書き込み数は21件です。 | [ 1 2 3 ] | ◀▶ |
変圧器の高圧側には同時に納入した避雷器が接続されていた。国内ではカブキの担当外機器だが現地では同じ納入会社として対応せねばならない。外観点検で避雷器一本の碍管に欠けを発見した。 クーデターで銃撃があって変電所にも銃弾が飛んできたのだろう碍管は磁器製でとても硬く少々なら傷はつかないはずが弾の入射角がまともだったのか最下層ひだの先端に長さ3.5cm、幅は最大部で5mmと結構大きな部分が砕け飛んでいた。 欠け傷の状況と、このままで当面使用可能か、応急湿気侵入対策に接着剤塗布程度で良いかなど問い合わせようと思い商事に寄って工場宛にテレ … [続きを読む] |
現場はガファルサ変電所といってアディスアベバの北西郊外にありホテルからは車で30分ほどの距離、所長の名前はセヨオムといってアブラハムとは独身同士で大の親友の様子。セヨオムは変電所入口の脇のこじんまりとした家に住んでいる。 変電所には現場作業員が5,6人ほども待機していた。全員がちょっと痛々しいほど瘦せていた。飢饉のせいだけではなく食べること自体があまり体に良くないと広く信じられているからだとちょっと丸い体つきのアブラハムがいう。 まず変圧器の外観点検をしようとセヨオム所長に梯子を要求すると、重い木製梯子を作業員ふたりがちょっと … [続きを読む] |
月曜、乾季の高原は気持ち好い朝を迎えた。朝食を済ませた食堂に商事の運転手が呼びに来てデボネアで所長のFさんと事務所に向かった。車中で「今夜はうちで食事しましょう」と招待くださった。 午前中は商事からエチオピア電灯電力局(EELPA)へ行き、プロジェクト部長をはじめアテンドしてくれるエンジニアとドライバまで10人ほどの人々に紹介されたが、しっかり顔を覚えたのは担当エンジニアと運転手だけだった。 打ち合わせ事項も勤務時間帯のことを二度も言われた以外には大したことも無く午後にはEELPAのエンジニアのアブラハムと変電所に向かった。街 … [続きを読む] |
頭の片隅で(昨夜バーで見た美しいアフリカ女性はサバの女王に繋がるなぁ、連日サバの女王だなんて不思議だなぁ)と思いながら聞いてるとやがて若者は読み終え「われ等に協力してくれるか?」と問う。逃げられない、前に三人居て後ろにもふたり居るのはわかっている。 出来るだけ穏やかに「まずその剣をしまえよ」と言ってみる。と、意外にも素直にサーベルを鞘に納めた。そして再び「買って」と言う。「いくら?」「30ドル」「高いな」「手描きだし縁取りは金だ」「日本で浮世絵買うのと同じなんて高いよ」 ”日本”と口にすれば(落ち着き払ってる日本人➔空手、柔道 … [続きを読む] |
「街の地図が欲しいんだ」「ならガソリンスタンドに有るよ」「そう思ってきたが閉まっている」「見てきてあげるよ」ガラス戸を覗いたり叩いたりしていたが戻って来て「だめだ、誰も居ない」 「もういいよ、ホテルに帰るよ」。と、青年のひとりが「僕たちは学生でこの国の惨状を救おうと活動してる。活動資金集めに土産物を揃えてあるから見てくれないか」多くの民衆が飢餓で命を落としてゆくのに皇帝以下は無策だと怒った軍部が起こしたクーデターはまだ収束していない。 「どんなのがあるんだ?」と興味を示すと、寄って来てわれ先に言い立てる。「すぐそこのテントだか … [続きを読む] |
翌日も快晴で日曜日、ホテルの食堂で朝食を摂り部屋に帰りデスクにあった価格表をよく見るとFull Boaderというのがあるのを見つけた。3日以上の宿泊が条件で一日当たり33ドルとなっている。 滞在手当が40ドルほど支給されるなか部屋に35ドルも取られると食事にお金はかけられないと思っていた矢先、これはうってつけと思い降りていって「現時点で一旦清算しFull Boaderとしてくれ」と言った。 出された清算書を見て「70ドル?間違ってるよ」と言うと「ゆうべ男性を部屋に連れ込んだでしょう」という。(何という誤解だ料金もさることながら、男性を?心外だ) 「部屋 … [続きを読む] |
成田を金曜の11時に飛び立ちアディスアベバには現地時間で土曜の朝の7時40分に着いた。時差が6時間あるので26時間40分空の旅だった。商社からふたりの現地人スタッフが出迎えてくれた。 所長専用車で真直ぐホテルに行きチェックインし、「夕方に副所長が来ます、それまで休養してください。」ということでシャワーを浴びてベッドにもぐり込みぐっすり眠った。 夕方目を覚まし着替えてホールにて珈琲を飲みながら来客を待った。エチオピア特産の珈琲はカップ三杯分ほどが銀製のポットでサーブされ50セントと極めて安かった。やがてベルボーイが呼びに来て副所 … [続きを読む] |
シェレメーチボ空港ビルの男子小便器はやたら大きく全体に上の方に取り付けられていて、前に寄ると頭までがすっぽり入ってしまう気がした。 意図的に威嚇しているようなトイレを出てタックスフリーショップをのぞいてみた。暗い倉庫のような店内に小母さんが独り座っていて何しに来たみたいにじろりと見る。 木製の台にぶっきら棒に売り物が並べられている。「キャビアは?」と訊くと小母さんは背にした棚を振り返り「幾つ?」という風に顎をあげる。平たい小さな瓶を見て指を三本立てると袋に入れて「$@#!」 分からないから紙幣を適当に拡げて出すと十ドル札2枚と1ド … [続きを読む] |
仕事ではあるが初めての海外旅行、アディスアベバに着くまでをたどっておく。フライトは成田を金曜日の11時に出て日付変更線は跨がない北廻りであった。ドルを使ってみようと機内販売でカティサークのポケット瓶を手に入れた。 希望した窓側シートからは、はるか下に荒涼とした灰褐色の大地の広がりと時折眩しく湖沼や川の輝きが見えるだけ。コルホーズとか言われる風景が見えだしたと思ったらソビエトの当局からの命により窓を閉めるようアナウンスがありやがてモスクワのシェレメーチボに降りた。 全員荷物は持たずに給油中の機外に出て空港ビルに向かう。乗客は歩い … [続きを読む] |
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