むことも、リスクコミュニケーターの立場からは願ってやみません。
    次項有
  • 2009/01/31 22:52
    鉛筆jamjamさん
    > 市民派化学屋さん

    うーん、困ったことですねぇ。としか僕には言うすべがありません。 (+_+)

    しかし下水処理(飲み水に近い程度まで処理できる高度処理)でもそれは解決できないのでしょうか?
    次項有
  • 2009/01/31 23:21
    > jamjamさん

    たしかに難しい課題だと思います。しかし、事実を事実として捉え、いろいろな立場の意見に耳を傾け、討論を重ねていき、着実に歩むしかないでしょう。

    よくしている話ですが、オゾンを用いる高度処理は、有害化学物質の処理に関しては、あてにするべきではないでしょう。オゾンは二重結合の酸化的開裂による分解には有効ですが、万能ではありません。例えば、コールタールのような多環式芳香族化合物の分解には無力でしょう。

    合成洗剤も分解できませんし、最近問題となっている毛染め剤由来の変異原物質(芳香族アミン類など)の分解も理論上期待できないものです。

    下水処理後の水質は、飲み水からは遠く及ばないのが現実であり、皮肉にも、下水処理場が汚染源になっているという実態が多くあります。

    これに対する最善のソリューション、それは発生源対策であることは言うまでもありません。

    だからこそ、バイオマス利用であるとか、廃棄物のリユースと連動した舗装といった、化学的発想を活かした発想の転換も、エコでは欠かせないといえるのです。

    討論こそ、大切であり、社会を動かす着実なチカラとなると確信しています。

    一人で何でもやろうと気負うのではなく、支援を求め、互いの強みを活かすことも、エコの取り組みでは欠かせないことではないでしょうか。
    次項有
  • 2009/02/01 07:15
    鉛筆jamjamさん
    > 市民派化学屋さん

    >一人で何でもやろうと気負うのではなく、支援を求め、互いの強みを活かすことも、エコの取り組みでは欠かせないことではないでしょうか。

    おっしゃるとおりです。
    次項有
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